名称未設定-2『日本の抗菌薬使用、毎日200万人に投与』
これはある医療サイトに掲載されたニュースの見出し。
今月行われた日本環境感染学会で報告された演題についての記事でした。( → 参考 )

単純に計算すると、わずか2ヶ月で日本国民全員が抗菌薬を手にすることになります。
5700万もの『世帯毎
に配達されたマイナンバー通知カードを配り終わるのに同じくらいの日数がかかったと思いますが、それを考えるとこの処方量はただ事ではありません。

世界的に不適切な抗菌薬使用が問題になっています。
本当に必要な場面で薬剤耐性菌が大きく立ちはだかるケースが増えているのです。
風邪をひく方が多いこの時期ですが、そのほとんどは抗菌薬が役に立たないウイルスに起因します。
当たり前のように処方する医師は自分が風邪をひいた時にも抗菌薬を欲しがります。
また、インフルエンザにクラリスロマイシンが投与される場合がしばしば見受けられます。
クラリスロマイシンに気道粘膜の免疫増強作用があることを発売メーカーが盛んに宣伝し、適応のないインフルエンザへの投薬を暗に勧めていたことが影響しているものと思われます。( → 参考 )
しかしインフルエンザ薬は存在するわけですし、それすら使わなくても基本的に治ってしまう疾患にあえてクラリスロマイシンを使う必要性がどれだけあるのでしょうか。

抗菌薬の適切な使用法をみんなで考え直す時期に来ています。
そして、感染症に立ち向かうための貴重な手段を失わないようにしたいものです。