オリンパスの最新鋭の経鼻内視鏡、XP290Nを試用する機会がありました。
鹿児島で2番目に触れることが出来たようです。 
今回の特徴は光源がパワーアップし、血管などの観察を容易にする NBI と呼ばれる処理画像が格段に向上し、コネクターも簡素化され、経鼻内視鏡の視野角も140度になったというのが売り。
で、実際に使用した感想を述べてみます。

オリンパスまず、290シリーズの光源、まぶしすぎ。
オリンパスの内視鏡は面順次式という方法を用いて画像を合成しており、カラーフィルターが回転しているため内視鏡先端から出る光がチラチラ点滅を繰り返します。 
内視鏡に触れた初日は肩こりからの頭痛があったのですが、このまぶしい点滅に次第に気分が悪くなってきました。
ポケモン卒倒事件が暗い内視鏡室で起こりうる危険性がありますね、これは。

また、これまでは経鼻で NBI を使うと暗い画像になり全く役に立ちませんでしたが、今回は明るく見やすい画質に進化しています。
通常画像より NBI のみの観察もありではないかと思ったくらいです。 
しかし、ライバルのフジフイルムBLI という新しい画像処理技術を開発し NBI を凌駕する明るく美しい描写をみせているのですが、こういう他社の画質を知らない内視鏡医には喜ばれるかと思います。

経鼻内視鏡 XP290N 本体はというと、十二指腸への挿入を確実にするために先端は鼻にやさしいように柔らかくして根元にいくほど硬度を高めるという構造になっています。 
柔らかい内視鏡では十二指腸に入らないケースが実際あるため設計思想は歓迎したいところですが、 硬すぎではないでしょうか。
前から言っていますが、先端の径不均一の問題とこの硬さの点で私自身オリンパスの経鼻内視鏡では検査されたくありません。
硬ければ硬いほど鼻の疼痛も強くなるからです。
新機種でもその部分が改善されているとは言い難いですね。
そして、面順次式では動きの速い場所で静止画像の色ずれが起こる欠点がありますけど、画像処理で無理やり色ずれのない絵作りをしようとしているのか、かなりぼやけた写真になってしまうケースが多々みられました。
解像度が上がったはずなんですが、逆にノイズが気になって本当に画質が良くなったようには感じませんでした。

鉗子口径が拡大して吸引力が改善された点だけは褒めておきますが、内視鏡先端の光の点滅といい画質の問題といい、CCDの性能が上がってきた現在においてもオリンパスが面順次式にこだわり続けるのは一体なぜなのでしょうか。
古い機種との互換性を持たさざるを得ない事情もわかりますが、Apple は将来性のない仕組みをばっさり切り捨てることを厭わずに成長してきました。
ソニーと組んで再出発をするようですから、思い切って同時式に切り替えるくらいのことをしないと、この先行き詰まってしまうのではないかと懸念しています。