◆ 診療所ライブラリー 153 ◆


間違いだらけのご臨終医療、特に内科診療に携っていると、人の最終場面にお付き合いする機会がしばしばあります。
その具体的な症例の体験談などを元に、最期をどう迎えるべきか、家族としてその時間にどう対応するのがいいのかを考えていく一冊です。

一般の方は家族や親類の人数分しか経験できない看取りですが、医療関係者は数多くの現場に立ち会います。
本の内容は、病院の勤務医という立場からの提言で、これが老健施設や在宅診療に関わる者の視点からだと、また違った内容になるのではないかと思います。
物の見方の相違があるかも知れませんが、場数を踏んでいる分、一般の方が肉親との最期のひとときを大切に過ごす参考になるのでないでしょうか。

本書には「中治り」と「お迎え現象」と呼ばれるものが記されています。
前者は亡くなる数日前に一時的に食欲や元気を取り戻す現象を言います。
このタイミングでご家族との会話などが弾むことがあります。
後者は先に亡くなった縁者が目の前に現れ、それこそお迎えに来るという幻覚を見ること。
経験した人は穏やかな最期を迎えることができるとか。
両者とも医学的な説明が難しいものですが、これらの現象は珍しいものではありません。
医療関係者は不思議に思いながらも、その場面に居合わせる機会が多いです。