野口内科 BLOG

  鹿児島市武岡に開業して42年の野口内科です。
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N-ニトロソジメチルアミン

昨年、一部のメーカーが販売しているバルサルタンという降圧薬に発がん性があるとされる「N-ニトロソジメチルアミン」という物質が混入していたため自主回収するという通知がありました。
それに続いて、これまた一部のメーカーが販売するアムバロ配合錠にも同じ物質が混入していることが判明して、自主回収となっています。( → こちら )

胃さて、今回は胃薬の中でH2ブロッカーと呼ばれる種類のものの一つ、「ラニチジン」にも全く同じ物質が混入していたことが欧米から報告があったようです。
この報告を受けて、厚労省はとりあえず、製造販売業者に新たな出荷を行わないように指示を出したようです。
今のところ、既に市場に出回っている分に関しては自主回収は行われないようです。

世界的に見るとラニチジンは世界で最も使われているH2ブロッカーです。
日本ではファモチジンが一番売れています。
私は、ファモチジンを処方することはたまにありますが、ラニチジンは処方しません。
よく処方するのはラフチジンとニザチジン。
この2者は、胃酸分泌を抑える以外に多用な働きを持っているためです。
そのことについては当ブログで「まだまだ使えるH2ブロッカー」というシリーズで説明していますので、是非読んでみてくださいね。

7月6日にあすか製薬から、高血圧の治療薬であるバルサルタン錠『AAに発がん性があるとされる物質が混入していたため自主回収するという通知がありました ( → こちら ) 。
バルサルタン 大丈夫です既に問い合わせもいただいておりますが、当院で採用しているバルサルタンは別会社のものであり、問題はありませんのでご安心下さい。

後発医薬品は一般名の後に、アルファベットや仮名・漢字などで製薬会社名が記されています。
これをなぜかブランド名とは言わず屋号と呼んでいますが、
AAはかつて存在したあすか製薬の子会社「あすかActavis製薬」製品を示すものです ( → ちょっと古いですが、屋号対照表 ) 。
この屋号が異なっていれば、該当する製品ではないわけです。
なお、今回回収される製品自体は昨年9月で製造中止となっています。

問題となっている製品は中国企業の原薬を使っていたようですが、それに「N-ニトロソジメチルアミン」という物質が混入していたと、スペインから厚労省に情報が寄せられたそうです。
欧州やカナダなど22か国でもバルサルタン及びバルサルタンを含む配合剤の回収が始まっており、スペインでは100以上の銘柄に及ぶようです。( → 資料 1資料 2 )
N-ニトロソジメチルアミンは、タバコの煙や薫製製品などに含まれることがある物質ですが、なぜそのようなものが混入したのか、原因究明が待たれます。

コスト面のメリットから中国製品が使われるケースがあると思いますが、ちゃんとした成分が入っているのか、余計な物が含まれていないのか、独自に調べてみなければ何もわからないなんて恐ろしい話です。
今回は、医薬品だからこそこのような事実が判明したし、それに対して適切な対応がなされていると考えます。

問題は、皆さんが安易に手にするサプリメント。
その多くが中国に発注をかけているのですが、注文通りの成分が規定量含まれているのかどうか、調べる体力は発売元にはありません。
アミノ酸の原料が人毛であったり、鉄剤として鉄粉が入っていたりしてもわからないのです。( → 参考 サプリメントの正体 )
ましてや、考えもしない不純物が入っていたとしたら・・。
実際、某アスリートが表示には記されていなかったにもかかわらず禁止物質を含んでいたサプリをネットで購入して服用し、ドーピング違反に問われた事件もあります。( → 参考 サプリメントの危険性 アスリートは肝に銘じて
サプリメントの宣伝文句を盲目的に信じて服用していたら、体にどんな悪影響があるかわかりませんし、競技人生を棒に振ることだって起こり得るのです。
サプリメントに期待もお金もかけてはダメです。

国は少しでも医療費を削減しようと、ジェネリック医薬品の使用を推奨し、その薬価にも厳しい要求を課しています ( 先発品の4割から5割の価格 ) 。
ジェネリックの製薬メーカーも競争が激しく、利益を上げるために安価な中国メーカーの製品に手を出さざるを得ないのかも知れません。
アセトアミノフェンに、無届けで中国製のものを混入させていた問題も昨年起きましたね。
医療費抑制の至上命題は理解できますが、サプリメント並みに安全性の低い医薬品が出回るような事態だけは何としても避けてほしいものです。

( 大原薬品工業のバルサルタン80mgも、問題の中国企業から原薬を仕入れているようですが、大丈夫でしょうか ? → 資料 ) 。

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