野口内科 BLOG

  野口内科は鹿児島市武岡に開業して46年を迎えました。
  当ブログでは、当院からのお知らせ、医療・健康に関する情報の他に、近隣の話題、音楽・本のこと等を綴ってまいります。

    診療時間 午前  9:00〜13:00
         午後 14:30〜18:00 (金曜は〜18:30)
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    電話   099−281−7515
    住所   鹿児島市武岡二丁目28−4
    院長   野口 仁

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アナフィラキシーショック

ビタミンB群の過剰摂取による弊害についての報告が続きました。
まだしっかり読み込めていない部分があるので、簡単にだけ紹介しておきます。


ビタミンB1まず、ビタミンB1 ( チアミン ) について。
高齢者において、食事によるビタミンB1の摂取量が少なくても多過ぎても認知症のリスクになるという報告がありました。
ビタミンB1にコリンエステラーゼ活性の阻害作用があり、脳内のアセチルコリン濃度が高くなることが一因ではないかとしています。


次に、ビタミンB3 ( ナイアシン ) について。
ビタミンB3の代謝産物である4PYという物質が、血管の炎症を引き起こし、時間と共に動脈硬化を引き起こす可能性があり、心疾患に繋がるという報告がありました。


ビタミンB群はビタミンCと同様、体に十分な量がある時は尿に排泄されるので、過剰による悪影響は受けにくいとされてきました。
ここにきて、いろんな悪材料が出てきているのは気掛かりですね。

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ほとんどの方はビタミンに悪いイメージを持っていないと思いますが、私は医者1年目にビタミン剤の点滴でアナフィラキシーショックを起こして死亡した症例を診ています。
新型コロナウイルスワクチンの際に、聞きなれない副反応として嫌がる人もいましたが、ビタミン剤であってもアナフィラキシーショックの原因になり得るのです。
疲労回復があるなどとして「ニンニク注射」という名称でビタミン剤入りの静脈注射を自由診療で受けている人もいると思います。
しかし、生命に関わる副作用も潜んでいることも知っておいてもらいたいと思います。

エピペン給食のチヂミが原因の食物アレルギーによる死亡例がありましたね。
この報道でも出てきましたが、アナフィラキシーショックという言葉を聞いた事があると思います。
「ショック」は誤解されやすい医学用語のうちの一つ。
日本語訳は急性循環不全で、びっくりするといったような意味ではありません。
定義として「生命に対する侵襲あるいは侵襲に対する生体反応の結果、重要な臓器の血流が維持できなくなり、細胞の代謝障害や臓器障害が起こり、生命の危機に至る急性の症候群」。
ちょっと難しいですね。
アナフィラキシーは、短時間のうちに全身性にアレルギー症状が出る反応のこと。
ですから、アナフィラキシーショックとはアレルギーが急激に起こって血圧が著しく低下すること、とおおよそ理解していただければよろしいのではないでしょうか。

さて、関心が高まってきているのがエピペンという自己注射薬です。
このエピペンは症状の進行を一時的に緩和し「ショック」を防ぐ成分を太ももに注射するキット。
簡単な操作で確実に注射できるような仕組みになっています。 
特に素晴らしいのは注射針を見ることなく注射ができてしまう点で、恐怖心を抱くことがほとんどないでしょう。
ただし元々軍事用に開発され、服の上からも打てるように針はやや太めという話ですけれども。
当院でも処方できますので、食物アレルギーのお子さんのいらっしゃるご家庭の方や、森林作業が多くハチに刺された経験のある方などご相談下さい。

ただ、保険が適用されますが1本が1万円を超えるという価格設定がなされています。
いくら何でも高過ぎではないでしょうか。

  ( 参考 → アナフィラキシーってなあに )

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