野口内科 BLOG

  野口内科は鹿児島市武岡に開業して46年を迎えました。
  当ブログでは、当院からのお知らせ、医療・健康に関する情報の他に、近隣の話題、音楽・本のこと等を綴ってまいります。

    診療時間 午前  9:00〜13:00
         午後 14:30〜18:00 (金曜は〜18:30)
    休診   日曜・祝日・木曜午後
    電話   099−281−7515
    住所   鹿児島市武岡二丁目28−4
    院長   野口 仁

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経鼻内視鏡

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当院の土曜日の内視鏡検査は第3土曜日に限って実施しておりました。
しかし、この 4月より第1土曜日も検査が行なえるようになりました。

ということは今月は本日 4月 2日
突然決まったことなので周知が徹底出来ておりませんが、お仕事の都合で土曜日でないとどうしても検査が受けられない方は、是非ご活用を。
経鼻内視鏡をとくにお勧めします。

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先日、震災による甲状腺機能低下症に対して用いる薬「チラーヂンS」の供給停止の話をしましたが、工場の再開のめどが立ち、輸入品と相まって 4月中旬からは問題は解決しそうです。

それ以外にもいくつか影響があります。
当院では漢方薬の一部、インスリン自己注射用の針、経腸栄養剤などにしばらく影響が出そうです。

内視鏡関係では前回お伝えしたオリンパスの修理サービス以外に一部の内視鏡洗浄剤の製造・出荷停止が生じています。
当院はフジノン製の内視鏡の上、電解酸性水を用いた内視鏡消毒を行っているため全く支障をきたしていませんので、安心して検査を受けていただきたいと思います。

  << 胃食道逆流症 第9回 >>


2010111715542930716.gifさて、5月末からぼちぼちと書いてきた胃食道逆流症に関する連載も最終回。
本来なら、第3回で取り上げるべきだったかも知れませんが、胃食道逆流症 ( GERD ) の食道外症状についての追加説明です。

♦♦ 胃液の逆流で口臭 !?

まず口臭について。

口臭の原因の8-9割は、歯周病や虫歯など口腔内にあるとされています。
あと、呼気ですよね。
ニンニクを食べて口臭がするのは、成分が血液を介して呼気に出るからです。
ガムを噛んで対策を講じる方もいると思いますが、あまり意味がないのです。

口臭が気になるので胃の検査をしてくれ、という方がたまにいらっしゃいますが、これまでは胃が原因のことは極めて少ないと説明してきました。
なぜなら、食道の入り口は物を飲み込むとき以外は閉じているので、臭いが漏れてくることはまず考えられないからです。
それに口臭を訴えてはおられるけれどもそれが他覚的に確認できない、自分だけが気にしている自臭症である場合が多いからです。

ところが、最近の研究で、口臭の一因となる舌の付け根付近の細菌増殖は GERD が原因と推定されるようになってきました。
口臭と GERD の関連性を示す報告が散見されるようになってきましたので、口臭を訴えられる方にも内視鏡検査をお勧めしております。
経鼻内視鏡だとある程度舌の付け根付近の観察もできますよ ( 経口だと無理です ) 。

♦♦ 胃液の逆流で歯ぎしり !?

そして、歯ぎしり

これは、地元鹿児島大学の歯学部の研究が有名です。
咬合不全の患者さんがたまたま GERD を合併していて、内科で酸分泌抑制薬を処方してもらったところ、顎の痛みが軽くなっただけでなく、薬の内服前に比べて歯ぎしりの回数が著しく減ったことから研究がスタートしたようです。
GERD を治療すると歯ぎしりは減り、逆に酸の逆流によって食道内のpHが低くなるのに合わせて歯ぎしりが活発になることもデータで示し、その関連性を見事に証明しています。
歯ぎしりによって唾液の分泌を促し、GERD の症状を緩和しようとしているのでは、と推測されています。

個人的には、幼児の歯ぎしりが GERD に関連したものなのかどうか気になります。
もしそうだとしたら、GERD はかなり若年の世代においてもしっかり治療しなくてはならない疾患ということになりますよね。


GERD は直接生命に危険を及ぼすような疾患ではありませんが、口臭や歯ぎしりなども含め生活の質に関わってくる疾患です。
これまでのこのシリーズを改めて読んでいただき、少しでも気になることがあれば、GERD の診断にはうってつけの経鼻内視鏡による検査を是非お勧めします。



