野口内科 BLOG

  鹿児島市武岡に開業して43年の野口内科です。
  医療・健康に関する情報はもちろん、近隣の話題、音楽・本のことなどを綴ってまいります。

    診療時間 午前  9:00〜13:00
         午後 14:30〜18:30
    休診   日曜・祝日・木曜午後
    電話   099−281−7515
    住所   鹿児島市武岡二丁目28−4
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インフルエンザ予防接種は10月1日から。65歳以上の方、60歳~64歳以上で心臓や肺に疾患のある方を優先します。



 ◆ 診療所ライブラリー 116 ◆


ニセ科学連日のようにテレビや新聞で耳にしたり目にしたりする巧みな宣伝文句。
それによってすっかり体にいいものだと思い込まされている商品が巷に溢れています。
根拠が乏しいのに科学的な御託を並べると、引っかかってくれる人が一定の割合でいるため、昔から怪しい商売が後を絶ちません。
特に健康に関する分野では、無防備に手を出したばかりに逆に健康を損ねてしまった人を私は何人も診てきました。

EM菌・マイナスイオン・アガリクス・水素水‥。
今回紹介する「ニセ科学を見抜くセンス」では、それらの非科学性を科学的に徹底的に検証しており、皆さんがよくご存じの商品にインチキなものがいかに多いのか納得していただける非常に素晴らしい内容になっています。
とても売れているようで、私もようやく手に入れることができましたが、本のタイトルのセンスがいいのも手伝ってのことでしょうね。

私は常日頃から患者さんに「サプリに期待もお金もかけちゃダメ」と口を酸っぱくして言っています。
何の抵抗もなく情報を盲信するのではなく、まず疑ってかかること。
それが自分を守る第一歩です。
この本を読んで更にセンスを磨いて下さい。

  → ニセ科学を見抜くセンス

 ◆ 診療所ライブラリー 115 ◆


漢方今回紹介するのは、日本で独自の発展を遂げた漢方の歴史を中国との交流や古くから伝わる医書などを紹介しながらまとめてある「新版 漢方の歴史」。

医学の発達した現代社会であっても、健康や病については多くの人の関心事です。
事実、世の中に出回っている情報で最も多いのは医学に関わるものだとされています。
古代においても我々と病との戦いは重要な地位を占め、薬草の蒐集や蓄積された知識の書籍化などが国家レベルで行なわれていたことが本書にてわかります。
随所にちりばめられたエピソードも興味深いものが多数掲載されています。
戦国武将を次々と治療した医家の話など、歴史の教科書や小説を読んでもまずお目にかかることはありません。
また、徳川家康が健康マニアで薬草を栽培させ、自ら薬を調合していたなんて初めて知りましたし、よく耳にする「毒をもって毒を制す」という言葉の由来がどこにあるのかも知ることができました。

日本の歴史を医学という面から眺めるのもまた面白いものだな、と思いながらあっという間に読み進めることのできる一冊でした。

  → 新版 漢方の歴史

 ◆ 診療所ライブラリー 114 ◆


検査値健康診断が終わって渡されるたくさんの結果。
意味がよくわからないけれども、すべて基準範囲内なので一安心という場合もあるでしょう。
また、医者にはこの程度なら心配いらないと説明を受けたけど、基準範囲をちょっと超えているのはやはり気になるという場合もあるでしょう。

今回紹介する「健康診断の検査値がとことんわかる事典」は、健康診断や人間ドックなどでよく行われる採血項目や検査を取り上げて、その意味や疾患との繋がり、次にどのような精密検査を受けるべきかなどが非常にコンパクトにまとめてあります。

ただ、正確でない記載もあるのがちょっと残念です。
例えば、便潜血反応検査を解説した部分に「陽性が出た場合は、再度便潜血反応検査を行なって」とあります。
これはとんでもない間違いです。
便潜血反応検査では、一回でも陽性となった場合は、次に大腸がんの有無を調べる検査 ( 主に大腸内視鏡 ) を受けていただくことになります。
もう一度調べてみましょう、と便潜血検査を繰り返す医師が現実に少なからずいるのは悲しいことです。( →便潜血反応検査について )

