野口内科 BLOG

  鹿児島市武岡に開業して43年の野口内科です。
  医療・健康に関する情報はもちろん、近隣の話題、音楽・本のことなどを綴ってまいります。

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⑥ 医療関係の情報

日本でも新型コロナウイルスに感染する人が増えていて、新規の感染者が1日に200人を超える状態に突入しました。

ウイルス今週初めにも緊急事態宣言、ないしは東京都のロックダウンが実施されるのではないかと予想していました。
でも、まだ持ちこたえているとの判断で、さまざまな分野への自粛要請に踏み留めています。
なぜ自粛要請という形なのかと言うと、そこには金銭的補償が発生しないからです。
命令となれば、賠償責任等の問題が出てくるのです。

正直、そんなことを言っている場合ではないと思います。
4月1日に日本医師会が「医療危機的状況宣言」と言うのを出したのも、もたもたしている政治に決断をを促すためではないでしょうか。


♦♦♦♦♦

Hungaryさて、各国でもさまざまな新型コロナウイルス感染対策がなされていますが、私が最も注目しているのが中欧ハンガリーの対応です。
以下にその概略を記します。

▶▶▶
3月11日
ハンガリー国内での感染者が13名の段階で非常事態宣言。

この時は、感染多発国からの外国人の入国禁止、集会の制限程度ですが、これを受けて大学は校舎への立ち入りを禁止に。


▶▶▶ 3月16日
感染者39名の段階で罰則規定を盛り込んだ追加措置発表、17日より実施。

国境を閉鎖し、ハンガリー人を除き全外国人の入国禁止
飲食店を含む店舗の営業時間制限 ( 6時~15時、例外あり )
集会・イベントの禁止
70歳以上は外出しないよう勧告
スポーツイベントは無観客試合以外の制限
劇場、映画館、博物館、美術館、図書館等の閉鎖
16日から初等・中等教育の生徒は登校禁止とし、オンラインでの授業に。



▶▶▶ 3月27日
感染者が300名を超え、罰則規定を盛り込んだ時限的 ( 3月28日からの14日間 ) な外出制限令発表。

正当な理由がある場合のみ外出OK ( 細かな規定あり )
人との距離を1.5m以上保つ
デリバリー・テイクアウト以外、飲食店の営業禁止
買い物は、9時~12時は65歳以上の人、65歳未満の人はそれ以外の時間帯で


日本と違って7つの国と国境を接するという事情もあるでしょうが、感染者が少ない段階から様々な手を打っています。

3月11日の措置は、イタリアの動きを受けてのものと考えます。
3月8日にイタリア北部の封鎖を発表すると、国民は南部へ逃げ出す動きが出ました。
このため9日には封鎖をイタリア全土に拡大、すると外国人が自国へ戻る動きが強まりました。
イタリアからウイルスを持ち込まれたら大変ですからね。

また、最初は子供への感染が少ないため初等・中等教育の休校を見送っていましたが、16日には方針変更。
しかし、休んでるだけの日本と違ってオンラインにて授業は続けています


3月27日の外出制限令で注目すべきは、買い物の時間を年齢で分けていることです。
ご存知だとは思いますが、新型コロナウイルスに感染すると高齢者ほど重症化しやすいと言われているので理にかなった措置だと思います。

♦♦♦♦♦

オルバン首相ただ、3月30日になって、広範な緊急措置を命令できる権限を政府に無期限に与える法案がハンガリー国会で可決されました。
新型コロナウイルスに対応するための措置だとされていますが、強権政治で批判の多い同国のオルバン首相の独裁政治に繋がりかねないという側面もあるため、EU各国や米国からも批判が上がっています。




一連の措置で、ハンガリーの新型コロナウイルス感染者の推移がどうなるか、そして周辺国との友好関係がどうなるのか、今後も目を離せません。

3月15日の南日本新聞に非常に興味深い記事が載っていました。


1918年から翌年にかけて世界で大流行したスペイン風邪についてです。
当時の地元の新聞から、スペイン風邪についての記事を拾い上げているのですが・・・、

10月24日付の師範学校付属小学校の臨時休校を伝えるニュースを皮切りに、記事が爆発的に増えていくようです。
11月3日には鹿児島市だけで患者が5000人、12月1日は薩摩郡内だけで1万7300人、18日には県内の死者が4000人、感染者が30万人と伝えているそうです。
感染者が多くて、鉄道の減便、郵便配達や店の営業の困難等が起き、医師や看護師も多くが倒れたとあります。

