野口内科 BLOG

  鹿児島市武岡に開業して43年の野口内科です。
  医療・健康に関する情報はもちろん、近隣の話題、音楽・本のことなどを綴ってまいります。

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インフルエンザ予防接種は10月1日から。65歳以上の方、60歳~64歳以上で心臓や肺に疾患のある方を優先します。



ピロリ菌

 ◆ 診療所ライブラリー 174 ◆


うんこのひみつ「知られざるうんこの秘密やうんこが持つ別の顔、そしていにしえのうんこの歴史を多数紹介する」と謳うこの本。
その通り、うんこに関して非常に興味深い情報が満載の本です。

宇宙飛行士のうんこがとても臭い理由、病気や美容にうんこが使われてきた歴史など、見開きで小学生にも理解できるやさしい言葉でエピソードが綴られています。


日本においては、し尿を買い取ったり農作物と交換したりして農地の肥料にするシステムが鎌倉時代から確立していました。
買い取られるし尿にはランクが有り、一番高く買い取られるのが大名屋敷のもの。
対して安かったのが牢獄のものだったというのは、この本で初めて知りました。

欧州では路上に捨てていた時代もあったわけで、この点では日本の衛生度は高かったと言えます。
しかし、ピロリ菌を含む寄生虫感染も循環させていたことになります。( → ピロリ菌の本当の感染ルート )


また、海外ではウシやネズミ・ゾウなどのうんこが薬として活用されていたことが本書で紹介されています。
日本の例は書いてありませんが、以前紹介した「旅行用心集」という江戸自体の書物の中に、船酔いで嘔吐した後に便を飲め、とありました。
旅行用心集では、しきりに旅のお供に五苓散を勧めていますが、船酔いへの対応の項目では登場しないのが不思議。
五苓散を事前の服用すると、酔い止めに効果があるんですけどね。( → 旅行に持っていくと重宝する漢方薬 )


うんこについて大人も子供も楽しく学べる良書ですよ。


参考 → 今日のうんこ

もう解禁してもいいだろうなという診療現場の昔話を。

♦♦♦♦♦
食欲
エピソード その1。

胃潰瘍や十二指腸潰瘍を何度も何度も繰り返していた糖尿病患者さん。
ピロリ菌除菌の治療がようやく保険適用となり、さっそく除菌を実施して成功しました。
潰瘍の再発が全くなくなり、食事がおいしくなったと本人も大喜びでした。
でも、食欲が旺盛となった結果、糖尿病がたちまち悪化。
あえなく、糖尿病の教育入院となりました。

♦♦♦♦♦

しわエピソード その2。

慢性疾患で通院していた高齢女性。
眼科医に勧められ、白内障の手術を受けることに。
明るく、いろんな物がよく見えるようになったのですが‥。
見え過ぎて、自分の顔や腕のシワやシミをとても気にするようになりました。
自然と外出を控えるようになり、慢性疾患のコントロールも悪くなってしまいました。

♦♦♦♦♦

最初のエピソード、ピロリ菌除菌の威力を実感した症例でもありました。
この経験を踏まえ、除菌が成功した場合には、食事面でのアドバイスも可能な限り行うようになりました。

2例目、いくつになっても女性は女性ですね。
そして、全てがありのままに見えたり聞こえたりするのは、必ずしも幸せなことではないのかも知れません。
 

♦♦♦♦♦ 誤解されてる貧血 ♦♦♦♦♦

7月2日に宮内庁から「天皇陛下が脳貧血によるめまい・吐き気の症状がありしばらく安静と経過観察が必要」と発表がなされました。
立ちくらみのことを「脳貧血」と表現する場合がありますが、これは医学用語ではなく、本当の医学的な「貧血」とは全く異なるものです。

ヘモグロビン貧血は、酸素を運ぶ役割を担っている血液中のヘモグロビン ( 血色素 ) が減ることを言います。
全身に酸素を運ぶ力が落ちるので、階段を上がるなどの強めの動作で全身の酸素要求量が増えた時に、動悸や息切れといった症状が起きます。

