毎日のように交通事故が起きています。
そこで、車は危険だから運転するな・道を歩くなんてとんでもない、という議論が起こることはありません。
飛行機だってたまに事故を起こしますが、飛ばしちゃいけない・乗ってはいけない、という話にはなりません。
小麦アレルギーに悩む人たちがいます。
給食で亡くなった子もいますが、そんな危険なもの売るな・食べるなとはなりません。
そばアレルギーの方が、うっかりそば粉の入ったまんじゅうを食べて救急車で運ばれてきたこともあります。
怖いね、明日からそばを食べるのはやめようと思う人が一体どれほどいるでしょうか。

医療や健康のことを記事にすると週刊誌が売れるんだそうです。
ネタが尽きてきたのでしょうか、ここ最近、薬の副作用について報じるものが相次ぎました。
心配して相談される方もちらほらいらっしゃいます。
でも私が説明すると十分に納得され、内服を継続していただいています。
伝え聞くところによると、記事を読んだ患者さんの言いなりに処方を変える医者もいるそうです。
自分の処方した薬について懸念を払拭する説明ができない医師は、薬の知識を十分に持っていない可能性もあり、かえって心配です。

薬医薬品の副作用がしっかりと開示されているのは、その薬が危険なものだと言っている訳ではありません。
稀なものでも報告が上がるのと、こっそり隠蔽されるのとどちらが怖いでしょうか。
多くの方は副作用もなく、薬の持つ作用の恩恵にあずかっています。
記事を鵜呑みにして薬を拒絶し、そのメリットを享受できずに健康を損ねてしまう方がばかばかしくありませんか。

今日も車は走り、飛行機も飛び、小麦もそばも普通に売られ、食されています。