インフルエンザ新年が明けて、外来ではA型インフルエンザの方が急増しています。
年末年始の民族大移動が感染を拡散させるのだろうと思います。


治療薬としてはこれまで

◎ タミフル ( 内服薬 )
◎ リレンザイナビル ( 吸入薬 )
◎ ラピアクタ ( 点滴 )

の4種類がありましたが、昨年の流行の終わる頃に「ゾフルーザ」という、これまでとは作用機序が異なる新薬が発売されました。
たった1回服用するだけで済むということでテレビや新聞などで盛んに報道されており、この薬を指名する方もいらっしゃいます。


しかし、注意点もあります。
まず、A型インフルエンザウイルスの遺伝子変異が他の薬と比較して高頻度 ( 23.3% ) にみられること。
変異することで薬の効きが悪くなるようで、WHOはゾフルーザが発売されている日本・米国と未発売のオーストラリアを比較して、この変化を監視しています。
日本小児科学会では推奨を見送りましたし、現段階では採用しないとする医療機関もあります。

また、薬価の問題もあります。
通常、3割負担でおおよそ1400円強しますが、体重が80kg以上の方は倍量服用する必要があり、当然負担も倍になります。
これに対して、昨年9月に発売されたタミフルのジェネリックである「オセルタミビル」は3割負担で400円ほど。
タミフルのジェネリックなら、窓口での支払いが1000円ほど安くすむのです。

そして、1例だけゾフルーザを内服後に嘔吐してしまった方がいらっしゃいました。
保険診療上、もう一度処方することができないのです。
一発勝負の怖さですね。


以上のような情報を提示し、さらにどれを選んでも症状が軽くなるまでの時間にほとんど差がないことを説明した上で、どの薬を選択するかは、患者さんと相談して決めています。

ま、罹らないに越したことはないので、基本的なうがいや手洗いを徹底して予防に努めて下さいね。