一方、脳貧血は「起立性低血圧」 ( 小児ならば「起立性調節障害」) という疾患に該当すると考えられます。
急に立ち上がると、血液は重力で下半身の方に行ってしまい、心臓より上にある脳は一時的に血液不足になります。
この時に、自律神経の一種である交感神経が働いて血管を収縮させ心拍数を増やすなどで血圧を上げることができれば問題ないのですが、その働きが不十分だと脳の虚血状態が改善できずにクラクラしてしまうわけです。
この現象はヘモグロビンがたっぷりあっても起こり得ます。

しかし、貧血という言葉から「脳貧血」を想起する方が3人のうち2人 ( 67.6% ) もいるそうなんです。
実際、立ちくらみがしたから採血で貧血のチェックをお願いしたいとして、外来を訪れる方が少なくありません。
医療関係者も平気で脳貧血という言葉を使う場面が多く ( 特に高齢医師 ) 、貧血の正確な意味が浸透せず脳貧血との混同が続いているのではないでしょうか。

貧血の定義などにつては、過去の2つのコラムである程度詳しく取り上げているので参考にして下さい。

本題に入る前に貧血について
貧血大国・日本


♦♦♦♦♦ ピロリ菌と鉄欠乏貧血について、改めて ♦♦♦♦♦
 
さて、7年前に「ピロリ菌と鉄欠乏性貧血」というコラムを書き、ピロリ菌感染が原因の鉄欠乏性貧血とラクトフェリンなどに絡んだ情報を提供しました。

最近の知見では、ピロリ菌感染によって胃粘膜萎縮が起こり、アスコルビン酸の吸収が低下することが原因ではないかとされています。
アスコルビン酸は、三価鉄を吸収のいい二価鉄へ変換するのに関わっているため、アスコルビン酸の低下によって鉄不足に陥りやすくなるというわけです。

また鉄収奪能の高い遺伝子変異を持つピロリ菌がいるとされており、このタイプのピロリ菌に感染することで鉄欠乏性貧血が起こる可能性が指摘されています。
特に小児や10代の若年者で鉄剤投与でも貧血の治療に難渋する場合は、ピロリ菌の有無をチェックする必要があり、中には除菌だけで貧血が治ることもあるようです。


♦♦♦♦♦ ヘム鉄についてプチ情報 ♦♦♦♦♦

なお、鉄欠乏性貧血の際に、吸収がいいからとヘム鉄のサプリの摂取を勧められるケースもあるようですが、最近の研究で、ヘム鉄摂取が多いと2型糖尿病の発症リスクが高くなるという報告がありました。
絶対にヘム鉄でなければ治療できないというわけではないので、気をつけたいところですね。

最近、ピロリ菌に関して、非常に興味深い報告が相次ぎましたのでまとめてみました。


イド♦︎ 低下し続ける日本人のピロリ菌感染率

一つは、日本におけるピロリ菌感染率を出生年別にみたものです。( → こちら )
それによると

 1910年 60.9%  1920年 65.9%
 1930年 67.4%  1940年 64.1% 
 1950年 59.1%  1960年 49.1%
 1970年 34.9%  1980年 24.6%
 1990年 15.6%  2000年   6.6%

となっており、特に1998年生まれ以降での感染率は10%を切っているようです。
ご存知のように、ピロリ菌感染が原因となって胃・十二指腸潰瘍胃がんといった疾患が生じます。
感染率の低下や、ピロリ菌の除菌療法の普及などで胃・十二指腸潰瘍に遭遇する機会が随分減ってきています。
将来は、これらの疾患は珍しいものになっていくものと予想されます。
しかし、若年者でここまで大幅に感染率が下がってきた理由も知りたいところです。


♦︎ ピロリ菌感染の原因は本当に井戸水なのか

我々がピロリ菌にどうやって感染するのか、実は謎が多いのです。
というより明確にはわかっていません。

長らく井戸水が感染源として疑われており、上水道の整備に伴って感染率が低下したのだと半ば定説化していて、多くの医療関係者がそう信じています。
また、一般の方もそういう情報をよくご存じで、時々幼少時の井戸水摂取を心配して来院される方もいます。
しかし、あくまで仮説のレベルであってきっちり証明した報告はありません。

