野口内科 BLOG

  鹿児島市武岡に開業して43年の野口内科です。
  医療・健康に関する情報はもちろん、近隣の話題、音楽・本のことなどを綴ってまいります。

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 最近のニュースから

休めない自身の体調不良時に感染するリスクは承知していても病欠する医師は少ない、とする米国の調査報告がありました。
理由として「マンパワーの不足」や「自分の業務を代替できるスタッフがいない」などが上がっていますが、どこの国でも同じような状況なのだなと思いました。

実際医師が一人休んでしまうと、ただでさえ忙しい外来や検査、病棟など診療業務の様々なところに大きな負担が及びます。
他の医師やスタッフ、患者さんなどに迷惑はかけまいと無理して出勤することは私自身も何度となく経験してきました。
それが元で医療施設内に感染が蔓延する事例も少なからずあるので、本当は休みたいところ。
でも現実はなかなかそうはいかないのです。

一方で、先日、厚生労働省が10年後には人口当たりの医師数はOECD加盟国の平均を上回るようになるとの推計を出しました。
これで医師の日常業務の負担が軽減されるでしょうか。
否、です。
まずこの医師数には現役として十分に働けるかどうか分からないような世代まで含まれています。
そして高齢化がますます進む日本、年間の死亡者数も増加の一途をたどっていきます。
つまり医療現場はますます忙しくなることが避けられないのです。
多少の欠勤者が出ようとも体制がくずれないような環境が望ましいのでしょうが、そういう医療環境を築く努力も必要なのかなと思います。

甲状腺昨日のためしてガッテンのタイトルは「脚のむくみがサイン! 潜むホルモンの大乱調」でした。
私はこれを新聞のテレビ欄で見て、甲状腺機能低下症のことだな、とすぐにピンときました。

甲状腺疾患は20人から30人にひとりの割合で存在すると言われているのですが、医師の関心度はあまり高くなく、診断がつくのにかなり遠回りしてしまう場合もあります。
私は消化器系疾患を中心に研鑽を積んできました。
しかし、なぜか甲状腺を専門とする医師との関わりも多く、甲状腺疾患の患者さんも数多く診てきました。
なので、昨日のテレビを観てちょっと甲状腺が気になるな、という方 のご相談も歓迎いたします。

大腸先月28日に国立がん研究センターが、2015年に新たにがんになる患者の推計を発表し、その中で大腸がんが1位になることを発表しました。( → こちら )
また、俳優の今井雅之が自ら大腸がんであることを公表したこともあって、ここ数日、ワイドショーなどで大腸がんを取り上げる機会が目立ったように思います。

大腸がんは便通異常などの自覚症状が出た時はかなり進行した状態です。
その症状もS状結腸や直腸など肛門に近いと早めに出ますが、上行結腸だとなかなか現れません。
上行結腸ではまだ内容物の水分量が多く、少々内腔が狭くなっても通過できるからです。

大腸がんやその前段階のポリープの表面からはじわじわと出血しやすいという側面があります。
排便後などにはっきりとした出血が確認できるのは肛門にかなり近い場所に病変があるケースがほとんどで、奥の方からの出血だと血液がイメージできるようなものでなくなってしまいます。
早期発見の簡便な手段である便潜血反応検査は、病変からのわずかな出血も捉えようという非常に有用な検査になります。( 詳しくは → 
こちら )
また、出血が持続することで少しずつ貧血が進行していきます。
特に高齢男性の鉄欠乏性貧血では大腸がんを必ず念頭に置かなければなりません。

2007年に当ブログで「大腸がん」という特集を組んだこともありますが、当時の話題をいくつかかき集めただけであまり本質的な話はできていません。
ただ、このテーマの中で大腸がんがメタボリックシンドロームとの関わりなども述べています。
ちょっと参考にしていただいて、気になる方は積極的に検査を受けて頂きたいと思います。

当院でも木曜日以外、大腸内視鏡検査が可能です。( →
こちら )特に土曜日の午後に検査ができるのが強みかと思います。
また当院の検査で大腸がんが見つかったほとんどの方は治療が完結し皆さん元気に過ごされています。
罹患する人が増えているとはいえ、大腸がんは早い段階で見つかればさほど恐れることのない疾患です。

