悩みここ数年、新しい糖尿病治療薬の発売が続いています。
DPP-4阻害薬というジャンルの薬が2009年から昨年にかけて 7種類が発売されました。
一段落したと思ったら、今年に入ってSGLT-2阻害薬というものが出てきました。
4月に 1剤先行して世に出てきたのですが、今月 3成分が一斉同時発売という日本の医薬品史上でもかつてないような事態で、各社の売り込みも激しいものがあります。
処方する我々にとっても非常に悩ましいことです。

このSGLT-2阻害薬は簡単に言うと、糖を尿に流すことで血糖を下げるもので、体重減少や血圧低下なども期待されています。
反面、尿量が増えて口渇や便秘、尿路感染症などが起きやすいとされています。
DPP-4阻害薬もようやくその処方の勘所を掴んできたところなので、SGLT-2阻害薬の使い方もそのうち理解できてくるだろうと思います。


さて、SGLT-2阻害薬に関してちょっと興味がある情報を最近知りましたので紹介しておきます。

まず、毛細血管の周皮細胞にもSGLT-2が存在し、これを介してナトリウムが過剰に取り込まれると細胞の膨化が起こったり増殖能が落ちたりするということ。
この現象が糖尿病性の細小血管障害や網膜症につながる可能性があり、SGLT-2阻害薬を使うことで合併症を防ぐ可能性が期待できそうです。

もう一つ、SGLT-2阻害薬を使うとグルカゴンが増えるという情報 ( → こちら )http://

このことは 9日に同級生がWeb講演会で話していたので知ったものです。
グルカゴンは糖を上げてしまうホルモンなんですが、SGLT-2阻害薬を使うと血糖は改善するわけなので、グルカゴンの上昇が一体どういう意味を持つのかは今後の課題でしょう。