
「みぞおちに、硬いしこりがあるんです。癌じゃないでしょうか ?」
診察室の椅子に座るなり、心窩部を指さしながら心配そうな顔でそう訴えて来られた方。
お話をしっかり聞いた上で診察をさせていただきます。
「これですか ?」
「そうです。ほら何か硬いのがあるでしょう」
触診で、しこりだと訴えのある場所を確認して私はにっこり。
「私の同じところを触ってみてください」
「あれっ !? ありますね固いのが」
「これは誰にでもあるものなんですよ」
「えーっ、そうなんだ」
しこりの正体は剣状突起。
図の赤く塗った部分がそれにあたり、誰にでもあるのです。
今まで何例あったでしょうか、このような訴えで来院される方がたまにいらっしゃいます。
ということは、これから先も同じような心配をされて病院に足を運ぶ方がいらっしゃるかも知れません。
自分の体のことでありながら、知らないことって多いですよね。
図を参考にして、剣状突起に該当しそうにないしこりであれば病院へ行って診察を受けて下さい。
なお、剣状突起は生まれた時は軟骨ですが、加齢とともに徐々に骨化してきます。
外傷や妊娠で、剣状突起が突出してきて痛みを生じることがあります。
また、サーフィンなどで硬い物の上に腹ばいになる刺激によっても痛みが出ることがあるようです。
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