線虫先日、線虫という寄生虫を用いて患者さんの尿で癌の有無を見分ける検査法を開発したと九州大学から発表がありました。

九大は2011年に便や呼気で大腸癌の有無をかぎ分ける「癌探知犬」についての発表しています。
しかし、訓練の手間や1日に検査可能な数が限られるなどの問題があったようです。
今回、線虫に注目するきっかけになったのは、アニサキスという寄生虫が早期胃癌の部分に刺入していた症例を経験したことだったようです。
線虫の嗅覚は犬並みということで研究を進めていたようですね。
既に特定の臭いを感知できない線虫も開発されているようで、野生株との比較で癌の種類の特定もできる可能性が大きいようです。( → 詳しくはこちら )

私自身もアニサキスが胃潰瘍部分に食らいついていた症例を経験してますし、これまでもアニサキスが病変部分に多く見つかることが知られていました。
アニサキスが上行結腸癌に刺入していたという興味ある症例報告もあります。( → アニサキスの刺入を内視鏡的に確認し得た上行結腸癌の1例 )

多くの臨床医が経験しているのですが、検査に活用してみようという着想にはただただ脱帽です。

野菜3日に「機能性表示食品」について消費者庁がガイドラインを公表しました。
現政権の成長戦略の一環らしいのですが、非常に懸念の多い仕組みだと思います。

現在、効能を表示できるものとして「特定保健用食品」(トクホ) や「栄養機能食品」があります。
トクホは、実験データをもとに国が安全性や効果を審査して消費者庁長官が認可しますが、そのトクホですら様々な問題を孕んでいます。
まず、根拠となる実験の設定自体に疑問が投げかけられているものが多数あること。
また、エコナが発癌性物質を含むことで認定を返上したことはご存知でしょうし、高濃度のカテキンを含む飲料は肝障害を起こすという理由で海外で発売禁止の国もあります。
効能とされる点以外に副作用などは一切考慮されていないのです。

今回の機能性表示食品については、国に届け出さえすればOK。
安全性や効果は事業者の責任で表示・情報はインターネット上で公開・健康被害の情報を集める仕組みを作る、などの決まり事はあるようです。
しかし、根拠の怪しい届け出が出たとしても、それを監視する消費者庁の職員はわずか14人で、十分な体制とはいえません。

消費者はイメージのいい甘い言葉に警戒することもなく誘われて商品を手にしてしまいがちです。


予想される成分として挙げられているものをちょっと考察してみます。
魚油であるDHA  (ドコサヘキサエン酸) はサプリメントの中で私が効果を期待する数少ない成分ですが、極めて酸化されやすいので品質を維持するのが至難。
海外の研究ですが、実際に粗悪品が横行していることが確認されています。( → こちら )
また、血液をサラサラにするとされるケルセチンという成分は、様々な医薬品の血中濃度に大きな影響を与えることが知られています。

何とかして商品を売ろうとする事業者側にとっては期待される仕組でしょうが、責任を国が負うわけではありません。
消費者は情報の真偽を可能な限り確かめるようにし、盲目的に受け入れることなく慎重に賢くあって欲しいと思います。


動脈硬化コレステロールの1日摂取量の上限は300mg、というのは私が医師になってからの常識でした。
しかし、昨日この値を撤廃するというニュースが米国からありました。( → こちら )
コレステロールを上げてしまう原因は、遺伝的な側面と飽和脂肪酸の過剰摂取が主要な原因ということが解ってきたからです。

コレステロールに関する知見は目まぐるしく変わってきたように思います。
医師になりたての頃は、コレステロール含有量の多い食品を並べた資料を患者さんに渡して、卵やイカは食べ過ぎないように、なんて指導をしてました。
しかし、卵を食べてもコレステロールは上がらないと言われ始めた頃から、私はそういう指導はすっかりやめました。
今でも検診で栄養士さんから旧態依然の指導を受けたという話を聞いて残念に思うことがあります。
現在私は、飽和脂肪酸の豊富な食事の摂りすぎを戒めることに主眼に置いています。
飽和脂肪酸の含有量についてはこのリンクを参考にして下さい。( → こちら )

また、米国では脂質異常の患者はとにかくスタチンを飲め、糖尿病患者もスタチンを飲め、という話になってきています。
心筋梗塞の発症率が日本に比べてケタ違いの欧米は、スタチンの用量もケタ違い。
直ちに日本に当てはまるとは思いませんが、コレステロールをどのようにコントロールすべきか、今後も様々な変遷を経ていくのではないでしょうか。

