野口内科 BLOG

  鹿児島市武岡に開業して43年の野口内科です。
  医療・健康に関する情報はもちろん、近隣の話題、音楽・本のことなどを綴ってまいります。

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         午後 14:30〜18:30
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    住所   鹿児島市武岡二丁目28−4
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健康診断

 ◆ 診療所ライブラリー 170 ◆


すべての医療は.「不確実」である巻頭とあとがきで、著者が若手医師だった頃に経験したつらい症例のことが書かれています。
そこで「たとえようのない無力感と、諦念と、ある種の罪悪感に同時に襲われた」そうですが、私も同じように気持ちになったことがあります。
ずっと医療に携っていますが、今の医学が何でも治せるものではないし、同じ疾患でも患者ごとに治療成果が異なることは嫌というほど思い知らされます。

20年ほど前までは医者の経験や勘に頼っている部分が多かった臨床現場に、科学的根拠に基づいた医療を施すことが徐々に浸透してきました。
個人的な医師の経験則を排除して、信頼性の高い治療法がどんな医療機関でも受けられるよう平準化がなされてきているのです。

その科学的根拠を明らかにする臨床疫学という学問に身を投じた著者が、しっかりしたデータを元に様々な医療手段に鋭く切り込んでいるのが、今回紹介する本です。

がんの代替医療が科学的根拠に基づく医療を代替できることはないと断じていますし、 風邪への抗菌薬処方が慣習的な医療であり患者もその臨床的経験に依拠してしまうこと、タミフルや子宮頸癌ワクチンの騒動にはマスコミがあまりにも無責任な報道を行なってきたことも断罪しています。
面白いのは、職場の定期健康診断で医者の聴診は不要だし、医者の診察すら不要だとしていること。
これにもちゃんとしたデータに基づいた提案なのです。

医療がどう不確実なものか、それは本書を読んでいただくこととしますが、個人的にはタイトルのイメージとは裏腹に読後にスカッとした気分になれる非常に面白いないようでした。


参考 → 「風邪の際の抗菌薬に対する意識」 

 ◆ 診療所ライブラリー 114 ◆


検査値健康診断が終わって渡されるたくさんの結果。
意味がよくわからないけれども、すべて基準範囲内なので一安心という場合もあるでしょう。
また、医者にはこの程度なら心配いらないと説明を受けたけど、基準範囲をちょっと超えているのはやはり気になるという場合もあるでしょう。

今回紹介する「健康診断の検査値がとことんわかる事典」は、健康診断や人間ドックなどでよく行われる採血項目や検査を取り上げて、その意味や疾患との繋がり、次にどのような精密検査を受けるべきかなどが非常にコンパクトにまとめてあります。

ただ、正確でない記載もあるのがちょっと残念です。
例えば、便潜血反応検査を解説した部分に「陽性が出た場合は、再度便潜血反応検査を行なって」とあります。
これはとんでもない間違いです。
便潜血反応検査では、一回でも陽性となった場合は、次に大腸がんの有無を調べる検査 ( 主に大腸内視鏡 ) を受けていただくことになります。
もう一度調べてみましょう、と便潜血検査を繰り返す医師が現実に少なからずいるのは悲しいことです。( →便潜血反応検査について )

任意型検診などで、がんがわかります、という触れ込みで行われるものに腫瘍マーカー検査があります。
しかし、この検査には個人的には賛成しかねます。
本来、腫瘍マーカーとは実際に癌がある時に、病状の変化や治療効果をみるためのものなのです。
勧められるがままに調べてみたら、ちょっと高めだったけれども体中をくまなく調べて何もなし、というケースもかなり多いのも事実。
無駄な検査を強いられるだけですので、私は健康診断で腫瘍マーカーを調べるのはお勧めしていません。
ほとんどの場合はオプション扱いですし、選ぶのはご自身の判断になりますけれども。

  → 健康診断の検査値がとことんわかる事典 最新版

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