野口内科 BLOG

  鹿児島市武岡に開業して42年の野口内科です。
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飲酒

どこぞやのグループの「メンバー」が、アルコールが元で道を外してしまったようですね。
その報道の最中、非常に興味深いニュースが飛び込んでました。( → 酒に弱い日本人が増えるよう「進化」 遺伝情報から判明 )

げこアルコールを飲むと顔が真っ赤になってすぐにダウンする人もいれば、まったく底なしの人もいます。
これは、アルコールを分解する酵素の働きの強弱という遺伝的な要因に依存しています。

アルコールの分解には、アルコールをアセトアルデヒドに変えるADHB1と、アセトアルデヒドを酢酸に変えるALDH2と呼ばれる2つの酵素が関与しています。
日本人を含む黄色人種では他の人種に比べてこの酵素の働きが弱い人が多いのです。
白人や黒人では酵素の働きが弱い人はまず存在しないので、お酒を飲んで顔が真っ赤になってしまうことがないのです。

酵素の働きが弱い人では、
● 脳梗塞になる人が多い
● アルコールに加えて喫煙すると咽頭がんや食道がんになりやすい
ことなどが既に知られています。
食道がんの人に飲酒と喫煙の状況を聞き取るのは、我々医者にとって当たり前の作業です。

利点はないばかりように思えるのですが、今回の研究報告によると、酵素の働きが弱くなる遺伝子変異を積極的に受け継いできた跡が遺伝子解析から分かったのだそうです。
進化の過程で何らかのメリットがあった可能性がうかがえます。
アルコール飲用の際の糖代謝がわずかに改善するという報告がありますが ( → こちら ) 、他にも生存に有利に働く作用がきっと潜んでいるでしょうね。
そのあたりを探っていくのも楽しそうです。

ちなみに、日本人の中でも酒に強い弱いに地域差があると以前報告されていました。
都道府県別にみた酒に強い人が多いベスト3は、秋田、岩手、鹿児島の順なんだそうですよ。 ( → こちら )

こんぶ〖 今月のつぶやきから 74 〗


この冬は11月くらいから寒くて寒くてうんざりしましたが、春の兆しも窺える今日この頃。
インフルエンザも概ね落ち着いてきた外来です。


今回の「今月のつぶやきから」は12題をピックアップしています。

最初は、脂肪肝やメタボなどに絡む6つの情報です。
キウイフルーツで脂肪肝の予防、逆に魚油が脂肪肝のリスクになるというのは興味深い話です。
風邪をひきやすい人は、食事や運動など生活習慣の見直しが必要のようですね。







次は、認知症に関する3つの情報です。
ホップに含まれるフラボノイドが認知機能を改善させるようですが、逆に飲酒は認知症のリスク。
どうしたらいいんでしょうね。




最後に個人的に興味を持った情報を3つ。
唾液分泌促進に昆布だしを使うのは面白い発想です。
潰瘍性大腸炎クローン病の人は帯状疱疹の予防接種を受けておいた方が無難ですね。
卵巣がんリスクが父方から受け継ぐという話も興味深いです。 



  << 出血をきたす消化器疾患 第3回 >>


Mallory_Weiss.gif出血をきたす消化管出血としてまず、Mallory-Weiss ( マロリー・ワイス ) 症候群 ( 以下 MWS ) を取り上げます。
名前だけ聞くと、仰々しく一体どんな疾患かピンとこないと思いますが、嘔吐などで腹腔内圧や食道内圧が上昇することで食道と胃の境界付近の粘膜に裂け目ができて出血するという病態を言います。
最初に Mallory と Weiss によって、飲酒後の嘔吐に引き続き吐血した患者、15例を調べたら食道胃接合部の裂傷が原因だったと報告したので彼らの名前がついているわけです。
発表されたのは1929年。
当時は内視鏡なんかありませんから、解剖結果によるレポートになっています。

このシリーズでは、医学知識の変遷についても考察していくつもりですが、この MWS も格好の材料です。
というのも、彼らが最初に発表した論文が、飲酒に絡む患者の剖検例だったため、私が学生時代に使っていた朝倉書店の内科学、第四版では「大量飲酒後の悪心・嘔吐に引き続いて吐血をきたす疾患である」とあたかも飲酒が引き金であると断定して書いてありましたし、大学の講義でもそのように教わりました。
検査をして MWS が発見された場合、必ず飲酒をしたかどうかを聞くのが常だったのです。
アルコールで粘膜が脆弱になるのが原因なんじゃないか、なんて言っていた先輩医師もいたくらいです。

しかし、私が初めて遭遇した MWS はソバを食べた後に嘔吐した症例でした。
結局飲酒後に限らず、嘔吐を契機にして傷が入れば生じる疾患なのです。
これは、内視鏡検査が普及して容易に診断が下せるようになったことが大きいと考えます。
軽症例もたくさん発見できるようになり、決して珍しい疾患ではないこともわかってきました。
内視鏡検査時に激しくオエオエして、それで MWS を生じることも無きにしもあらずなんです。

ほとんどの場合、放ったらかしておいても自然に治ってしまいますが、まれに止血操作を必要とすることもあります。

写真の解説をしておきますが、右上のものは典型的な飲酒後の嘔吐で生じたもの。
中央が胃の入り口である噴門で、2時の方向にある傷から出血しています。
検査中は左側臥位になるため、反対側 8時の方向に流れた血液が溜まっているんですね。
( 方向の見方については「逆流性食道炎の内視鏡写真」を参照して下さい。)
この症例は特に処置をしませんでしたが自然に治りました。

MW03.gifもう一つ、左の写真はたまたま検診時に発見した傷跡を写したもの。
5時の方向にある白い細長い筋がそれで、治りつつあるところです。
「何日か前に血を吐きませんでしたか ?」
「そういえば、酔って吐いた時、血が混じっていたような・・・」
本人さん、記憶が曖昧でした。
病院に来なくても自然に治ってしまうということですね。

atgom2vv.gif 〖 医療情報 Pick Up おさらい 3 〗


この一ヶ月で告知板に掲載した「医療情報 Pick Up」の記事は以下の通りです。

・小児の塩分摂取減で/ソフトドリンク摂取が減少し/肥満、高血圧などを/予防できる可能性 (Hypertension 08/2/20)

・高齢者の日中の/無意識な居眠りで/脳卒中のリスクが/4倍以上に増加 (Medscape 08/2/29)

・魚を食べる頻度に応じ/心拍変動が減少/米国成人で (Circulation 08/3)

・中年期から適量の/飲酒を始めると/心血管系疾患リスクが/非飲酒者より4割低減 (Am J Med 08/3)

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さて一昨年当ブログでネタにしたことが今月半ばに一部の新聞で報道されました。
新聞に書かれていることは、彼が鹿児島に来た時におおまかに聞いていました。
しかし、発表前だったので先のブログでは内容には触れないようにしておりました点はあしからず。
次のステップはサルを使っての研究。
また話が聞けることでしょう。


         □ 関連記事  医療情報Pick Up  2


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