参考までに、当時の鹿児島市には、まだ伊敷の一部や吉野、桜島、谷山地区などは含まれていません。


pandemicスペイン風邪では、世界中で3割の人が感染し、5000万人から1億人が亡くなったとされています。
当時の社会は大変な混乱に陥ったことでしょう。
今回の新型コロナでは、過去の経験を元にして感染拡大を防ぐ様々な措置が取られていますが、記事からは当時の病院自体がまともに機能していなかったことが伺えますよね。
テレビはおろかラジオすらない時代、貴重な情報源である新聞を元にして、人々がどのような行動を取ったのか、もっと知りたいところです。


新型コロナウイルスの感染蔓延で、日々のトップニュースはそればかり。
新聞以外にも様々な所から情報を手に入れることができる現代ですが、溢れ返る情報に躍らされている一面もあります。
例えば、トイレットペーパーの騒動しかり。
2020年3月19日現在、鹿児島では一人も発症者が確認されていませんが、あたふたしている人がいかに多いことか。

新型コロナウイルスに感染しないに越したことはありませんが、情報を正しく取捨選択して、いかに賢く行動できるかも今試されています。

新聞もテレビもネット上でも、新型コロナウイルスの情報がトップに来るので、患者さんとの話題もそのことばかりになってしまっています。

手洗いさて、鹿児島市では3月2日から、小中高校の休校措置とられています。
実は、当院の近辺ではその直前にA型インフルエンザの患者さんがちらほらといらっしゃいました。
たまたま学校が休みに入りましたし、皆さんが今感染症に非常に敏感になっていることもあって、インフルエンザが拡がる気配は見受けられません。
不幸中の幸いですね。

鹿児島では、今のところ新型コロナウイルス感染症の方は一例も報告がありません。
インフルエンザも含めた感染症の予防の基本は手洗いです。
こまめに手を洗って下さいね。


インフルエンザ世間は新型コロナウイルスの話題で持ち切りです。
マスクや携帯できる消毒剤などの品切れが続出しているようです。

一方で、インフルエンザ。
あまりに身近な感染症なのであまり怖さを抱かないかも知れません。
でも、日本では年間に1000万人単位で罹患し、1万人程度がインフルエンザが原因で亡くなっていると言われています。
ちなみに2017/18年のシーズンでは2249万人がインフルエンザで医療機関を受診したと推計されています。

そのインフルエンザですが、昨年10月初めに流行り出して今年はどうなることかと思いました。
しかし、今シーズンは暖冬傾向にあるせいでしょうか、あまり流行していません。
鹿児島県のインフルエンザ定点医療機関を受診した患者数の推移を12月後半からみてみると

 2019年第51週 ( 12/16~12/22 )  23.64
 2019年第52週 ( 12/23~12/29 )  25.95
 2020年第01週 ( 12/30~01/05 )  18.15
 2020年第02週 ( 01/06~01/12 )  23.72
 2020年第03週 ( 01/13~01/19 )  22.13
 2020年第04週 ( 01/20~01/26 )  23.68

と、概ね横ばい傾向にあります。

また、全国的には既にピークアウトしたのではないかという観測も出ています。
( ピークは感じてませんが。)
ただし、B型の割合が増えてきており安心はできません。( グラフは日経メディカルオンラインから )

インフルエンザ動向

少なくとも新型コロナウイルスによる死亡例は日本ではまだなく、九州では発症例もありません。
しかし、インフルエンザなど身近な感染症を防ぐ意味でも、手洗いやうがいなどの感染予防の基本を徹底して下さいね。


口内炎の治療に欠かせないものになっているのが、漢方薬の半夏瀉心湯 ( はんげしゃしんとう ) です。

口内炎もう10年以上も前のこと、自分自身が口内炎になった時に、試しに内服してみた半夏瀉心湯。
驚くことに翌日には痛みが気にならないレベルになり、4日目には口内炎が跡形もなく治ってしまいました。
それまで使っていたのは、口腔用のステロイド軟膏ですが、口の中はネバネバするし、痛みはちっとも引きません。
ステロイド軟膏を使っても使わなくても治るのに 1週間以上かかっていましたから、半夏瀉心湯の効果には本当にびっくりでした。

