胃今週、相次いで酸分泌抑制薬 (プロトンポンプ阻害薬 : PPI ) が新規に発売されます。

このPPIというジャンルの薬、消化器医以外の医師には敬遠されがちなんですね。
いくつかの要因があると思います。

まず、強い薬、というイメージがあるようです。
従来のH2ブロッカーという薬との比較でそのように感じるのでしょうが、強力というよりより確実、というふうに解釈してもらいたいものです。

また、適応となる疾患名が複雑すぎる点もあると思います。
「胃・十二指腸潰瘍」「逆流性食道炎」はまだわかります。
「ヘリコバクターピロリの除菌」となると消化器医以外には関係ない、となるでしょう。
「非びらん性胃食道逆流症」て何? とイメージが湧きませんよね。
「非ステロイド性抗炎症薬投与時における胃潰瘍または十二指腸潰瘍の再発抑制」「低用量アスピリン投与時における胃潰瘍または十二指腸潰瘍の再発抑制」となるともう面倒臭いとなってしまいます。
PPIの種類によって適応や用量が微妙に違っていて、消化器医でも間違ってしまうことがあります。

近年、特に高齢者においてたくさんの薬を併用していることが問題となってきています。
そこで、不必要な処方を減らすべく提唱されている STOPP Criteria という基準がよく使われるようになってきました。( → 日本語訳はこちら )
使用すべきでないケースが列挙されている中において、薬が併用されていないことを咎めている項目があります。
心血管イベントの中の2つ、
 ⑨ アスピリンとワーファリン併用患者にH2拮抗薬 ( シメチジンは除く ) もPPIも併用していない
 ⑪ 胃十二指腸潰瘍既往のある患者にH2拮抗薬かPPIを処方せずにアスピリンを投与
です。
消化管系の副作用を極力避けるために、酸分泌抑制薬の処方が必須なのです。
しかし、循環器医や脳外科医が適応病名を付けるのを煩わしく思って、酸分泌抑制薬を投与してくれないことが多いのが現状です。

改善する一つの方法として私からの提案があります。
PPI の適応を全部まとめて「酸分泌関連疾患」とシンプルにしてはどうでしょうか。
これならば、厄介に思う医師は少なくなるはずなんですが。