iugfeigj.gif《 心窩部にまつわる話 1 》  


多くの方を診察していると、いろいろと面白い場面に遭遇することがあります。
例えばこんなちぐはぐな会話。


「3日程前から胃が痛いんです。」
「そのおなかの痛みは食事と関係ありますか ?」
「おなかじゃありません。胃です !!」


胃もおなかの臓器の一部と私は認識しています。
しかし、胃とおなかをその人なりに区別する基準を持っておられる方がたまにいらっしゃるのです。
いわゆるみぞおちの辺り、その部位に限定した症状であることを訴えたいことは十分に伝わります。
医学的にこの場所を「心窩部 (しんかぶ)」と言います。
図のように腹部を9等分した時に、Aの部分に該当しますが、明確な境界線があるわけではありません。

「窩」という漢字は一般にはなじみが薄いと思いますが、医学の世界ではよく見かけます。
「膝窩」「眼窩」「ダグラス窩」「梨状窩」・・・。
要するに窪みを形成している場所を指し示す際に用いられています。( 現代人では窪んでいない人が多いですが )
みぞおちになぜ「心」の字が使われているのかはよくわかりません。
体の中心という意味だと理解しているのですが、もしかしたら東洋医学と絡んでいるのかも知れません。

ちなみにみぞおちは漢字で「鳩尾」。
このあたりの形状が鳩の尻尾に似ていることからこのように書くそうですが、似ていますか ?

そんな心窩部にまつわる話を何回かに分けて述べてみたいと思います。