少なくとも、抗がん剤の副作用で口内炎が生じた際に半夏瀉心湯の含嗽 ( うがいのこと ) が有効であることは、これまでに多くの報告があります。
口内炎が起きる前から始めて、休薬期間も含嗽するという予防的な使い方もなされているようです。
比較的基礎研究も進んでいる漢方薬で、抗炎症作用や鎮痛作用、組織修復作用、抗菌作用などが示されています。

半夏瀉心湯は下痢などに対しても有効なので、内服すると便秘になってしまう場合があります。
そういう場合は、やはり含嗽がお勧め。
1日分をぬるま湯で溶かしておいて、痛みが出た時に適宜うがいをする方法も紹介されています。

口内炎に対しては、アズレン系のうがい薬を併用することもあります。
こちらも痛みを緩和し、組織修復作用があることがわかっています。
逆に使ってはいけないのがポピドンヨード ( イソジン ) 。
一応、口内炎の適用があるのですが、患部を刺激して痛みは増すだけですし、治りを遅くしている可能性があります。
本当に口内炎への効果を検証したデータがあるのでしょうか。

他にも黄連解毒湯茵ちん蒿湯など口内炎に効能のある漢方薬がありますし、レバミピドイルソグラジンという胃薬も口内炎に効くという報告があります。



( 2008年8月11日の「口内炎を治すには」の内容を改変して新しい記事にしました )

最近新聞に載っていた記事を2つ並べてみましょう。


まずは、8日の新聞に載っていた「日本の医学部卒業生、人口比最少」という記事。
日本は人口10万人あたりの医学部卒業生数が、比較可能な35カ国のうちで最も少ない ( 6.8人 ) ということ ( 最高はアイルランドの24.9人 ) と、医師に占める55歳以上の割合が37%で平均 ( 34% ) よりも高いというものでした。
更に女性医師の割合についても最低の21%と平均48%の半分以下だったようです。
( 最高はエストニアとラトビアの74% )

もう一つは7日に掲載された「鹿児島市立病院で違法残業」というニュース。
労使間協定で「月45時間以上の残業は年6回まで」という労使間協定を超える違法残業をしていた職員が28人もいたとか。
そこで「月80時間以上の残業を年10回まで」と改めたそうです。( 改悪なのか現実に即したのか‥?? )


医療スタッフ先月の診療所ライブラリー「病院は東京から破綻する」で、国は予定通りに医学部の定員を増やす気配がないことや、医師の献身的な残業で医療現場が成り立っていることなどを書いたばかりでした。
医師が増えると医療費が更に増えるという考えがあるようです。
しかし、もう少しゆとりを持って医師が働ける環境がないと、国民の健康を安心して維持できないのではないでしょうか。

風疹の拡大防止策として、対象年齢の男性に無料で抗体検査や予防接種を受けていただけるクーポンが配られています。
このクーポンの利用率が低迷しているという報道が先週ありました。( → こちら )
鹿児島市でこの制度の開始が7月1日からと遅かった影響もあり、鹿児島県での利用者数は九州の中でも2番目に少ない数字となっています。

採血風疹で最も問題なのは、妊娠20週頃までの妊婦さんが罹った時に胎児に先天性風疹症候群 ( CRS ) を起こす可能性があること。
風疹を蔓延させないためにも、クーポンがお手元に届いた方は必ず検査を受けて、小さな命を守りましょう。
19年度の対象者は、昭和47年 ( 1972年 ) 4月2日から昭和54年 ( 1979年 ) 4月1日の間に生まれた男性です

詳しくはこちらの記事を参考にして下さい。( → 「鹿児島市の成人男性の風疹抗体検査について」)



参考 → 「鹿児島市の19年度の予算案に風疹対策」「流行中の風疹、鹿児島でも」「風疹予防摂取の重要性

インフルエンザ当院周辺では、今週に入ってインフルエンザに罹る方が急激に増えています。
最高気温が30℃を超える日もあと数日続くようですが、十分に気をつけて下さい。

