痛風フェブキソスタットという尿酸を下げる薬があります。
米国では今年2月、古くからある薬・アロプリノールよりも死亡リスクが高いとして「アロプリノールが無効または重篤な副作用が生じたために使用できない患者にのみ使用する」よう用途を制限しました。
更に7月17日、英国においても「心血管疾患既往例には他に選択肢がない場合を除き、用いない」よう勧告が出されました。
日本では、厚労省が7月9日に注意喚起を呼びかけたに留まっています。

これらの措置は、2018年秋にNew England Journal of Medicineで発表されたCARES試験の結果が基になっています。
しかし、一部からは試験の脱落例が多く、その扱い次第では評価が変わる可能性が高いという指摘もなされています。

一方で、本年3月にはEuropean Heart Journalに「高尿酸血症のある高齢患者で脳心腎血管関連イベントを減少させることができ、特に慢性腎臓病の発症や進展予防が期待できる」とする日本発の多施設共同ランダム化比較試験 ( FREED研究 ) が発表されています。( → こちら )


以前にも指摘しましたが、海外では痛風発作の再発予防目的で尿酸を下げる薬を使います。
これに対して、日本では尿酸が高いというだけの「無症候性高尿酸血症」に対しても薬が使われます。
この点については、当ブログでも以前解説をしました。( → 大丈夫 ! 何とかなります 尿酸値は下げられる )
なので、CARES試験とFREED研究では、対象となった患者さんの背景が違います。
メタボリックシンドロームと関連が深い痛風の既往のある方を扱った前者とそうでない後者。
それで結果に差があるのかも知れません。
欧米では、今のところ高尿酸血症治療薬に心臓や腎臓の疾患の予防効果は認められないという立場でいます。
無症候性高尿酸血症を積極的に治療している日本から、欧米を納得させるデータをもっともっと発信していかなくてはならないと思います。
根拠がなければ、私もあまり積極的にはなれません。