○○ 学会レポート2012 その3 ○○


胃もたれ昨年の福岡での学会で、過敏性腸症候群に関するパネルディスカッションの内容に少しがっかりしたのですが、今回は消化管全体に幅を広げた「機能性消化管障害 ( FGID ) の病態と治療」というシンポジウムがあり、その多彩な内容に安堵しましたし、勉強にもなりました。
いくつか紹介しておきます。

機能性胃腸症の発症と幼少時期虐待歴との関連性というおもしろい切り口で検討した報告。
特に女性で関連が大きいようです。

GLP-1 というインスリン分泌を促す物質の濃度が FGID の患者では高くなっており、特に胃痛・胃もたれの症状と高い関連性があるという報告。
糖尿病治療に GLP-1 の注射薬がありますが、消化器系の副作用が多いことが知られています。
食欲が低下し体重減少も見込まれることから、それを期待してこの薬剤を選択する医師も多いのですが、消化器への影響はもう少し検討していく必要がありそうです。

胃から食欲を促すグレリンというホルモンが出ますが、胃食道逆流症のラットではグレリンに対する胃排出能の反応が低下しているという報告。
グレリン不応症とも言うべき病態があるというのは興味あるところ。
またこれが六君子湯で改善するという点も注目です。 

この他にも個人的に関心の高いものがありましたが、専門的で難しいと思いますで割愛します。

これまで胃腸の不調を「気のせい」だとか言われ続けて悩んでいた方も、研究が進み病態が解明されつつあるこの領域に期待して下さいね。