コウモリ先月27日に、羽田空港に降り立った男性にエボラ出血熱の疑いがあるということでひと騒ぎありました。
それを受けて31日に国交相が「搭乗便名、乗客数とともに、患者 ( 感染の疑いのある人 ) の年代、性別、滞在国等を公表することで調整している」と明らかにしました。
このことについて医療関係者からは批判が相次いでいます。

まず、疑いの段階で情報を流して無用な混乱をもたらしたこと。
騒ぎになるのは厄介だからと、自己申告する人が減ってしまうのではないかと危惧されているのです。
また、エボラ出血熱はたとえ陽性であっても症状のない段階では感染は拡がらないことが知られているので、疑いの段階で情報を流すことに何の意味があるのかということです。
27日に疑いの段階で不完全な情報を流したことが、不安を煽った元なのです。
国交相の今回の方針はさらに混乱に拍車をかけるだけだと思います。

2003年のことでしたが、SARSを発症した台湾人医師が、直前に日本を旅行していたということが分かりました。
その後、その医師と同じ宿泊施設に泊まった人が熱を出し、夜間に兵庫県の某病院に入院。
翌朝、その情報が拡がるや、入院していた患者が一斉に逃げ出したという話が伝わっています。
結局、SARSとは無関係だったのですけれどもね。
人々が皆、情報を正しく理解しそれに基づいて正しい行動がとれるとは限りません。
行政もマスコミも、中途半端な情報を流すことが使命ではなく、正しく理解させることに重点を置くべきだと思います。

あと、気になるのはエボラ出血熱のことを「エボラ熱」と勝手に省略して報道している例が目に余ることです。
ワクチンの「副反応」のことを「副作用」と記すことに対し、正しい用語を使うように要望したことがあります。
そしたら、「副作用」の方が一般の方に理解しやすい、という答えが返ってきました。
マスコミの身勝手な判断の一端が伺えました。
正しい日本語、正しい用語を使っていくことも報道の使命だと思います。

今月5日の新聞に、人間ドックでの血圧やコレステロールなどの基準値を緩和する、という記事が載っていました。
今週の外来では、多くの患者さんからこの話が出ましたが、この基準値には大きな問題があると思います。

何が問題かというと「健康な人」の定義です。
過去に大きな病気をしたことがない▽喫煙習慣がない▽高血圧や糖尿病の薬を服用していない、などを条件に、"スーパーノーマルな人" としているのです。
しかし、この三番目の条件が本当に健康な人の定義として妥当なのか疑問を呈さざるを得ません。
なぜなら、病気を持っているのに通院するのが面倒くさい、薬を飲むのが嫌だ、といって治療していない人がかなり含まれているのではないかと思われるからです。
こういった人達を含んだ基準値では今までより上がってしまうのは当然のことと思います。

bdy14040500370000-n1血圧、コレステロール、血糖等が高いのを放置すると脳血管疾患や心疾患につながりますが、どのくらいの数値を目標にするとこういう疾患が防げるのかは、各専門分野で研究がなされてガイドラインなどで示されています。
長年の臨床で積み重なってきたものを全く無視したような人間ドックの基準値算出法は各方面から反論必至でしょう。

ま、血糖の平均値であるHbA1cの基準が5.5%というのは国民の半分くらいが引っかかるのではというくらい厳しい値でしたが、その他の基準はあまり緩め過ぎると、病気を持っているのに未治療の人を見つけるという人間ドックの目的の一つが霞んでしまいます。

今回の発表はあくまで中間報告だそうです。
この基準値を作るのに人間ドック学会だけでなく、危機的な収支にある健康保健組合連合会が加わっていることを頭の隅に入れて、近いうちに発表される最終報告を待ちましょう。

歩きスマホ2012年の子どもの誤飲事故の調査結果が先月末に発表されました。
減少傾向ながらたばこが34年連続で誤飲の原因の一位だったそうです。
また、東京消防庁の調べで2013年に都内で歩きスマホが原因で36人が救急搬送されたと2月末に発表されています。
前者は1歳前後の乳幼児に多く、後者は40代が多いということです。

タバコの誤飲については、日本中毒情報センターへの相談電話があまりにも多く、テープ対応で無料の「たばこ専用電話」が設けられているほど。
何十年もの間トップであり続けているのは、家庭内での喫煙者に注意を促すだけで済まされているからではないでしょうか。
抜本的な対策が講じられなければこの先も首位であり続けるでしょう。