インフルエンザの予防接種は10月1日から開始しています。
接種をご希望の方は必ず予約をお願いいたします。

予防接種の料金についてのお知らせです。
10月から消費税が10%に上がりましたが、窓口でのお支払いは昨年と同じです。

昨年、一部のメーカーが販売しているバルサルタンという降圧薬に発がん性があるとされる「N-ニトロソジメチルアミン」という物質が混入していたため自主回収するという通知がありました。
それに続いて、これまた一部のメーカーが販売するアムバロ配合錠にも同じ物質が混入していることが判明して、自主回収となっています。( → こちら )

胃さて、今回は胃薬の中でH2ブロッカーと呼ばれる種類のものの一つ、「ラニチジン」にも全く同じ物質が混入していたことが欧米から報告があったようです。
この報告を受けて、厚労省はとりあえず、製造販売業者に新たな出荷を行わないように指示を出したようです。
今のところ、既に市場に出回っている分に関しては自主回収は行われないようです。

世界的に見るとラニチジンは世界で最も使われているH2ブロッカーです。
日本ではファモチジンが一番売れています。
私は、ファモチジンを処方することはたまにありますが、ラニチジンは処方しません。
よく処方するのはラフチジンとニザチジン。
この2者は、胃酸分泌を抑える以外に多用な働きを持っているためです。
そのことについては当ブログで「まだまだ使えるH2ブロッカー」というシリーズで説明していますので、是非読んでみてくださいね。

先日、鹿児島市内の小学校でインフルエンザによる学級閉鎖があったというニュースがありました。
実は、8月末から鹿児島市近隣の地区でインフルエンザが小流行しているという話が流れてきていました。
また、9月18日には大分県での流行期入りの発表がありました。
そんなこともあってでしょうか、インフルエンザワクチンについての問い合わせが増えています。
予防接種
当院では、例年10月1日からインフルエンザの予防接種を始めるようにしています。
しかし、現段階で卸業者からいつ手に入るのか、はっきりしていません。

予防接種の料金についてですが・・。
当院では2014年に消費税が5%から8%に上がった際も、2015年にインフルエンザワクチンが3価から4価になって納入価が約1.5倍上昇した際も、価格を据え置いてきました。
今年は10月から消費税が10%になるため、現在検討中です。


開始時期や料金は、決定次第、当ブログでお知らせしていく予定にしていますので、今しばらくお待ち下さい。

現在、全国には82の医学部があります( 防衛医科大学も含む ) 。
医学部人気は相変わらずで、入るのに敷居が非常に高い状態が続いています。

医師以前から地方の大学に都会出身の学生が押し寄せて、卒業すると都会に戻っていくので、地方での若手の医師確保が問題になっていました。
それを解決する手段の一つとして「地域枠」という制度があります。
これは、地域の医師確保を目的に都道府県が大学医学部の学生に奨学金を貸与する制度で、特定の地域や医療機関に計9年勤務すれば奨学金の返還が免除されます。
鹿児島県でも、既にこの地域枠から誕生した医師が県内各地で活躍しています。


先日、お隣の宮崎県からこんなニュースが飛び込んできました。

地域枠4人に1人が県外流出 宮大医学部卒業

制度に強制力がなく、県外で働く場合は奨学金を一括返済しなくてはなりません。
しかし、制度の主旨を理解して入学したはずですから、返済すればいいという話ではありませんよね。
本年度からは、地域枠の学生は卒業後に県内の病院でしか研修が受けられなくなるようですが、研修施設の質の向上も求められます。

さて、地域に医師の頭数だけ揃えばいいという話ではありません。
診療科によっては医師不足は相変わらずです。
鹿児島県では、産婦人科・小児科・麻酔科・救急科・脳神経外科・整形外科を目指す学生にも修学資金を貸与しています ( → こちら ) 。

個人的には、地域枠同様、入学時に特定の診療科の医師になることを前提とした枠を設けてもいいのではないかと思っています。
産婦人科医や小児科医になりたいという強い意志を持ちながら、なかなか入学できないでいる人たちがいます。
医師になるのに、大学入試の際の学力はそれほど役に立ちませんから。