例えば、ピロリ菌感染者の家の井戸水を採取したところ、9.3%の井戸水からピロリ菌のDNAをPCR ( polymerase chain reaction ) 法で検出できたけれども、培養は全くできなかったという報告があります。( → こちら )
PCR法って検体中のごくごくわずかな核酸も増幅することが可能です。
細菌感染には一定量の菌が必要と考えられています。
DNAは増幅したら検出されるけど培養ができないというような極めて少ないレベルで、井戸水世代の6割以上の人々の胃にピロリ菌感染が果たして起こるものなのでしょうか。
私は疑問に思っています。



♦︎ 新たな研究から見えてくるもの

ピロリ菌感染率の報告があった同じ日に、同じ医学雑誌にピロリ菌に関する新たな研究報告が二つなされました。
いずれも非常に注目に値する内容です。


一つは、13%のハエがピロリ菌を保菌しているというものです。( → こちら )

ピロリ菌は糞便に排泄されます。
糞便に触れたハエがピロリ菌を運び、食べ物にたかり、それが感染源になっているという可能性が今回の研究で強く示唆されます。
上水道の整備よりも、下水道の整備で感染が減った可能性の方が高いように思えますね。


そして、口腔内のピロリ菌についての総説です。( → こちら )

この総説を読んでみると、歯のプラークに潜んでいるピロリ菌が口から口へと感染するのが案外深刻であるというのが見て取れます。
そして、口腔内も含めた除菌の重要性を説いています。


井戸水からの感染も全く否定はできないと思いますが、井戸水の中にピロリ菌がウジャウジャと存在しているわけではないことは理解していただけたものと思います。
それよりも、ハエやゴキブリなどの小動物がピロリ菌を媒介するケースや、人間の口から口への感染の方が、可能性としてよほど高いのではないでしょうか。

来年、診療報酬改定が控えており、今回の改定で医師の技術に関する部分では報酬を引き上げるものの、薬に関する部分では引き下げようという方向性が見えています。

♦ 若い女性への処方が急増したヒルドイド

軟膏薬に関して、最も槍玉に上がっていると思われるのが、「ヒルドイド」などの名称で知られるヘパリン類似物質の外用剤の適正使用について。

一般報道もなされているのでご存知の方も多いと思いますが、某モデルが化粧の下地に使っていると紹介したのをきっかけに、美容目的で医療機関で薬を求める人が男性に比べて女性で5倍以上も急増したとか。
特に25~29歳に限ると女性の増加数が男性の33.9倍というかなりいびつな状況になっています。
そして一度に50本以上処方する例もあったという事態に、保険適用を外すように求める意見もあったとか。

好ましくない情報を流したモデルさんには大いに反省してもらいたいですし、真に必要とする患者さんの使用の妨げにならないように議論がなされることを望みたいです。


♦ なぜか多用される降圧薬、ARB

もう一つ議論に上がっているのが、高血圧治療におけるアンギオテンシンII受容体拮抗薬 ( 以下 ARB ) の使用実態です。
この系統の薬は、今年に入るまでジェネリック医薬品が解禁になっているものが少なかった上に、元々の薬価が他の系統の降圧薬に比べて高いのです。
ARBとカルシウム拮抗薬を投与されている患者さんを比較しても両者間で入院の発生率に差がないというデータを基にして、ARBをカルシウム拮抗薬に置き換えれば800億円程の医療費が削減できるという主張が出てきています。
これは薬理作用を無視したいささか乱暴な意見で、性質の違いを考慮して個々に応じた適切な降圧薬を選択すべきだとは思います。

しかし、この議論の中で提示されたデータの中にかなりがっかりしたものがあります。
それはACE阻害薬の使用割合が極端に低いことなんです。
単独処方での割合をみると、Ca拮抗薬・ARB・ACE阻害薬の順に、57.0% ( 33.5% )・37.9% ( 63.1% )・1.7% (1.1%) だったのです。( 数値は構成割合でカッコ内の数値は処方額の割合 ) 

高血圧の治療をするのは、血圧の目先の数値を下げるのが目的ではなく、高血圧が元で起こる心臓や脳血管の疾患を予防する点にあります。
ARBとACE阻害薬は同じレニン・アンギオテンシン系を抑制するという共通点があるものの、心筋梗塞後の予後や全死亡、心血管死など様々な点においてACE阻害薬が優れているのです。
そのため、ARBはACE阻害薬に忍容性のない患者向けの代替品というのが欧米での位置づけ。
なのに、日本ではARBの処方が圧倒的なのです。
循環器の医師たちもその点は十分に理解しているのですが、ACE阻害薬の副作用である咳が生じるのを嫌ったり、院内に採用されていないからといった消極的な理由でARBの方を選択しているのが現状です。

