<< 風邪薬についての考察 第6回 >>


私たちは、病院で処方されるものの他に、市販薬として様々なトローチを入手可能です。
代表的なもの 3つを下の表にまとめてみました。
面白いことに、前回前々回
で取り上げた病院で処方されるSPトローチ ( 以下 SP ) ではわずか一種類だった有効成分が、市販のトローチになるといくつも含まれているのです。
しかも各社ばらばら、というか様々な工夫を凝らしています。

市販トローチ

いずれも殺菌作用のある塩酸セチルピリジニウム ( CPC ) が含まれているのは共通しています。
これはSPに含まれるデカリニウム塩化物と同じ界面活性剤で、デカリニウム塩化物とは異なり医師の処方箋を必要としない成分です。
従って市販薬に使うことが可能。
この成分以外に、咳や痰・鼻水などに有効な成分などを各社独自に配合して特色を出しています。

グリチルリチン酸は前回紹介したカンゾウ ( 甘草 ) に含まれる一成分です。
塩化リゾチームは効果が疑わしいととれ、販売を中止した製薬会社もありますね。
複数の成分が含まれていると便利である反面、必要ないケースも出てきます。
例えば、鼻水がないのにクロルフェニラミン入りのトローチを選択してしまうと、恩恵がないばかりか口の渇きや排尿障害などの副作用に苦しむだけという懸念もあります。

表には示していませんが、メーカーによってはキキョウエキスを配合する製品もあります。
キキョウは去痰や鎮咳作用のほかに、のどの痛みを取る作用が非常に期待される成分です。
キキョウとカンゾウを組み合わせた桔梗湯という漢方薬もありますが、これはお湯に溶かして少しずつうがいをするようにして服用する方法と、そのまま口に放り込んでゆっくり溶かしながら飲み込んでいく方法があります。
うがい薬のようにものど飴のようにも使えるわけですね。
市販薬では龍角散トローチや、医薬品用にSPを作っている会社の明治Gトローチ、トローチではありませんが浅田飴などにキキョウエキスが含まれています。

病院で処方されるあまり意味のないトローチよりも、市販薬の中にはのどの痛みをとる効果が期待できるものもあるわけです。
どうしてもトローチが欲しい場合は、病院で処方してもらうより市販薬を購入するのがいいと思います。
ただし、各社の成分の違いを十分に比較・検討した上で、症状に応じたものを選ぶ賢い目を持つ必要があります。



 ⇨ 第5回 「トローチの添加物の鎮痛作用を考えるけど‥
 ⇨ 第7回 「PL顆粒が前立腺肥大症や緑内障に使えない理由