病院で受ける検査は、痛みやつらさを伴うものが多く、心理的にも肉体的にも負担の大きいものです。
最近得た情報の中には、そういう苦痛を回避できるように様々な研究がみてとれるものがいくつかありましたので紹介してみます。

♦♦♦♦♦

インフルエンザ検査まず、インフルエンザの診断について。
現在は、鼻やのどの奥に綿棒を入れる検査がほとんどです。
不快感や痛みが伴い、検査をする我々もくしゃみをまともに浴びる等のリスクが付きまといます。
今回、鹿児島大学から発表があったのは唾液を使った検査です。
2014年には手法が確立されていたようですが、今冬に臨床試験を始め、来年度中には保険適用を目指すそうです。
唾液を取るだけなので負担は少なく、検査感度も従来法より1~50万倍あるとか。
安価で普及することを期待したいですね。( 参考記事 → こちら )

♦♦♦♦♦

自己血糖測定次に、血糖測定について。
血糖はどうしても血液を調べなければなりません。
インスリンによる治療を受けている方などは、自分で調べる必要もあります。
この負担を軽減しようと、NTTが研究中なのが、電磁波を用いた方法。( → こちら )
皮膚に機器を押し当てて、グルコース成分に特有の周波数の電磁波を照射することで血糖値を推定するというものです。
機器が小型化できて、安価になればいいですね。

♦♦♦♦♦

最後は、超音波を用いたバーチャルレンズについて。
詳しく読み込んでいませんが、侵襲的な内視鏡検査にとってかわる可能性がある、と研究者は報告しています。( → こちら )
内視鏡は覗いて観察するだけではなく、治療にも欠かせない道具になっていますから、後者を代替するのは困難だと思います。


少しでも苦痛のない検査法を目指して、様々な研究が地道に行なわれているのは嬉しいことですね。

 

痛風フェブキソスタットという尿酸を下げる薬があります。
米国では今年2月、古くからある薬・アロプリノールよりも死亡リスクが高いとして「アロプリノールが無効または重篤な副作用が生じたために使用できない患者にのみ使用する」よう用途を制限しました。
更に7月17日、英国においても「心血管疾患既往例には他に選択肢がない場合を除き、用いない」よう勧告が出されました。
日本では、厚労省が7月9日に注意喚起を呼びかけたに留まっています。

これらの措置は、2018年秋にNew England Journal of Medicineで発表されたCARES試験の結果が基になっています。
しかし、一部からは試験の脱落例が多く、その扱い次第では評価が変わる可能性が高いという指摘もなされています。

一方で、本年3月にはEuropean Heart Journalに「高尿酸血症のある高齢患者で脳心腎血管関連イベントを減少させることができ、特に慢性腎臓病の発症や進展予防が期待できる」とする日本発の多施設共同ランダム化比較試験 ( FREED研究 ) が発表されています。( → こちら )


以前にも指摘しましたが、海外では痛風発作の再発予防目的で尿酸を下げる薬を使います。
これに対して、日本では尿酸が高いというだけの「無症候性高尿酸血症」に対しても薬が使われます。
この点については、当ブログでも以前解説をしました。( → 大丈夫 ! 何とかなります 尿酸値は下げられる )
なので、CARES試験とFREED研究では、対象となった患者さんの背景が違います。
メタボリックシンドロームと関連が深い痛風の既往のある方を扱った前者とそうでない後者。
それで結果に差があるのかも知れません。
欧米では、今のところ高尿酸血症治療薬に心臓や腎臓の疾患の予防効果は認められないという立場でいます。
無症候性高尿酸血症を積極的に治療している日本から、欧米を納得させるデータをもっともっと発信していかなくてはならないと思います。
根拠がなければ、私もあまり積極的にはなれません。

鹿児島市では、19年度から風疹の追加対策を始めています。
風疹の予防接種を受ける機会のなかった昭和37年 ( 1962年 ) 4月2日から昭和54年 ( 1979年 ) 4月1日の間に生まれた男性が対象です。

採血3年間かけて行われる対策で、本年度は昭和47年 ( 1972年 ) 4月2日から昭和54年 (1979年 ) 4月1日までに生まれた方に対して、6月下旬にクーポン券が発送されました。
届いたクーポンを指定された医療機関に提出し、まず風疹抗体検査を受けていただくことになります。