  << 胃食道逆流症 第8回 >>


♦♦ 食道の入り口で胃液が…

のどの部分の違和感があるのに検査をしても何も所見を見いだせないものを咽喉頭異常感症と呼び、この原因の一つとして胃食道逆流症 ( GERD ) が挙げられます。
胃液が鼻や耳にまで影響を及ぼすことは、このシリーズ第3回で述べた通りです。
ところで胃液を作る場所が胃だけではなく、食道の入り口でも作られるとしたら・・・、そんなことあるのでしょうか。

20101026161538356.gif♦♦ 食道入口部異所性胃粘膜の写真

内視鏡で検査を行なうと右の写真のように食道の入り口に胃粘膜を見つけることがあります。
左右両側にあるやや赤い部分がそれ。
これを食道入口部異所性胃粘膜 ( 通称 Inlet patch ) と呼びます。
GERD の分野で著名なある先生にこの inlet patch についていくつか質問をぶつけたことがありますが、先天性のものだし酸分泌をすることもないので問題ないでしょうとにべもない返事でした。

ここで inlet patch について深く掘り下げてみましょう。

♦♦ どうしてできる ? 食道入口部異所性胃粘膜

胎児の時代に食道が作られるとき、表面の円柱上皮が扁平上皮に置き換わってくる現象が、食道の中部付近から始まって徐々に口の方と胃の方に進んでいきます。
進み方が不完全で食道の入り口に取り残された円柱上皮がこの inlet patch になるというのが定説です。
Inlet patch の細胞を詳しく調べた研究でグルカゴンというホルモンを分泌する細胞を見いだすことがあるそうです。
グルカゴンは成人では膵臓で作られますが、胎生初期の胃ではグルカゴンを作る細胞が存在します。成長とともに消失することから、inlet patch が胎生期の粘膜の名残りであるという説を支持するものになっています。
でも、inlet patch は胃の上部の噴門腺領域の粘膜に似ていて、胎生期の円柱上皮とは異なるので先天性ではないとする説も存在します。

♦♦ 食道入口部異所性胃粘膜の治療は ?

この inlet patch の組織を採取して顕微鏡で調べると胃酸を分泌する壁細胞が見つかることがあります。
胃液がわざわざ胃から逆流してこなくても、食道入口部で酸が分泌されればのどの不快感を起こすであろうことは想像できますよね。
これまで臨床の現場で、そのような症状があって inlet patch がある人に PPI ( proton pump inhibitor ) などの酸分泌抑制薬を投与して症状が治まる人を何例も経験しています。
また、この異常感があってなおかつ PPI でも治らない人に対して inlet patch を電気的に焼いてしまうことで治療する方法も昨年紹介されました。( Gastroenterology. 2009 Aug;137(2):440-4 )
この場合、悪さをしているのは酸ではなく粘液ではないかと推測されています。

♦♦ 案外多い食道入口部異所性胃粘膜
さて、inlet patch がどのくらいの頻度で見つかるのかというと報告で大きなばらつきがあって 0.1 - 20 % と200倍の開きがあります。
日本人を対象とした内視鏡での検討では 14.2%、つまり 7人に1人の割合で発見されるようです。( Progress of Digestive Endoscopy 2005 ; 66 : 19-21 )
海外の報告は一桁台が多いのですが、日本人に多いのか海外の内視鏡レベルが低いのかのどちらかでしょう。

♦♦ まだまだ研究の余地がある食道入口部異所性胃粘膜

Inlet patch 部分へのピロリ菌感染や癌の発生などの報告もありますし、前章で紹介した日本人での内視鏡検討では高齢者においてinlet patchを有する頻度がやや低いとなっています。
成人以降もかなり長い時間をかけて食道粘膜が完成していくのか、はたまた若い世代に GERD が多いことと関連するのかなど興味は尽きないのですが、消化器をやっている医師の間でもあまり重要視されていないのが現状です。
本当に先天的なものとしていいのか ( Barrett 上皮のように後天的なものがないか ? )、GERD の食道外病変と同様の症状にどのくらい関与するのか、どうして inlet patch が生じやすい方向があるのか ( 3-4時方向と9-10時方向に多い印象です ) など inlet patch には研究の余地はたくさんあります。

