ety0ij5t.gif最近、飯嶋和一の新作「出星前夜」を読み始めました。
この作家の作品が上梓されるのは4~5年に一度のペース。
今回、発売日が当初の予定より延び延びになりましたけど、待つ甲斐のある数少ない小説家です。

4年前の「黄金旅風」は江戸時代の鎖国政策が敷かれる前後の長崎を舞台にしたものでした。
装丁が前作にそっくりな今回の作品は、その続編とも言うべき島原の乱が描かれています。

序盤に流行り病に倒れる子供たちに医師が漢方薬を処方する場面があります。
話の筋にそれほど重要とは思われない数ページなのですが、これが実に事細かな描写で恐れ入りました。
漢方薬を時折使う私でも知らないようなことまで書いてあって、漢方について相当勉強したものと思われます。
この場面だけ読んでも、数年に一度しか作品が出ない理由がわかるような気がしますし、丹念な仕事ぶりには学ぶべき点も多くあります。

まだ半分ほどしか読んでいませんが、飯嶋ワールドを堪能している至福のひとときがたまりません。

 → 出星前夜