野口内科 BLOG

  鹿児島市武岡に開業して42年の野口内科です。
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酸化マグネシウム

<< ジェネリック薬品を考える 第5回 >>


我々がよく処方する便秘薬の一つに「酸化マグネシウム」というものがあります。
シリーズ最後はこの酸化マグネシウムの後発品同士を比較してみます。

大腸は食べ物の残りかすから水分を吸収する役割があり、 上行結腸あたりではまだどろどろの内容物も直腸へと進む間に水分含有量が少なくなり便が形作られていきます。
酸化マグネシウムは、大腸が吸い上げようとする水分を抱え込んで離さないようにするので、残渣中の水分が保持され便が硬くならないようにしてくれます。
その結果、踏ん張らなくても排便できるようになるわけです。
これを我々は緩下作用と呼んでいます。

以前は
服用しづらい粉末しかなかった酸化マグネシウムですが、後発品メーカーが工夫して錠剤を発売しています。
代表的なのが「マグミット」と「マグラックス」です。
なぜ錠剤がそれまで無かったかというと、酸化マグネシウムは胃液中の塩酸と反応して塩化マグネシウムに変化する必要があるからです。
( MgO + 2HCl → MgCl2 + H2O )
詳しくは当ブログ「ニガリダイエットの正体」 に書いてありますのでそちらをご覧下さい。

せっかく登場した酸化マグネシウムの錠剤なのですが、両者には大きな違いがあります。
そのことを示した見事な論文がありますのでそちらをご覧下さい。( → 酸中和作用による酸化マグネシウム錠の品質評価
論文中から引用させてもらった写真を見ていただきたいと思います。マグミット
水に溶かした後の粒子の様子です。
「マグミット」( MM ) は細かい粒子になっていますが「マグラックス」( ML ) は粒子径が大きいまま。
塩酸を含む試験液と反応させると速やかにpHが変化するのは前者。
塩化マグネシウムが生成されないと
緩下作用が発揮できないわけですから、「マグミット」を「マグラックス」に変えた途端に便が出づらくなるとか、あるいはその逆のパターンも起こり得るということになります。

知ってか知らずか「マグラックス」のメーカーは後に細粒剤を出してきました。
錠剤の欠点を補いつつ、飲みやすさを追求して新たな剤形を作ってきたメーカーの姿勢には感服いたします。

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「加齢排便強迫症」とでも名付けてしまいましょうか・・・。
どうしても1日1回は便が出ないと気が済まない。
そのためにあらゆる手段を講じる。
そういう人が不思議なことに高齢の男性に圧倒的に多いようです。
話を聞いてみると、水様の便で1日に何度もトイレにいっているにも関わらず、大量の下剤を飲んでいるのです。
そこまでして出す必要がどこにあるのか、と聞いてみると必ず返ってくるのが「今日出なかったらどうしてくれるんだ」といったような内容の言葉。

年をとると大腸の運動機能が若い頃に比べて低下するため通過時間が長くなり、その分余計に水分が吸収されてしまい硬い便になりがちになります。
また直腸や骨盤底筋群の働きの衰えで、踏ん張る力も落ちてきます。
若い頃は毎日のように出ていたのに・・・、気持ちはわかりますが若い頃とは違うのです。
女性でも同様のことが起こっているはずですが、比較的若い頃から便秘の方が多いせいか、男性のように排便にこだわる人はめったに見かけません。

センナ系の薬は即効性が期待できますが、連用していると効きが悪くなり徐々に使用量が増えてしまいます。
中国最古の薬学書である神農本草経では、センナの成分を含む大黄を長期に連用してはならない品目に分類しています。
まずお勧めするのは酸化マグネシウム
これは便の中に混じり込んで水分を保持し、便を柔らかい状態に保ちます。
また、麻子仁丸、潤腸湯、大建中湯などの漢方薬も高齢者にはお勧め。
新レシカルボン坐薬は挿肛すると腸の中で炭酸ガスを発生し、直腸を刺激することで排便を促します。
炭酸ガスと聞くと体に悪いのではと思われるかもしれませんが、腸からの吸収が早く血液を介して呼気に逃げていきます。
最近は、苦痛軽減目的で大腸内視鏡検査時の送気に炭酸ガスを使う施設が増えてきています。

これらの薬を組み合わせ、センナ系薬剤はあくまで頓服で利用するようにして程よい硬さの便が出るように調節していきましょう。

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