歩きスマホについては論外。
先日、NTTドコモが澁谷スクランブル交差点で全員が歩きスマホだったらどうなるかというシミュレーションCGを発表しましたね。



いずれにしても、ただでさえ忙しい医療機関への余計な負担となることをお忘れなく。

吐き気吐き気や嘔吐に対してよく処方される、ドンペリドン ( domperidone ; 商品名ナウゼリン ) という薬があります。
近年、特に高齢者において心電図上みられるQT延長という変化から心室性不整脈や心停止を起こすことが相次いで報告されていて、そういった論文を基に推計するとフランスで年間25人から120人がドンペリドン内服で突然死していると考えられるので販売を中止すべきだ、ということが「Prescrire」誌に掲載されたのです。( → こちら )

以前から指摘されていたようなのですが、厳しい注意喚起をしている国もあれば薬局で医師の処方箋なしに購入できる国もあり、対応はバラバラです。
古くからメトクロプラミド ( metoclopramide ; 商品名プリンペラン ) と並んで制吐剤の代名詞的に使われてきましたが、肝心の制吐作用があまり強くないという話もあります。
私はこういった点を踏まえた上で、やむを得ず使う場合は頓服かごく短期間に留めているのですが、漫然と1日3回長期間服用しているケースなどに出会い、びっくりすることもあります。

ドン・ペリニョン ( Don Pérignon ) で悪酔いしてドンペリドン、といった冗談も通用しなくなるかも知れません。
( 私なら二日酔いには五苓散を服用しますが  → こちら )

今後、日本も含めて使用可能な国がどういう対応に出るか注視していきたいと思います。

なお、ドンペリドンもメトクロプラミドも薬剤性パーキンソニズムを起こすことが知られています。

動作が遅くなる・声が小さくなる・表情が乏しくなる・歩き方がふらふらして歩幅が狭くなる・手が震えるなどの症状が出るようであれば、中止して医療機関を受診して下さい。

ピロリピロリ菌除菌の適用が拡大されたのが1年前の2月22日のことでした。( → 「ピロリ菌除菌の適用範囲が広がったけれども」)
今年は間もなく除菌の新しいパック製剤が発売となります。

これまで各社の薬を組み合わせて除菌することは可能だったのですが、間違いなく服用してもらうために一次除菌に関しては一社が独占して発売していたパック製剤に頼っていたのが現状です。
選択肢が増えるのは嬉しいことですね。
薬も小さく除菌率も若干良くなるであろうことに期待しています。
ただ、先行品と同様にクラリスロマイシンの用量が異なる2種類を出してくるのはどうなんでしょう。
というのも、クラリスロマイシンが400mgでも800mgでも除菌率に有意差が出ていないからです。

さて、先日のことですが、他院で除菌をしたけれども不成功だったので当院で二次除菌をして欲しいという方がいらっしゃいました。
話を聞いていて、おやっと思ったのですが、内服中はアルコールは飲むなと指導されたらしいのです。
これは二次除菌に使うメトロニダゾールについての注意事項ですから、いきなり二次除菌の薬を服用した可能性が否定できません。
二次除菌に使う薬の組み合わせの方が除菌率が高いという点に着目しているのでしょうが、安易な使用は二次除菌率の低下を招きかねません。
ルールを逸脱しないようにお願いしたいものです。

2月からピロリ菌が陽性の胃炎での除菌ができるようになったことは何度もお伝えしております。
ただ、除菌には内視鏡検査が必須なんですよね。

心窩部本日から発売される機能性ディスペプシアに対する薬も内視鏡検査が必須であるという制約がついているようですね。
現首相がかつて潰瘍性大腸炎で政権を降りて入院した時に、主治医団が「機能性胃腸症」という病名でごまかしていました。
これは機能性胃腸症を患っている人に、とても深刻な病気であるかのような印象を植え付ける結果になったのではと、今でも批判的に思っています。

さて、Functional dyspepsia という英語をかつて機能性胃腸症と訳していたのですが、胃・十二指腸領域の症状に限定した疾患定義に変わったため「機能性ディスペプシア」という名称になりました。
十二指腸は腸ではないのかな、と思いつつ、この疾患名は一般の人には病態をイメージしづらいだろうなと思う今日この頃です。