食道胃接合部の観察には経鼻内視鏡が優れているということはシリーズ第4回で書きました。
実は経鼻内視鏡を導入するときに、反射が少ないことから inlet patch の観察もしやすくなるのではと期待していましたが、逆に近接して見づらい状況に苦労しています。
しかし食道入口部の観察も念を入れてやっておりますので、咽喉頭異常感症の症状があって内視鏡を受けられたことのない方は是非検査を。

( 2022年5月31日更新 )




  << 胃食道逆流症 第7回 >>


2010100617293027853.gif♦♦ GERDに使う漢方薬

前回に引き続き、治療薬のお話です。
消化器病の分野で作用機序の解明が進められつつある漢方薬の一つに六君子湯があります。
主に胃においての研究が多いのですが、食道においてもいくつかの報告があります。
内視鏡検査で異常を認めない非びらん性胃食道逆流症 ( NERD ) において、PPI ( proton pump inhibitor ) でも症状の改善しない例では食道の運動機能が低下していることがわかっていますが、六君子湯はこの食道の運動機能を改善します。
また、胃の内圧を下げる作用もあり、間接的に食道への逆流を防いでいると考えられます。

私が注目しているのは半夏厚朴湯という漢方薬です。
昔から、のどの違和感があっても検査で何も所見がない咽喉頭異常感症という病気にこの薬剤がよく使われてきました。
シリーズ第3回胃食道逆流症 ( GERD ) の食道外症状について書きましたが、GERD により咽喉頭異常感症が引き起こされることもわかっていますし、実際に半夏厚朴湯を投与してこの食道外症状が緩和されるケースを何度も経験してきおり、治療の有効な手段の一つと考えています。
この漢方薬も科学的に薬効薬理が明らかになることを望みます。

♦♦ GERDを悪化させる可能性のある薬剤

薬で一つ注意していただきたいのは、降圧薬の中でカルシウム拮抗薬と呼ばれるものです。
血管の筋肉が収縮するのを妨げることで血圧を下げるのですが、下部食道括約筋部 ( LES ) の圧も下げてしまい胸やけを悪化させてしまう可能性があります。

♦♦ 日常における注意点

次に日常生活におけるセルフケアについてです。

まずは姿勢ですが、病気の性格上、前屈みになったり食後すぐに横になったりするのは好ましくありません。
ベルトやコルセットなどをきつく締めつけないことも肝要です。
また、就寝時に上半身を高くして左を下にして寝ると逆流を起こしにくくすると考えられています。
液体をすするように飲むのも空気を多く取り込んでげっぷや逆流の元になるとされています。
そしておなかについた脂肪も大敵。
肥満の方は減量に努めることも大事で、最も重要なポイントです。
シリーズ第5回で紹介した症例もスリムな体形になったことが治癒の一番の要因だと考えています。

♦♦ 注意したい食べ物について

胸やけを起こしやすくする食べ物もあります。
肉や揚げ物、ケーキなど脂肪の多いものの刺激でコレシストキニンというホルモンが活発に分泌されるようになり消化を助けるのですが、このホルモンは LES の圧も下げてしまいます。
酸の強いもの、辛いもの、熱いものも大敵で、いずれも胸やけを感じる神経を刺激することがわかっています。
あんこやあんみつなど甘いものも胸やけの原因となります。
糖分が胃液に溶けると浸透圧の高い液になりこれが逆流すると胸やけを起こすとされています。
コーヒーも胸やけを起こすのですが、コーヒー中の3つの成分により胃酸分泌が刺激されることがつい最近判明しています。( http://health.nikkei.co.jp/hsn/news.cfm?i=20100401hj001hj )
この記事によると胸やけを起こしにくいコーヒーも実現可能となっていますね。
タバコやアルコールも好ましくないとされていますのでご注意ください。

なお、食後にガムを噛むと症状緩和の一助になりますので試してみてください。
唾液が増えると、胃酸を中和したり逆流した酸を胃に押し戻したりする作用が期待できるのです。



  << 胃食道逆流症 第4回 >>


症状から胃食道逆流症 ( GERD ) が疑われる場合に優先してチョイスされる検査は内視鏡になります。
GERD に関しては採血やレントゲン、透視などからはほとんど得られる情報はありません。

