野口内科 BLOG

  鹿児島市武岡に開業して41年の野口内科です。
  医療・健康に関する情報はもちろん、近隣の話題、音楽・本のことなどを綴ってまいります。

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痛風

痛風フェブキソスタットという尿酸を下げる薬があります。
米国では今年2月、古くからある薬・アロプリノールよりも死亡リスクが高いとして「アロプリノールが無効または重篤な副作用が生じたために使用できない患者にのみ使用する」よう用途を制限しました。
更に7月17日、英国においても「心血管疾患既往例には他に選択肢がない場合を除き、用いない」よう勧告が出されました。
日本では、厚労省が7月9日に注意喚起を呼びかけたに留まっています。

これらの措置は、2018年秋にNew England Journal of Medicineで発表されたCARES試験の結果が基になっています。
しかし、一部からは試験の脱落例が多く、その扱い次第では評価が変わる可能性が高いという指摘もなされています。

一方で、本年3月にはEuropean Heart Journalに「高尿酸血症のある高齢患者で脳心腎血管関連イベントを減少させることができ、特に慢性腎臓病の発症や進展予防が期待できる」とする日本発の多施設共同ランダム化比較試験 ( FREED研究 ) が発表されています。( → こちら )


以前にも指摘しましたが、海外では痛風発作の再発予防目的で尿酸を下げる薬を使います。
これに対して、日本では尿酸が高いというだけの「無症候性高尿酸血症」に対しても薬が使われます。
この点については、当ブログでも以前解説をしました。( → 大丈夫 ! 何とかなります 尿酸値は下げられる )
なので、CARES試験とFREED研究では、対象となった患者さんの背景が違います。
メタボリックシンドロームと関連が深い痛風の既往のある方を扱った前者とそうでない後者。
それで結果に差があるのかも知れません。
欧米では、今のところ高尿酸血症治療薬に心臓や腎臓の疾患の予防効果は認められないという立場でいます。
無症候性高尿酸血症を積極的に治療している日本から、欧米を納得させるデータをもっともっと発信していかなくてはならないと思います。
根拠がなければ、私もあまり積極的にはなれません。

 ◆ 診療所ライブラリー 150 ◆


尿酸値は下げられる尿酸が高いと痛風になる。
多くの方はそのように理解されていると思いますが、尿酸の治療ほど悩ましいものはありません。

尿酸値は7.0mg/㎗までは基準範囲内とされており、薬を必要とするのは9.0mg/㎗以上から、高血圧や腎障害・糖尿病などの合併症がある場合は8.0mg/㎗以上から、と日本のガイドラインで示されています。
しかし、欧米では尿酸が高いというだけでは治療をしません。
痛風発作を一度起こした人の再発予防として薬を使用するのです。
2016年に米国の内科学会は、痛風発作が再発していなければ内服治療は推奨しない、とまで言っています。( → こちら )

尿酸は血液から尿に排泄されますが、不思議なことに一度捨てた尿酸を途中で再吸収する仕組みが腎臓に備わっています。
尿酸は抗酸化作用を持っていて、それはビタミンCよりもはるかに強力なのです。
多くの動物は体内でビタミンCを合成できますが、それができないヒトにおいて、尿酸がビタミンCの代役を担っているのではないかという説もあります。
また、尿酸には神経保護作用があって、高い人ほどパーキンソン病になりにくいという報告もなされています。
一方、尿酸が低いと運動後などに急性腎不全や尿路結石が起りやすいこともわかってきました。
尿酸ってまだ未解明な部分が多いのです。


ただ、メタボな人ほど尿酸が高い傾向にあるのは確か。
健康診断などで尿酸が高いと指摘された人は、生活習慣を見直すきっかけにしてもらいたいと思います。
今回紹介する本では、尿酸値を下げるための食事や飲酒を含めた日常生活の改善のヒントが数多く書かれています。
先に紹介した米国内科学会の痛風治療のガイドラインでは「痛風と診断された人が食事内容、節酒、減量の指導を受けることで尿酸値が下がると言える十分な証拠はない」としているのですが、尿酸を下げるための生活習慣改善は、他の疾患予防にも大いに役に立つものばかりですから。

2010123106534032325.gif〖 医療情報 Pick Up おさらい 36 〗


今年最後のブログ更新となります。
師走の医療情報 Pick Up で紹介した情報は以下の 2点でした。

・受動喫煙で/小児の感染症リスク/増大の可能性 ( PLoS Med. 2010 Dec 7(12): e1000374 )

・果糖の多い飲み物の/多量摂取で女性の/痛風リスク上昇 ( JAMA. 2010;304(20):2270-2278 )


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先月に引き続き、受動喫煙の話題がありましたが、このところレポートが相次いでいます。
また、女性の痛風は日本ではほとんどお目にかかることはないのですが、アルコールだけが原因ということではないようですね。
飲み物に関しては医療情報Pick Up 26 でも紹介していますのでご参照下さい。

この 1年で紹介したものだけを振り返ってみても、生活習慣がいかに疾患と関連しているかがよくわかります。




         □ 関連記事  医療情報Pick Up  35

photo_3.gif〖 医療情報 Pick Up おさらい 15 〗


更新がややおろそかになって、今月お届けした「医療情報 Pick Up」 の情報は二つだけでした。


・カルシウム摂取の多い/女性は癌リスクが低く/男性は消化器癌の/リスクが低い (Arch Intern Med. 2009 Feb 23;169(4):391-401)

・男性において/ビタミンCの摂取で/痛風予防の可能性
 (Arch Intern Med. 2009 Mar 2;169(5):502-507)


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たまたま、昔からあるカルシウムとビタミン C というサプリメントに関係する話題が続きました。

この両者を同時にたくさん摂ると、理論的には尿路結石が形成される可能性があります。
現実にはほとんど起こらないと思われますが、興味ある方は、「シュウ酸カルシウム」等のキーワードで調べてみましょう。



         □ 関連記事  医療情報Pick Up  14


kekzkpou.gif 〖 医療情報 Pick Up おさらい 2 〗


例えば、「緑茶を多く飲むと胃がんを予防できるが、それが喫煙で台無しになる」というような報告が最近新聞記事になりました。
しかし、膨大な量の医療や健康に関する情報のうち新聞に掲載されるのはごくわずか。
そこで、私が普段目を通している物の中から、一般の方も興味を持ちそうな情報を選び出し、当ブログの左側のカラムにある「お知らせ」の中で紹介しています。

この一ヶ月に掲載したものをまとめてみました。

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・週5日以上/30分以上の早歩き/等の運動で/生物学的年齢を/10歳若くする可能性 (Arch Intern Med 08/1/28)

・ソフトドリンクと/果糖の摂取量に応じ/痛風リスクが上昇 (BMJ 08/1/31)

・喫煙者は非喫煙者より/深い睡眠時間が短く/不眠の愁訴も多い (Chest 08/2)

・肥満により/食道癌、胆嚢癌/子宮内膜癌/閉経後乳癌、大腸癌/血液の癌などの/リスクが増加 (Lancet 08/2/16)


         □ 関連記事  医療情報Pick Up  1


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