当院では、エビデンスをしっかり持っているACE阻害薬を積極的に処方しています。
ARBをカルシウム拮抗薬ではなくACE阻害薬に置き換える、という議論なら私はおおいに歓迎します。
今回の議論をきっかけに、日本の血圧治療に携わる医師の意識が変わってくれることを望みたいですね。

きも『ピロリ菌除菌後、プロトンポンプ阻害薬 ( 以下 PPI ) を長期に服用すると胃がんのリスクが高まる( 本論文はこちら ) 。

先日、このような論文が Gut という雑誌に掲載されました。
PPIを長く連用するほど胃がんのリスクが高まり、ハザード比が1年以上で5.04、3年以上で8.34にもなるというもの。
PPIと同様に胃酸の分泌を抑えるH2ブロッカーという種類の薬ではハザード比が0.72で、このような傾向はなかったようです。

我々、消化器医には衝撃的な内容です。
ピロリ菌の除菌は、胃・十二指腸潰瘍の再発や胃がんの発症を予防するために行うものです。
でも、菌がいなくなると胃が本来の働きを取り戻して酸分泌が活発になるため、胃もたれや胃食道逆流症 ( 逆流性食道炎 ) を起こすことがあります。
そのため、どうしても酸分泌を抑える薬が必要になるケースがあるのです。


以前から、酸分泌抑制薬の長期連用の安全性には疑問が投げかけられていました。
「手術で胃を全摘しても生きていられるし問題はないのでは」とは消化器疾患の分野で高名な先生の言葉なのですが、実際、臨床の場において長らく処方していて困る場面に出くわしたことはほとんどありません。
しかし、これまでに
・ビタミンB12や鉄の吸収阻害
・胃酸による殺菌作用の低下に伴う肺炎や腸管感染症の増加
・骨折や認知症の増加
などの可能性が指摘されています。

丁寧にみていくと、ビタミンや鉄の吸収阻害、感染症の増加のエビデンスはありませんし、骨折については増加と変化なしの相反する報告があります。
認知症に関しても、診療記録からPPIの服用の有無で認知症の発生率の差をみた研究で、因果関係をはっきりさせたものではありません。


今回の報告で、ハザード比があまりに大きいのには驚いたのですが、作用機序はまだ未解明ですし、あくまで『ピロリ菌除菌後』という状況下での話です。
今後の研究の進展を見守りたいと思います。

 ◆ 診療所ライブラリー 138 ◆


胃がんの原因はピロリ菌です 内藤裕二怪しげな健康情報を載せた本ならともかく、ちゃんとした医学的情報に基づいた本で「胃がんの原因はピロリ菌です」と、ここまで断定的なタイトルをつけたものは珍しいのではないでしょうか。
一般向けとしてはかなりボリュームがある情報量で、我々も教科書として使えるくらいの内容ながら、図版も駆使してピロリ菌除菌の重要性をわかりやすく説いています。

私が研究室にいる頃、消化器の分野ではピロリ菌に関する研究が花盛りでした。
ピロリ菌が胃粘膜を傷めるメカニズム、除菌にはどのような薬剤の組み合せと期間が良いか、除菌によって胃がんの発症は防げるか・・・。
様々なことがわかってきて、今は中学生や高校生の頃に早めに除菌しましょうという流れが出来つつあります。
鹿児島県でも本年度から高校1年生を対象としたピロリ菌検診が始まりました。( → ピロリ菌検診、そして除菌を妨げる因子 )
こういった取り組みが全国的に広がると、日本から胃がんという疾患がほとんど駆逐されると思います。

それにしても未だによくわからないのが、ピロリ菌にどうやって感染するのかということ。
井戸水が、なんて話もありますが、人間の体外でピロリ菌はどうやって過ごしているのか、さっぱりわからないのですから。

01北は札幌から南は鹿児島まで、いくつかの都市で路面電車が走っています。
時代の波に押されて昭和の終わりに2路線が廃止になった鹿児島ですが、路面電車の意義が再評価されてきた昨今の流れもあり、ウォータフロント部分への伸延計画も持ち上がっています。
高台に住んでいるのであまり利用することはないのですが、いつも混雑していますよね。
実際、鹿児島市営バスの赤字を埋める以上に路面電車は儲かっているようです。