当院では、風疹 IgG, CLEIA法で調べます。
この数値が 20 IU/ml 以上あれば、免疫が十分にあると判断されます。
20IU/ml 未満なら、免疫をつけるための予防接種をMRワクチンにて行ないます。
抗体検査も予防接種も無料で受けられます。

風疹で最も問題になるのは、妊娠20週頃までの妊婦さんが罹った時に胎児に先天性風疹症候群 ( CRS ) を起こす可能性があることです。
CRSは、心臓の奇形・白内障・難聴を三大症状としますが、血小板減少や動脈管開存症、発育遅滞、精神発達遅滞なども起こし得ます。
この疾患は根本的な治療がありません。
風疹自体にも治療法がありませんので、予防接種が非常に重要となります。

風疹を蔓延させないためにも、クーポンがお手元に届いた方は必ず検査を受けて、小さな命を守りましょう。


参考 → 「鹿児島市の19年度の予算案に風疹対策」「流行中の風疹、鹿児島でも」「強力な麻疹 ( はしか ) の感染力」「風疹予防摂取の重要性

◆ ABH - 口の中にできる血豆

ABHAngina bullosa haemorrhagica (ABH) という疾患があります。
名前を聞いてもピンと来ないでしょう。
一般の方は当然としても、医師にもあまり知られておらず、医学部の学生時代に習ったこともありませんし、日本語名すらないという疾患です。
この疾患、簡単に言うと食事中に口の中に血豆 ( 医学的には血疱〈けっぽう〉と言います ) ができる病態なんです。

医師にも十分認知されていない疾患ですが、悩んでおられる方は潜在的には多いのではないかと考えられます。
ツイッターで「口の中 血豆」というキーワードを使って検索すると、1日にいくつものつぶやきがヒットします。
このコラムへのアクセスも毎日多数に及びます。
しかし、病院を受診される方は稀なので、医療者側がその実態を十分に把握できていないのが現状です。

実は、私はこの疾患を随分昔から持っています。
インターネット上でもあまり多くの情報を得られませんし、ましてや正しい内容のものが少ないので、自身の経験を踏まえながらこの疾患を解説してみたいと思います。


◆ 口の中に血豆ができるのはどのような時 ?

煎餅まず、発生するのはほぼ食事を摂っている最中で、舌や頬を噛んでいなくても起こります。
豚カツなどを口の中でモグモグしている際に、揚がったパン粉が口の粘膜にチクリと刺さるような痛みに襲われます。
するとその部分が瞬く間に膨れてきて赤黒い血豆が形成されます。
揚げ物以外にも、せんべいやピザの焦げた部分、ナッツ類、小魚のおつまみ、大学イモ、エビの殻、ソフトクリームのコーンなどで血豆ができたことがあります。
硬くてカリカリしているような細かいかけら状のものであれば、何でも原因となり得るようです。

この血豆は、文献上では軟口蓋部分にできやすいとされています。
私の場合は、歯肉、硬口蓋、頬粘膜、舌など口の中の至る所にできますが、軟口蓋の部分にはあまりできません。
なお、舌については側面および口腔底側 ( 舌の裏側 ) にはできますが、表側にできた経験はありません。

( ※ 硬口蓋は、口の中の上の壁のうち、骨があって硬い部分。軟口蓋は、硬口蓋よりも後方の柔らかい部分のことを言います。)


表面を覆う膜 ( 被膜 ) は結構頑丈なので、血豆が簡単に潰れることはありません。
そのため、何もしないで放っておくと1-2日はそのまま残ってしまいますが、やがて自然に潰れて中に貯まっていた血が流れ出てきます。
血豆がある時も痛みがありますが、潰れた直後の痛みが一番つらいですね。
被膜が剥がれてびらんと呼ばれる傷となり、やがて跡を残さずに治っていきます。

なお、軟口蓋部分ののどちんこに近い部分にできると、物を飲み込む時に陰圧となる影響を受けて、被膜の中に溜まる血液が増えて次第に大きくなる上に、血豆がのどの奥の方へズルズルと這うようにずれていくことがあります。
血豆がずれていく時はたまらなく痛いです。