機能性ディスペプシアについては、当ブログの「心窩部にまつわる話題」にて取り上げています。
古い記事ですが、是非参考にして下さい。

ピロリピロリ菌が感染していても、潰瘍など特定の疾患がなければ除菌ができないという制限がありましたが、22日から胃炎であっても除菌可能となりました。
当たり前のことがようやく堂々とできるようになったわけです。( → 胃炎でもピロリ除菌、間もなく )

注意点があります。
除菌するにあたっての条件として「ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎に用いる際には、ヘリコバクター・ピロリが陽性であること及び内視鏡検査によりヘリコバクター・ピロリ感染胃炎であることを確認すること」という文言があるのです。
つまり、内視鏡検査が必須となります。
最近はネットでピロリ菌診断キットが手に入るようですが、 これで陽性に出たから除菌してくれと来院されてもダメということです。
検査は苦痛の少ない経鼻内視鏡、それも鼻に優しい富士フイルム製をお勧めします。
当院はもちろん
富士フイルム製
ブログでも何度も取り上げているのはご承知かと思います。

除菌の対象となる人が格段に増えるのに、問題がいくつか残されています。
まず、保険で認められているのが一次と二次の除菌法しかないこと。
二次除菌までに除菌がうまくいかなかった場合どうするのか。
また、ペニシリン等に対するアレルギーで、認められている除菌手段が使えない場合はどうするのか。
これらが解決できていません。

そして、除菌判定です。
ガイドラインでは「除菌終了後、4週間以降経過」してから判定を受けるよう推奨していますが、これが曲者。
除菌が不成功でも、数が減っていたり coccoid form と言って菌が丸まって休眠状態になったりすることで、検査に引っかからずに消えましたよと判定されてしまうケースがあるのです。
数が増えたり菌が再活動したりしする頃に判定を受けると白黒はっきりするわけですが、これが4週では短いだろうというのが大方の消化器医の意見。
私は最低12週開けて判定しております。
別施設で 8週ほど開けて判定したケースで、陰性と出たのに後になってやっぱりこれは除菌できていないぞという症例をちらほらみます。
このガイドライン、見直した方がいいと思います。
ましてや自分で手に入れた診断キットで自己判定なんて絶対にしないで下さいね。 

腹痛今年に入ってピロリ菌を数年前に除菌したにも関わらず、胃潰瘍が再発した例が続きました。
いずれも近親者に不幸が続いたり、緊急入院になったりということが契機になっています。
消化性潰瘍発生の最も大きな要因はピロリ菌であることは間違いありませんが、ストレスもやはり無視できないなと思った次第。

報道によると、来月にはピロリ菌陽性の胃炎についても除菌の保険適用がなされるようです。
除菌療法が広く普及すれば、将来日本人の胃がんが激減するのは間違いありません。 
ピロリ菌の存在を明らかにした論文が出て今年でちょうど30年。
次の30年で胃の疾患の様相も大きく変わることでしょう。

実際に保険適用が認められたら、また改めて話題に取り上げてみたいと思います。

元気な胃先月末にピロリ菌の除菌療法について、胃炎の段階でも保険適用がなされるように製薬メーカー各社が申請を出したというニュースがありました。
これは嬉しいニュースです。
今のところピロリ菌の感染が確認できても、胃や十二指腸潰瘍がある場合、胃MALTリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病、早期胃癌内視鏡治療後胃でないと保険が使えないのです。( → 参考 )

日本人の胃癌の9割はピロリ菌が原因とされています。
つまり、ピロリ菌が日本人の胃からいなくなれば胃癌の発症は今より10分の1に減ることになります。
内視鏡検査が日常的に行われている現在、 我々は早い段階で癌を見つけて可能ならば内視鏡治療を行なって胃を切除しなくてすむように努力しています。
でも将来、こんな努力もしなくてもいい時代が来るのかも知れません。
もしかしたら胃の内視鏡検査自体もあまり行われなくなるかも。

とにかくピロリ菌感染胃炎段階での治療が実現することを望みます。


話は変わりますが、業界用語で「保険適応」と「保険適用」という言葉が混在しています。
昔は前者がよく使われており私も何の疑問もはさまずに使っていましたが、日本語として正しい後者を最近よく見かけるようになってきました。
お役所のほうでしっかりと用語の統一を図ってもらいたいなと思います。

ついでに言っておくと「癌」と「がん」は実は使い分けがあるようで、特に年配の先生方はしっかり区別されています。
しかし最近は「ガン」と表記するケースもあり、知らない方も多いようです。
どういう使い分けかは自分で調べてみましょう。

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