野口内科 BLOG

  鹿児島市武岡に開業して43年の野口内科です。
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小腸

  << 宿便について考える 第三回 >>


juumou.gif宿便や滞留便についてまことしやかに書かれた文章を読むと、腸のヒダの間に便が溜まるとする表現が目に付きます。
このヒダに関しては、どうやら二通りの物が語られているようです。

♦♦ 小腸にしかない絨毛

一つは、絨毛
私の場合、大腸内視鏡を回腸末端にも必ず挿入しますが、粘膜面を水に浸すと絨毯の毛足にそっくりの絨毛を観察することができます。
表面積を大きくして効率的に栄養分を吸収するための小突起なのですが、これは小腸にだけ存在し、大腸にはありません。

そして重要なポイントなのですが、小腸の消化内容物って液状なのです。
小腸に続く大腸の役割は、栄養分を吸い取られた液状の食べかすから水分を吸収することです。
これによって内容物が、液状から泥状、軟便、固形便へと変化していくわけです。
上行結腸や横行結腸など大腸の奥の方では、お尻から出てくる固形便には程遠い内容物なのです。
ですから、そのさらに奥の小腸において、絨毛の間に便が付着するなんてあり得ないことなのです。

♦♦ 大腸にしかない半月ヒダ

もう一つは大腸にある半月ヒダを指している場合があります。
小腸の絨毛は顕微鏡レベルの構造物なのに対し、半月ひだは肉眼でしっかり確認できるものです。
半月ヒダは内容物の移送に関係していることは以前に書いていますが、このヒダ丈が高いほど大腸の移送力があり、食べかすが直腸の方までスムーズに移動できると考えられています。
逆にヒダが低く、蛇腹が伸び切ったような大腸では圧倒的に便秘であることが多いのです。
大腸からは腸液も分泌されていて、いつも表面はぬるぬるになっています。
便秘の方はヒダがあまりないケースが多いわけですし、大腸の粘膜面がが乾燥しているわけではありません。
大腸のヒダとヒダの間に便がとり残されるなんて考えられないことです。

但し、ヒダがしっかりあっても大腸の収縮が強くて便をせき止めてしまうことがありますが、これは後ほど。

また、便が腸の壁にはまり込んでいる状態というのはありますので、次回はそのあたりを解説してみます。


宿便について考える 第二回 「宿便の定義を調べてみる」
宿便について考える 第四回 「大腸憩室症について」

fvqjjtgy.gif少し遅れての報告ですが、7月末にあった講演会の話です。
演者は昨年 9月にも鹿児島にやって来た、神戸時代の研究グループのボス。
高脂血症の教授に続き、2週続けて同門の大先輩の話を聞くこととなりました。

今回は、小腸疾患についての話。
カプセル内視鏡と小腸内視鏡という二つの道具を用いて明らかになりつつある小腸の病気を様々な視点から紹介していました。

興味を引いたのは、解熱鎮痛薬による小腸粘膜障害が胃以上に高い確率でみられるということでした。
そして、小腸からの出血が疑われた場合、カプセル内視鏡と小腸内視鏡のどちらを先にやるかということ。
小腸内視鏡だと病変を発見次第止血処置もできてしまうのでいいと思うのですが、欧米ではカプセル内視鏡を第一選択にする傾向にあるとか。
検査に伴う苦痛を嫌う傾向にある民族性の差でしょうか。

講演会の後、少し話をさせていただきましたが、大河ドラマ「篤姫」の人気には恐れ入りました。
教授も欠かさず見ているそうで、そのうちプライベートで鹿児島に遊びに来たいということでした。
この暑さにも関わらず、鹿児島の観光スポットには観光客の姿を実に多く見かけます。
教授をも動かすテレビの力は侮れません。

nihv4xmb.gif神戸で研究生活を送っていた時代に最もお世話になった先生は、現在東京の某大学の教授。
その先生が先日鹿児島で講演を行ないました。
実は講演という形で先生の話を聞くのは今回が初めて。
最初に鹿児島には知っている人物が何人かいる、と私の名前も挙げていただきちょっと気恥ずかしく感じました。

神戸時代はもっぱら基礎研究中心だったのですが、東京では臨床データも豊富に出されており、今回は解熱鎮痛薬 (NSAIDs) による消化管粘膜障害についての話でした。

興味深かったのは、小腸の画像診断が普及して、NSAIDs による小腸の粘膜障害も多く見つかるようになってきたこと。胃の粘膜障害には胃薬がありますが、小腸には無効であることから予防や治療に苦労するとのことでした。
また、最近日本でもようやく発売されたサイクロオキシゲナーゼ (COX)-2 阻害薬に関する話も興味深く話を聞かせていただきました。

第一線の研究を臨床の現場に活用していこうと思います。


rqmhfmnm.gif先週のNHKの報道によると、
ようやくカプセル内視鏡が日本でも認可され本格的に使えるようになりそうです。

海外では既にもう 6年も前から使用されており、
今まで困難だった小腸の画像診断が臨床の分野に多大なる貢献をしています。

認可を前に、個人輸入の形をとって患者の診断に役立ててきた日本におけるカプセル内視鏡の第一人者は、
実は神戸のある病院で私と一緒に働いていた先輩医師です。
後輩とともに栃木の某大学病院で数多くのカプセル内視鏡の症例をこなしてきました。
そんなわけで早い段階からカプセル内視鏡についていろいろ生の情報を得ることが可能でした。

私の最大の関心事は、飲んでもらった内視鏡の運命はどうなるのかということでした。
皆さんも興味あるでしょう。
これについては、特に回収はしないとのこと。
カプセル内視鏡でトイレの配管が詰まったという話はありません、との答えでした。
内視鏡のバッテリーが長持ちしさえすればトイレのパイプの様子もわかる ??

問題点の一つは約 8時間にも及ぶ画像の解析にそれなりの時間がかかり、1日に検査できる数にも限界があること。
これは解析ソフトのバージョンアップで改善されつつあるようです。

カプセルの分野では世界に遅れをとった日本ですが、
ダブルバルーン内視鏡という小腸用の器具を開発したのは日本人。
こちらも栃木の別の大学の先生が作り上げたものです。
栃木県は小腸の画像診断の分野では先進地です。



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