そんな鹿児島市電のうちの1両の車内が、ピロリ菌の啓発のポスターで埋まっています。
ピロリ菌の感染は胃潰瘍や胃がんの原因になる、という認識が一般の方にも広まってきています。
しかし、いまだに全く知らない方やヨーグルトを食べて治しているつもりになっている方などがいて、まだまだ正しい知識を広める必要性を感じていました。
そこへ今回の企画の話をいただき、当院も協力させていただいた次第です。
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全国に先駆けて軌道の緑化を進めた鹿児島。
写真は金生町電停の様子ですが、全国に先駆けて進めた軌道の緑化の様子がおわかりいただけると思います。 

指しゃぶり〖 今月のつぶやきから 56 〗


毎日のように数多くの医療情報が発信されますが、その中で私のアンテナでキャッチできたものの中から興味あるものを twitter 上でつぶやいています。
その中からさらにピックアップして月末にまとめているシリーズです。

まずは、認知症に関しての2題です。

抗認知症薬は価格が高い割にそれほど多くの期待はできません。
ビタミンDやハーブなど安価な手段で予防や対応できるようになるといいですけど、どうなりますか。


次に薬に関する話題を4つ。

ニザチジンという酸分泌抑制薬は非常に面白い作用も持っています。
デパスは軽い薬だと医師も患者も勘違いしてますよね。




最後は消化管とインスリン抵抗性について。
消化管を健全に保つことも糖尿病予防には大事なようです。
ピロリ菌の除菌が糖尿病治療にプラスに働くというのは興味ある報告です。


HPヘリコバクター・ピロリ ( 以下 ピロリ菌 ) の検査や除菌について、お問い合わせをいただくことがあります。
今回は、ピロリ菌の検査法と除菌の際の注意点について述べてみたいと思います。

検査法には

血液による抗体検査
尿による抗体検査
便による抗原検査
④ 検査薬を服用して前後の呼気を比較する尿素呼気試験
⑤ 生検組織を用いる迅速ウレアーゼテスト
⑥ 生検組織を病理医に顕微鏡でチェックしてもらう鏡検法 
⑦ 生検組織を使って培養する方法

などがあります。

① ~ ④ の方法は内視鏡を用いることなく感染の有無を確認することができます。
ピロリ菌がいるとわかった場合、除菌療法を行なうことになりますが、除菌をするにあたっては次のようなルールがあります。
ピロリ菌の感染診断および除菌治療の対象は『内視鏡検査によってヘリコバクターピロリ胃炎の確定診断がなされた患者』と決められているのです。
ですから、内視鏡はしたくないけどとりあえずピロリ菌に感染しているか簡単な方法で知りたい、というご要望にお応えすることはできません。
人間ドックなどで、採血だけでピロリ菌が陽性であったと来院される方もいらっしゃるのですが、そういう場合でも、内視鏡検査が必須であるということを十分理解していただきたいと思います。


当院では、経口よりも楽に受けていただける経鼻内視鏡を積極的に行なっています。
現在用いているフジの製品は柔らかく先端の径が均一なので、鼻にとてもやさしい内視鏡です。
他社製のものを使ったことがありますが、硬いため鼻の奥の痛みを訴える方が多く、不均一な径のため鼻の粘膜をガリガリこすって出血させやすいです。
私自身は他社製のものでは絶対に検査を受けたくありません。

これまでの経験を駆使して、苦痛をできるだけ起こさせない内視鏡操作も心がけております。
ピロリ菌のことが気になる方は、是非当院の経鼻内視鏡をご利用下さい。

大腸〖 今月のつぶやきから 39 〗


収集した情報を twitter 上でコメントを添えていち早く流しています。
今月もいろんなことをつぶやき、反響の大きかったものもありますが、テーマを絞って振り返ってみたいと思います。

まずは、糖尿病に絡んだ話題。




次に、潰瘍性大腸炎にまつわるもの 2題。


最後に、個人的に興味をひいた情報を 4つまとめておきます。


胃〖 今月のつぶやきから 31 〗


かつて胃に絡んだ研究をしていたので、直接研究対象としていなかったピロリ菌とか非ステロイド解熱鎮痛薬などは、多くの発表や論文を見聞きする機会が多くありました。
今でも情報収集は欠かせません。

