どこぞやのグループの「メンバー」が、アルコールが元で道を外してしまったようですね。
その報道の最中、非常に興味深いニュースが飛び込んでました。( → 酒に弱い日本人が増えるよう「進化」 遺伝情報から判明 )

げこアルコールを飲むと顔が真っ赤になってすぐにダウンする人もいれば、まったく底なしの人もいます。
これは、アルコールを分解する酵素の働きの強弱という遺伝的な要因に依存しています。

アルコールの分解には、アルコールをアセトアルデヒドに変えるADHB1と、アセトアルデヒドを酢酸に変えるALDH2と呼ばれる2つの酵素が関与しています。
日本人を含む黄色人種では他の人種に比べてこの酵素の働きが弱い人が多いのです。
白人や黒人では酵素の働きが弱い人はまず存在しないので、お酒を飲んで顔が真っ赤になってしまうことがないのです。

酵素の働きが弱い人では、
● 脳梗塞になる人が多い
● アルコールに加えて喫煙すると咽頭がんや食道がんになりやすい
ことなどが既に知られています。
食道がんの人に飲酒と喫煙の状況を聞き取るのは、我々医者にとって当たり前の作業です。

利点はないばかりように思えるのですが、今回の研究報告によると、酵素の働きが弱くなる遺伝子変異を積極的に受け継いできた跡が遺伝子解析から分かったのだそうです。
進化の過程で何らかのメリットがあった可能性がうかがえます。
アルコール飲用の際の糖代謝がわずかに改善するという報告がありますが ( → こちら ) 、他にも生存に有利に働く作用がきっと潜んでいるでしょうね。
そのあたりを探っていくのも楽しそうです。

ちなみに、日本人の中でも酒に強い弱いに地域差があると以前報告されていました。
都道府県別にみた酒に強い人が多いベスト3は、秋田、岩手、鹿児島の順なんだそうですよ。 ( → こちら )