日本の医療保険制度において、保険診療として提供したサービスに対する対価として全国一律に適用される「診療報酬」が定められています。
日々進歩する医療や世の中の経済状況を鑑みて、2年に一度改定が行われます。
最近の改定の傾向同様、2018年度の診療報酬改定でも医薬品の適正使用を推進しようという姿勢が見えています。

すやすや注目したいのが、「不安や不眠の症状に対しベンゾジアゼピン系の薬剤を12ヶ月以上連続して同一の用法・用量で処方されている場合」に処方箋料が減額されることです。
処方する医師側に漫然と薬を出さないように促しているのです。

これは非常にいい対策だと思います。
海外では、不眠を訴える方に睡眠薬を短期間だけ処方して、改善がみられたら中止する、というやり方が一般的なのです。
米国ではかつて「睡眠薬は一生で最大35日しか出してはいけない」という規制すらありました。

ここ数年、私は睡眠薬としてベンゾジアゼピン系の薬を新規に処方するケースはほとんどなくなりましたし、日常での過ごし方のアドバイスなどを通して投薬に頼らない睡眠の質の改善にも取り組んでいます。
これまでも、処方している方には睡眠状況を定期的に聞き出して薬の調節を適宜行なうように努めていましたが、4月以降は更に減薬などを進めて行くケースも増えてくると思います。
ご理解の程よろしくお願い申し上げます。

ただ、少ない処方・用量で安定し、大きな副作用もない方に対して、無理矢理処方変更をする必要があるのかどうか、十分に考慮しつつ対応したいと考えています。


なお、トリアゾラム ( ハルシオン ) 、ブロチゾラム ( レンドルミン ) 、エチゾラム ( デパス ) は依存性を生じやすい薬の代表格です。
薬を中止すると、服薬前よりも強い不眠が出る場合があります。
これを反跳性不眠と言いますが、これを経験することで薬への依存度が高まってしまう悪循環に陥ってしまいます。
エチゾラムは軽い薬、と勘違いしいてる医師もいまだに多いので要注意です。