今月は twitter でつぶやいたものの中から、まずはピロリ菌に関するものから。


次に、解熱鎮痛薬についての話題です。


最後に食品に関しての情報です。


ピロリピロリ菌除菌の適用が拡大されたのが1年前の2月22日のことでした。( → 「ピロリ菌除菌の適用範囲が広がったけれども」)
今年は間もなく除菌の新しいパック製剤が発売となります。

これまで各社の薬を組み合わせて除菌することは可能だったのですが、間違いなく服用してもらうために一次除菌に関しては一社が独占して発売していたパック製剤に頼っていたのが現状です。
選択肢が増えるのは嬉しいことですね。
薬も小さく除菌率も若干良くなるであろうことに期待しています。
ただ、先行品と同様にクラリスロマイシンの用量が異なる2種類を出してくるのはどうなんでしょう。
というのも、クラリスロマイシンが400mgでも800mgでも除菌率に有意差が出ていないからです。

さて、先日のことですが、他院で除菌をしたけれども不成功だったので当院で二次除菌をして欲しいという方がいらっしゃいました。
話を聞いていて、おやっと思ったのですが、内服中はアルコールは飲むなと指導されたらしいのです。
これは二次除菌に使うメトロニダゾールについての注意事項ですから、いきなり二次除菌の薬を服用した可能性が否定できません。
二次除菌に使う薬の組み合わせの方が除菌率が高いという点に着目しているのでしょうが、安易な使用は二次除菌率の低下を招きかねません。
ルールを逸脱しないようにお願いしたいものです。

2月からピロリ菌が陽性の胃炎での除菌ができるようになったことは何度もお伝えしております。
ただ、除菌には内視鏡検査が必須なんですよね。

心窩部本日から発売される機能性ディスペプシアに対する薬も内視鏡検査が必須であるという制約がついているようですね。
現首相がかつて潰瘍性大腸炎で政権を降りて入院した時に、主治医団が「機能性胃腸症」という病名でごまかしていました。
これは機能性胃腸症を患っている人に、とても深刻な病気であるかのような印象を植え付ける結果になったのではと、今でも批判的に思っています。

さて、Functional dyspepsia という英語をかつて機能性胃腸症と訳していたのですが、胃・十二指腸領域の症状に限定した疾患定義に変わったため「機能性ディスペプシア」という名称になりました。
十二指腸は腸ではないのかな、と思いつつ、この疾患名は一般の人には病態をイメージしづらいだろうなと思う今日この頃です。

機能性ディスペプシアについては、当ブログの「心窩部にまつわる話題」にて取り上げています。
古い記事ですが、是非参考にして下さい。

  ○○ 学会レポート2013 その2 ○○


除菌今回の消化器病学会、参加できたのは初日だけでしたが、貴重な情報を多く得ることができました。

午前中に聞いたのは「HP除菌後の病態と対応」。
HP とはヘリコバクター・ピロリのことです。
日本でピロリ菌除菌が保険適用されたのが2000年11月のことでしたから、12年余の歴史がありますが、除菌後の消化管の病態変化について長期にわたるデータがかなり蓄積されてきました。

除菌すれば胃癌はかなり防げるのですが、ゼロとはならないことが知られています。
除菌が高齢で行われた場合、萎縮が強い場合、胃潰瘍がある場合、腸上皮化生がある場合などでリスクが高いことが報告されていました。
また、除菌後10年を越えて胃癌を生じたケースもあることなどから、除菌後5-8年までは毎年、その後は隔年で内視鏡検査をすべきではという提案もありました。
除菌後の適切な胃の検診のタイミングについて、やがて意見が集約されることでしょう。

また、除菌による酸分泌上昇により懸念される逆流性食道炎についての演題もありました。
内容については省略しますが、提示された内視鏡写真について一言。
学会で発表される胃の内部の写真は胃液などの付着のないきれいな物が多いのに、逆流性食道炎の診断に重要な食道胃接合部の写真はお粗末な限り。
あれじゃ正確な診断はできないでしょう、と場末の内視鏡医が嘆いてしまうようではだめです。

参考 → 胃食道逆流症の検査には経鼻内視鏡 

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