♦♦ GERDの内視鏡分類について

内視鏡検査によって、異常が見つからない非びらん性胃食道逆流症 ( NERD ) なのか、はっきりとした傷がある逆流性食道炎 ( RE ) なのかがわかります。
後者の場合、内視鏡検査でさらに重症度の判定を行うことができます。
一般的に Los Angels 分類というものが使われています。( 右下図 )

2010072812462623081.gif専門的になるので簡潔に説明しますが、Grade A と B は縦方向の傷同士がつながっておらず、長さが5mmあるかないかで分類しています。
Grade C と D になると長さに関係なく、縦方向の傷が互いにつながってきたもので全周の75%に及ぶか及ばないかで区別してあります。
日本においてはさらに色調変化型 ( Grade M )、内視鏡的に異常のないもの ( Grade N ) を加えて活用しているのが一般的です。

♦♦ 経鼻内視鏡で胃と食道の境界をつぶさに観察できる

さて、GERD の診断確定のために重要となるのは食道と胃の境界部分の観察です。
これには経口よりも経鼻内視鏡の方が優れていると私は考えています。
写真をご覧ください。
同じ被験者で同じ場所を写したものです。
EC.gif左の写真ではほとんど見えていない食道と胃の粘膜の境界部分が右の写真でははっきりと見えています。
実は、最初左の写真の状態だったのですが、息を大きく吸い込んでもらうことで右のような状態になるのです。
こうすることで RE による傷があるかどうかのキモである食道と胃の境界をつぶさに調べることができるわけです。
鹿児島では経口内視鏡をするのに鎮静剤の注射をする施設がほとんどです。
意識がもうろうとしている時に検査を受けられている方に息を吸い込んで、と言ってもまず実行できません。
鎮静剤を使わないで経口内視鏡を行なう場合でもその余裕がなかったり、反射でげっぷが出たりしてゆっくり観察ができないことが多いのです。
苦痛を与えずにつぶさに観察でき、かつ検査を受けられる方にもじっくりとこの部分の傷の状態を見て納得してもらえるわけで、経鼻内視鏡は GERD の診断にまさにうってつけだと思います。

♦♦ 内視鏡検査中のげっぷ

なお、内視鏡検査の際にげっぷを我慢しろと言われたことはないでしょうか。
咽頭部の刺激による反射で起こるのも理由の一つですが、食道裂孔ヘルニアの方はげっぷが出る傾向が強いように思います。
私はげっぷも GERD の原因となる食道裂孔ヘルニアの所見の一つとみなしています。
胃の入り口を閉める筋力が落ちているわけですから、げっぷをするな、と野暮ったい無理強いをすることはまずありません。
げっぷをすると空気が抜けて胃の壁が近接してしまいますし、壁が激しく動いて観察に時間がかかってしまうために指示をするわけですけど、我慢しろと言われても無理なものは無理ですものね。


2010071715291022583.gif ◆ 診療所ライブラリー 52 ◆


30代の女性漫画家が実際に人間ドックを受け、その体験をコミック仕立てにした本。
漫画なのであっという間に読めますが、どういう流れで人間ドックの検査が進んでいくのかが頭に入りやすいと思います。
医療施設の選び方や正常値であっても気をつけなければばならない点も解説がなされています。
医師の立場からも、受診される方がどのような気持ちで検査を受けているのかが分かって勉強になりました。

一つ残念なのは表紙にもなっている経鼻内視鏡の場面です。
検査は左側臥位 ( 左を下にして横向き ) で受けていただかなくてなりません。
内視鏡の構造上、絵のような右側臥位では検査が出来ないのです。
この点は、監修の先生も十分にチェックしていただきたいと思います。


   →臓器ちゃん、のぞいてみました

  << 胃食道逆流症 第3回 >>


2010070914065018686.gif♦♦ 胃液の逆流で起こる様々な症状

前回述べましたように、胃液が食道に逆流して胸やけや呑酸といった症状が起こることは納得できることと思います。
しかし、それ以外にも実にさまざまな症状が生じることがわかってきています。
それは・・・
胸痛、慢性の咳や喘息、咽喉頭症状、睡眠障害、中耳炎、虫歯、副鼻腔炎、肺炎や肺線維症などです。

♦♦ 逆流で中耳炎が…

中耳炎に関しては、中耳の浸出液を調べたらペプシンが検出され、胃薬を服用させて症状が改善したという報告がいくつかあります。
ペプシンは胃の主細胞だけが作る消化酵素で通常は中耳に存在しないはずですから、胃液の逆流が中耳炎の原因の一つになっていることは否定できません。

