コウモリ先月27日に、羽田空港に降り立った男性にエボラ出血熱の疑いがあるということでひと騒ぎありました。
それを受けて31日に国交相が「搭乗便名、乗客数とともに、患者 ( 感染の疑いのある人 ) の年代、性別、滞在国等を公表することで調整している」と明らかにしました。
このことについて医療関係者からは批判が相次いでいます。

まず、疑いの段階で情報を流して無用な混乱をもたらしたこと。
騒ぎになるのは厄介だからと、自己申告する人が減ってしまうのではないかと危惧されているのです。
また、エボラ出血熱はたとえ陽性であっても症状のない段階では感染は拡がらないことが知られているので、疑いの段階で情報を流すことに何の意味があるのかということです。
27日に疑いの段階で不完全な情報を流したことが、不安を煽った元なのです。
国交相の今回の方針はさらに混乱に拍車をかけるだけだと思います。

2003年のことでしたが、SARSを発症した台湾人医師が、直前に日本を旅行していたということが分かりました。
その後、その医師と同じ宿泊施設に泊まった人が熱を出し、夜間に兵庫県の某病院に入院。
翌朝、その情報が拡がるや、入院していた患者が一斉に逃げ出したという話が伝わっています。
結局、SARSとは無関係だったのですけれどもね。
人々が皆、情報を正しく理解しそれに基づいて正しい行動がとれるとは限りません。
行政もマスコミも、中途半端な情報を流すことが使命ではなく、正しく理解させることに重点を置くべきだと思います。

あと、気になるのはエボラ出血熱のことを「エボラ熱」と勝手に省略して報道している例が目に余ることです。
ワクチンの「副反応」のことを「副作用」と記すことに対し、正しい用語を使うように要望したことがあります。
そしたら、「副作用」の方が一般の方に理解しやすい、という答えが返ってきました。
マスコミの身勝手な判断の一端が伺えました。
正しい日本語、正しい用語を使っていくことも報道の使命だと思います。