先月、沖縄で発症が確認された麻疹 ( はしか ) の感染拡大が続き、18日現在沖縄県内だけで63人を数えています。
きっかけとなったのは台湾からの旅行者の持ち込みでした。
麻疹という疾患の恐ろしさはあちこちで解説されていますのでその点は省略して、今回はその感染力の強さに的を絞って書いてみます。


はし麻疹の潜伏期間と発症のプロセスをみてみましょう。
まず潜伏期間は10~12日間あります。
潜伏期間を経て発熱などの症状が出てきますが、カタル期と言ってこの時期ではなかなか麻疹と診断できません。
2~4日のカタル期を経て一旦熱が下がり、再び熱が出ると同時に特徴的な皮疹が出ます ( 発疹期 ) 。
典型的な症状が出て麻疹と診断されるのに時間がかかるのもさることながら、カタル期の前日くらいから周囲への感染が始まるとされている点も非常に厄介な点です。
潜伏期間の間に、人はタンポポの種のようにあちこちに散らばっていきますし・・。

そして、感染力の強さ。
感染力の強さを表すのに「基本再生産数」という数値が使われます。
これは『ある感染者がその感染症に免疫を全く持たない集団に入ったとき、感染性期間に直接感染させる平均の人数
』を示すものです。
皆さんがよく遭遇するインフルエンザではこの数値、2~3 であるのに対し、麻疹は 16~21
身近にインフルエンザ患者さんがいるだけでも大騒ぎしますが、麻疹はとてつもなく強力な感染力を持っているのだとご理解いただけるでしょう。


日本も10年ほど前までは「麻疹輸出国」という恥ずかしいレッテルを貼られていました。
1回では十分に抗体が得られない場合もあるため、2006年からMRワクチンの2回接種が始まりました。
その効果が出て、2010年5月以降、国内発症は認められていません。

しかし、最近は海外からの持ち込みが問題となっています。

1回のみの接種だったのは1990年4月2日以前に生まれた方。
40歳以上の方はワクチン接種の機会がなくても、自然感染でほとんどの人が抗体を持っているようです。( → 参考 )
この狭間に該当する方は、予防接種を検討してみて下さいね。