♦♦ 逆流で虫歯も…

虫歯と胃液の関係については今盛んに歯磨きのテレビCMでアピールされています。
体の中で最も硬い組織である歯のエナメル質の最大の弱点が酸ということもあって胃酸との関連性に興味が持たれたのでしょうが、胃食道逆流症 ( GERD ) で歯牙酸食の頻度が高いことが報告されています。
胃酸を中和する唾液が存在する口腔内で虫歯のすべての原因が GERD にあるわけでもないでしょうが、原因の一つとなりうると考えられています。

♦♦ その他にこんな症状も

他の疾患や症状についても、GERDの有無でグループ分けをしてGERDがあるとこれらの症状を有するものが多いこと、胃薬で症状が治る割合が高いことなどからGERDとの関連が推測されています。

実際、心臓の痛みだと思っていろいろ調べたけれども異常がなく胃薬を飲んだら胸痛が治った、とか慢性的に悩まされていた咳が胃薬で落ち着いたとかいう例をこれまでいくつか経験しています。

また、高度の貧血をきたす場合もあります。
胃液の逆流が原因で下部食道に高度の炎症をきたして慢性的にじわじわ出血している例を主に腰の曲がった高齢者で見受けることがあります。

胃酸の逆流が単に胸やけ程度にとどまらない多様な食道外病変を引き起こすことは理解いただけたと思います。
このGERDをチェックするのに重要なのはやはり内視鏡による検査となりますが、普通の経口内視鏡よりも経鼻内視鏡の方が威力を発揮します。
これについては次回。


2010061923064431201.gif私が経鼻内視鏡を用いた上部消化管の検査を行なうようになって今月で丸4年が経過しました。
経鼻内視鏡がかなり普及したこともあって、「以前別の施設で鼻からカメラをしましまた」とおっしゃる方も増えています。
ただ、「楽だと言われて受けたのに辛かった」と言う声もかなり耳にします。

理由がいくつか考えられます。

まず、鼻の麻酔の方法。
当院では手間がかかるが最もよいとされているスティック 2回法を行なっています。
といってもそんなに時間がかかるわけではないのですけどね。
スティックを用いないスプレー麻酔だけだと辛さを感じる場合が多いようです。

次に内視鏡のメーカーの違い。
当院で扱っているフジノン製の内視鏡の柔らかさにアドバンテージがあります。
他社製品だと硬かったり、抜去困難に陥ったりで鼻に優しい機器とは言えません。

そして内視鏡医の技量。
4年前の私と今の私を比べるとやはり経験を重ねた分後者がうまいに決まってます。
自分で自分に行なった 2度の経鼻内視鏡検査の体験を活かし、不安やつらさを取り除くため声をかけながらながら検査を進めております。
「前の病院よりきつかった」と言わせないよう、日々努力しております。

201004201301597534.gif先月のことですが、オリンパスの新しい内視鏡を試す機会がありました。

まずは大腸内視鏡の PCF Q260JL/I 。
特徴は副送水装置がついたことや少し細くなって先端のアングルの小回りが利くようになったことなどです。
副送水はペンタックスの後追いだし径が細くなることは必ずしもいいとは限らないのですが、アングル操作は小気味よくとても気に入りました。
上行結腸や直腸での反転操作などもスムーズで、大腸内視鏡においては長年のノウハウのあるオリンパスのアドバンテージが光ります。

そして経鼻内視鏡の GIF XP260NS 。
ライトガイドが2つになったことが大きな特徴となっていますが、その分若干太くなっています。
従来のオリンパスの経鼻内視鏡は硬くて先端部分の径が不均一で被験者の苦痛が大きかったのですが、その点もやや改良されてようやく使える機器になったという気がします。
ただ、自分が検査を受けるならまだまだフジノンの内視鏡を指名しますけれども。

両機種とも他社メーカーのいいところを取り入れたという感じで、ライバル車を徹底的に追い落とすトヨタみたいなやり方ですが、メーカー同士切磋琢磨して内視鏡がより良い次のステージへ進化していくことを望みます。

2009111114163019921.gif
当院で経鼻内視鏡を導入して丸 3年が経過しました。
私にとって上部消化管の検査を経鼻で行なうことはごく普通のことになってしまい、経鼻内視鏡についてブログの記事を書くのは意外や今年初めてです。

