昨日、6月27日に東京都の受動喫煙防止条例が成立しました。
公共施設や飲食店での禁煙は、もはや世界のトレンドです。
今年のゴールデンウィークに行ったハンガリーの2016年の喫煙率は男性が32.0%、女性が24.8% ( 日本はそれぞれ 33.7%、10.6% ) ですが、閉鎖空間は全て禁煙。
なので、一度も飲食店で不快な思いをすることなく食事を楽しめました ( オープンテラスは別でしたが ) 。
厚労省の推計によると、受動喫煙による死者は年間1万5千人、かかる医療費は3000億円超となっています。
死者は東日本大震災の犠牲者並みの数なのです。
しかし、東京オリンピック開催に向けて取り組まなければいけない課題であるのに、世界保健機関 ( WHO ) も日本の受動喫煙対策を最低ランクに位置づけているのに、国の対応はひどいものですよね。
先日の衆院厚生労働委員会で、自民党の穴見陽一議員が参考人に対して「いい加減にしろ」とヤジを飛ばしたのは許し難いと感じています。
さて、twitter 上でお届けした医療関係の情報を月末にピックアップしておさらいするこのシリーズ。
今回は、まずタバコに絡む話題から4つ。
① 禁煙すると肺がんのリスクが低下するという報告。
意外と知られていないのですが、口腔・口唇・副鼻腔・咽頭・喉頭・食道・胃・肝臓・膵臓・膀胱などのがんの発症にもタバコが絡んでいるとされています。
禁煙5年で肺がんスクが39%低下。タバコは肺がん以外にも様々な疾患の原因になるけど、こういうデータあると禁煙の後押しになるかも。‥New research finds lung cancer risk drops substantially within five year... https://t.co/6Jdj9vJyMC
— 野口内科_日々の独り言 (@washi_omu) 2018年6月1日
② 吸わないに越したことはありませんね。
たばこたった1本でも、心血管疾患のリスクに。 https://t.co/BQPerSqfSa
— 野口内科_日々の独り言 (@washi_omu) 2018年6月10日
③ 一酸化窒素は血管が緩んで拡張するのに必要な物質です。
電子タバコに使用される香料で血管内皮細胞の一酸化窒素産生が障害される。‥E-cigarettes may damage blood vessels in the same way as HEART DISEASE https://t.co/SynuWRKd62
— 野口内科_日々の独り言 (@washi_omu) 2018年6月19日
④ 妊娠中の喫煙は、胎児の肺の発達への影響や肝臓へのダメージ、将来の肥満のリスクになる等の報告もあります。
「胎児は母親よりも体内のニコチン濃度が高くなることに加え、発達中の胎児の蝸牛はニコチンや他の化合物の毒性の影響を受けやすいのかもしれない」‥受動喫煙で子の聴覚障害リスクが2.35倍に https://t.co/U9cJ93tCZL
— 野口内科_日々の独り言 (@washi_omu) 2018年6月20日
次に、個人的に興味があった7つの情報です。
⑤ 内視鏡的逆行性胆管膵管造影 ( ERCP ) の検査の後に急性膵炎を起こすことがあり、その治療に使う蛋白分解酵素阻害薬を膵炎の予防目的で使う場合があります。
しかし、その効果には疑問が呈されていました。
また、ジクロフェナクやインドメタシンの坐薬の有効性が示されていたのですが、副作用の問題もあり、まだ推奨されるレベルにはありません。
しかし、今回の報告ではなかなかいい結果が出ていますね。
ERCP後の膵炎予防に低用量のジクロフェナク坐薬が有効。非投与群の10例発症(13.7%)に比べてジクロフェナク群では3例(4.1%)と有意に少ない(P=0.0460)。
— 野口内科_日々の独り言 (@washi_omu) 2018年6月4日
薬価の高い蛋白分解酵素阻害薬や抗菌薬の予防的投与は不要ということですね。 https://t.co/yHCQfX8LxT
⑥ 現在のところ風邪を根本的に治す薬はありませんが、これは期待したい報告です。
風邪の原因となるウイルス全てが利用するヒト細胞内の酵素N-ミリストイルトランスフェラーゼを阻害する物質を開発。本格的な風邪治療薬になることを期待したい。 https://t.co/54jlSYTyWh
— 野口内科_日々の独り言 (@washi_omu) 2018年6月4日
⑦ 私は、夕方にコーヒーを飲むと夜眠れなくなります。
なのでCYP1A2が弱いものとばかり思っていました。
しかし、CYP1A2が弱いと眠気が強く出るであろうテルネリンを服用しても眠くなりません。
カフェインに弱いのは別のところに原因がありそうですね。
カフェインの感受性ってCYP1A2の遺伝子多型だけじゃなくて、中枢神経系のアデノシンA2a受容体の遺伝子多型というのも関係してるんですね。‥カフェイン感受性の3つの主要なグループを示す新しいレポート https://t.co/x5IbR7YAWy
— 野口内科_日々の独り言 (@washi_omu) 2018年6月13日
⑧ 抜けた歯を牛乳に浸しておくといいというのは初めて知りました。
歯が抜けたり、根元近くから欠けたりした場合、牛乳に浸漬して30分以内に歯科へ。再移植できる可能性あり。知らんかった。‥ぶつかって前歯が抜けた!どうしよう…そんなときは牛乳を用意して。歯科医に聞いた対処法 https://t.co/lW8AaxNacd
— 野口内科_日々の独り言 (@washi_omu) 2018年6月14日
⑨ 時々、予期せぬ薬の使い方をされる方に遭遇しますが、メプチンエアを一度に100回も吸入とは驚きです。
こういうことが起こらないよう、服薬指導は徹底したいと改めて思いました。
喘息の吸入キットに「吸入100回」と書いてあったので100回吸入して、乳酸アシドーシス,低K血症,高血糖,頻脈をきたした小児の症例。
— 野口内科_日々の独り言 (@washi_omu) 2018年6月19日
吸入回数の指導は大事。‥https://t.co/yFrigy5NpN
⑩ アルツハイマー型認知症の原因がヘルペスウイルスにあるとしたら、ワクチンで予防ができる可能性がありますね。
非常に興味ある報告ですね。‥アルツハイマー発症、ヘルペスウイルス2種関係か https://t.co/rbDwK5xgf0
— 野口内科_日々の独り言 (@washi_omu) 2018年6月22日
⑪ 腐食性食道炎はとても厄介ですが、内視鏡で原因物質を除去するまでにハチミツを使うのが良さそうです。
ボタン型電池の誤飲の際、誤飲後の蜂蜜の摂取により食道組織の損傷が軽減する可能性。リチウム電池は高電圧の放電により急速にアルカリ性液を産生するが蜂蜜は弱酸性。 https://t.co/Qd25wx0PaD
— 野口内科_日々の独り言 (@washi_omu) 2018年6月22日