この2~3日の間に大腸に関連するニュースが続きました。
大腸がん、便潜血反応検査、大腸内視鏡検査についてです。
それぞれの話題を考察してみましょう。

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まず、2014年に新たにがんと診断された人の中で最も多かったのが大腸がんであった、というもの。( → こちら )
大腸がんが増えてきた理由は定かではありませんが、以前から

・運動不足や肥満が大腸がんのリスク。
・大腸がんのベースとなる大腸ポリープは糖尿病との関連が言われ、HbA1c が 1%上昇するとポリープ有病率が33%増えるとの報告。
・HDL-コレステロールが高いと大腸がんのリスクが低い。

等の報告があり、大腸がんはメタボリックシンドロームの延長にある疾患と言えそうです。

このところ、腸内細菌との関連が指摘され、大腸がんの組織からフソバクテリウムという細菌が多いという報告 ( → こちら ) や、食物繊維の多い食事でフソバクテリウムによる大腸がんリスクが減るという報告があります。( → こちら )
他に、バクテロイデス・フラジリスという細菌の関与も指摘されています。( → こちら )

ナッツや魚油、アブラナ科の植物は大腸がんのリスクを低下させるという報告もあり、大腸がんの予防は、メタボ対策を講じつつより良い食生活を目指すことに尽きるのではないかと思います。

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さて、大腸がんを見つけ出す手段として便潜血反応検査には高い有効性があることがわかっています。
その検査キットを市販化する動きがあるのに対し、精度管理などに懸念の声が上がっているというニュースが。( → こちら )
厚生労働省内でも意見が分かれているようで、市販化が実現するかどうかはまだ不透明。
賛成・反対どちらの意見も理解できますが、がん検診を受ける人が少なく、大腸がんが増えてきている日本の現状で、次の一手をうつ必要がある用に思います。

強調しておきますが、便潜血反応検査は1回でも陽性になれば、大腸の精密検査を受けなくてはなりません。
そのあたりの理解がなく、再検査をオーダーする医師もいるのですが、間違いです。
詳しくは、以前書いた「便潜血反応検査について」を参照して下さい。

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大腸内視鏡大腸がんの有無を調べるのに主力となっているのは大腸内視鏡検査ですが、座ったままで検査を受けると苦痛が軽減されることを自ら試して証明した研究に対し、イグ・ノーベル賞が授与されたニュースが大きく取り上げられました。( → こちら )
検査は通常、左を下にして寝てもらう左側臥位というポジションで行います。
内視鏡が挿入しづらいと仰向けになってもらっうなど、体位変換をする場合がありますが、座位になると我々と患者さんが向き合う格好になり、お互いばつの悪い雰囲気になるでしょうね。

自分で自分の大腸内視鏡をする医師を何人か知っていますが、ずっと座位で検査する先生は見たことがありません。
私は、経鼻内視鏡なら何回か自ら行い、このブログでも以前紹介しました。
大腸内視鏡を行なうとするなら、座位でもできる専用の椅子から開発に着手したいと思います。