ちなみに、血豆が大きくなって呼吸困難をきたした症例も報告されています。


◆ ABHの原因は・・・

なぜこのような血豆が形成されるのか、残念ながら原因ははっきりわかっていません。
私の場合、血縁者にABHを持つ人は全くいませんので、遺伝性はないと考えています。

熱いスープ熱で口腔内の粘膜が脆弱になることも一因とされています。
確かに、私は熱い物が大好きで、みんながフーフーして冷ましながら飲むお茶も平気です。
自分自身をよく観察してみると、熱いものを食べた際に血豆ができやすい傾向があるように思います。

文献上では、中年以降に多く、口腔アレルギーとの関連が言われていたり、ステロイドの吸入剤を使用している人に多いなどとされています。
しかし、私の場合、少なくとも中学校の頃には既にこの疾患に悩んでいたと記憶しています。
一部のエビに対しするアレルギーを持っていますが、吸入ステロイドは使用していません。


◆ ABHの予防と治療

原因がわかっていないので、残念ながら確かな予防法はありません。
慌てずゆっくり食べろ、と指導する以外にないのですが、実際にそれは無理です。
原因となりそうな食材を食べる時に注意深くゆっくり噛んでいてもチクリ、と感じて血豆ができるケースもしょっちゅうです。
生きていくために摂食行動は欠かせませんので、根本的な予防法はないと考えて下さい。

ただ、ここ数年、私は熱い物を控えるようにしているのですが、それが奏功したのか発生頻度が明らかに減ってきました。
このブログを読んで当院へ来院される方に尋ねると、熱い物が好きという答えが返ってくることがほとんどです。

治療法も確立していませんし、この疾患をしっかり理解しているのも一部の耳鼻科や口腔外科の医師に限られ、病院に行っても特別な処置をしてくれるわけではありません。
そこで、私なりの対処法を紹介しておきたいと思います。

爪楊枝それは、できた血豆を爪楊枝でさっさと潰してしまうという荒技です。
先ほども述べたように、被膜は案外丈夫なので簡単には潰れませんし、場所によってはかなり痛いですけれども、頑張ってみましょう。
( 中にはアイスピックで潰してしまうという方もいらっしゃるようです。)
潰した後は中から血が出てきますが、基本的に血豆に貯まっている分だけしか出てきません。
ただし、血を残さないよう陰圧をかけるなどして絞り出すのが肝要。
少しでも残っていると治るのが遅くなってしまいます。
この処置が終わったら、アズレン系のうがい薬を使って1日に数回、口をゆすぎます。
アズレン系のうがい薬は、痛みを和らげ傷を早く治す作用を持っていますので、欠かせない作業です。
これで、1~2日の間に気にならなくなります。

最近は、うがい薬に加えて半夏瀉心湯を処方することが多くなりました。
半夏瀉心湯も、アズレン系のうがい薬同様に口の中の傷を早く治してくれる働きがあります。
両方を使うことで、痛みの緩和や治りが早いと好評です。
ただし、半夏瀉心湯の影響で便秘がちになることがあります。

血豆をそのままにしておくと、いつまでも痛いだけです。
やや乱暴な方法ですが、さっさと潰してしまうことをお勧めします。


◆ 日本語病名の提唱

個人的には、特発性食道粘膜下血腫という疾患との関連性はどうなのだろうかと注目しています。
内視鏡検査で、食道の入り口の手前の梨状陥凹という場所や食道に血豆ができている例に遭遇することもありすま。
いかんせんお目にかかるのが稀なので、今のところABHとの関連は見い出せていませんが、口の中も食道も表面の粘膜の構造は同じなので、口から食道にかけて発生してもおかしくないと考えています。

もっと多くの症例を集積して知見の積み重ねが必要な疾患だと思いますが、この ABH という疾患名は病態をしっかり表現しているとは思いませんし、日本語名がないのは残念です。
そこで、この疾患を個人的にも抱えている医師として、日本語の疾患名を提唱してみたいと思います。

突発性有痛性口腔内血疱

いかがでしょうか。


※ 2015年1月に書いた「口の中に突然できる血豆、ABH」に加筆して、新たに綴ってみました。


関連するコラム
●  口内炎には半夏瀉心湯



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