この 3年で様変わりしたな、と感じるのは患者さんと会話を交わしながら検査を進めていくのが当たり前になったことです。
昨年末より使っている「Advancia」とい機種では画面をフリーズできるようになり、サブモニターに静止画面を映してその場で細かく説明することで患者さんも自分の体の中で起こっていることに対する理解度が俄然違ってきました。
たまに鎮静剤を使って経口内視鏡をするとほとんど無言のままでの検査に何か物足りなさを感じてしまいます。
施設によっては市販のゴーグル型のモニターを患者さんに装着してもらっている所もあるようですが、面白いアイデアだと思います。

中には鼻の奥が狭くて、どうしても経鼻内視鏡が入らない方がいらっしゃいます。
一般に言われているように男性よりも女性に、高齢者よりも若い人に、そして小顔の人に入りにくいケースが多い傾向にあります。
残念ながら鼻から挿入できなかった人には「若くて小顔ということです」と慰めております。

大病院では導入に消極的なところもまだ多いと聞きます。
いくつかのデメリットもありますが、スクリーニング目的には楽に受けていただける経鼻内視鏡は今後ますます普及し確固たる地位を築いていくものと思われます。

wvy457vy.gif昨年1年間の当院での内視鏡検査について振り返ってみます。

上部消化管内視鏡検査数は07年に比べ、23% 増えました。
基本的に経鼻内視鏡を用いていますが、経鼻を試みて挿入できずやむなく経口の検査に切り替えたのが全体の6.3% ありました。
多くの報告で鼻の奥が狭くて挿入できないのが 5% 前後とされていますので大差はないのかなと考えています。

大腸内視鏡検査数は07年より68% も増加。
ブログなどで経鼻内視鏡の宣伝にばかり力を入れていまいますが、得意とする大腸内視鏡もようやく軌道に乗ってきたようです。


syuw3awq.gif当診療所の内視鏡が新しくなり、18日の検査より使い始めました。

フジノンがこの秋に発売した「Advancia」というシステムです。
これを導入したのは当院が鹿児島県で一番最初になるそうです。
九州内でもまだ 3, 4件目位ではないかとの話です。

最大の特徴は画像処理機能が標準で搭載され、シャッターひとつで標準画像と処理画像の同時記録が可能ということ。
それから助かるのは画面のフリーズができるようになったことです。
経鼻内視鏡の検査の際、受けられている方にサブモニターで説明をする上で従来の機種ではフリーズできなかったのが難点でしたが、これで解決。

新機能を検査の際に最大限に活用して、皆様の健康管理に役立てていきたいと考えています。


kxx2wdzv.gif当院で経鼻内視鏡を導入してちょうど 2年が経ちました。
このブログではこれまでも経鼻内視鏡の話題を何度も取り上げています。

  まとめた記事はこちら →  扱い始めて 2年

さて、フジノンがこの秋に発表した内視鏡の最新モデルのデモ機を鹿児島で真っ先に扱えるというチャンスをいただき、20日、久しぶりに自分で内視鏡検査を行いました。
結果は前回と同じく表層性胃炎と胃ポリープでした。

患者さんに対して検査を実施する時と自分に入れる時とで内視鏡の向きが異なるので、動かし方の勝手が違います。
特に梨状窩から食道へ進めていくのに最も苦労します。
そして座位をとったままなので胃に空気を入れて膨らますとおなかが張って少々つらいですね。

しかし自分でできてしまうほど苦痛の少ない検査です。
内視鏡検査に抵抗感をお持ちの方に是非お勧めします。


mrlwxtpv.gif当院で大腸内視鏡をしていることがようやく認知され始めたか、このところ検査実施数が増えています。
ご承知の通り、木曜午後が休診となったため、逆に減ってしまうのではないかとの懸念があったのですが、今年はこの 8月で早くも昨年 1年間の件数を超えました。

最近は、大腸がん検診で便潜血が陽性ということで検査を受けに来られる方をかなり多く見受けるようになりました。
大腸がんや便潜血反応検査については、昨年当ブログで「大腸がん」シリーズとして連載しております。
ブログで経鼻内視鏡のことばかり宣伝してきましたが、そちらのシリーズも参考にしていただき、当院の大腸内視鏡検査も積極的に活用してください。


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