任意型検診などで、がんがわかります、という触れ込みで行われるものに腫瘍マーカー検査があります。
しかし、この検査には個人的には賛成しかねます。
本来、腫瘍マーカーとは実際に癌がある時に、病状の変化や治療効果をみるためのものなのです。
勧められるがままに調べてみたら、ちょっと高めだったけれども体中をくまなく調べて何もなし、というケースもかなり多いのも事実。
無駄な検査を強いられるだけですので、私は健康診断で腫瘍マーカーを調べるのはお勧めしていません。
ほとんどの場合はオプション扱いですし、選ぶのはご自身の判断になりますけれども。

  → 健康診断の検査値がとことんわかる事典 最新版

 ◆ 診療所ライブラリー 113 ◆


無駄な医療無駄を削って疾患の診断から治療までをシンプルに一直線に完遂できれば、これは言うことはありません。
しかし、次々に新しい検査手段や治療薬が加わってきます。
それらを既存の手段にどう組み込んでいくのかは実臨床の中で試行錯誤され、やがてそれまでの標準的な検査や治療に変化がもたらされます。
その中で、どうしても過剰なものが出てくるのは仕方がないのかも知れません。

今回紹介する「絶対に受けたくない無駄な医療」は、主に米国の「Choosing Wisely」の活動成果を紹介しながら、どのような医療の無駄があるのかをあぶり出したものです。
ただし、日本と違って米国の医療システムは支払いを極力抑えたい医療保険会社が幅を利かす世界。
保険業界が背後についた米国発の費用対効果を重視した研究を、すべて日本の医療にあてはめるのは乱暴な気がします。
医療に絶対の正解はなく、有効性が低い = 無駄、と言い切れない部分もありますし。

私は、既に接してきた情報がコンパクトにまとまっているので、参考書として時々眺めています。
皆さんもあくまで参考程度に。

  → 絶対に受けたくない無駄な医療

 ◆ 診療所ライブラリー 112 ◆


海部町四国八十八ヶ所第23番札所、日和佐薬王寺から次の札所である室戸最御崎寺までは80km以上も離れています。
その間、何もないわけではありません。
美しい海岸線がどこまでも続き、その途中には自殺率の極めて低いことで知られるようになった旧海部町 ( 現海陽町 ) があります。

今回紹介する「生き心地の良い町」は、以前から読んでみたいなと思っていたもので、マスコミにも取り上げられる機会も多かったので既にご存知の方も多いことでしょう。
知的好奇心をくすぐる非常に面白い内容ですね。

詳しくは読んでいただくとしますが、人の多様性を認め人とゆるくつながることが、自殺を予防する大切な要素であることが炙り出されてくるのです。
自殺率の低い町をあえて選んで、危険因子ではなく予防因子は何かを探る素晴らしい着眼点。
それが自殺対策に新しい概念を持ち込んだように思います。

人と違ったものの見方ができる人が、社会に大きな貢献をもたらすことがあります。
私も斜めからものを眺めるように心がけているのですけれども‥。

  → 生き心地の良い町 この自殺率の低さには理由(わけ)がある

 ◆ 診療所ライブラリー 111 ◆


血液型星占いや血液型占いなど、全く信じません。
生年月日も血液型も同じである二人の同級生を比べてみると、性格から医師としての歩みまで共通点は皆無です。

10年以上前のことでしたが、血液型がO型の人にピロリ菌感染が多いという報告が医学雑誌に掲載されました。
O型の私はちょっとショックを受けつつ、くだらないことを調べたものだ、くらいにしか思っていませんでした。
しかし、その後血液型と疾患が深く関与していることを示すデータが次々に出てきています。

その知見をまとめたのが今回紹介する「血液型で分かる病気のリスク」です。
がんや脳梗塞、ノロウイルス‥、さあ、あなたの血液型でどういう病気にかかりやすいか、それはどうしてなのか、楽しみながら読んでみて下さいね。

私も報告を見つけ次第 twitter 上でつぶやいているのですが、お気づきだったでしょうか。
最新の医療情報を発信しておりますので、twitterのフォローもどうぞご遠慮なく。

  → 血液型で分かる病気のリスク

 ◆ 診療所ライブラリー 110 ◆


飯嶋医療や介護・健康に関する本ばかりの外来の書籍スペースに、500ページを超える小説を置くかどうかはこれから検討しますが、皆さんにどうしても読んでいただきたい本なのでこのブログで先に紹介します。

狗賓童子の島」。
吉村昭を彷彿とさせる妥協を許さない綿密な取材による描写に相当の時間を要するのは毎度の事で、飯嶋和一の6年ぶりとなる渾身の作品です。
主題は1867年に起きた隠岐騒動になりますが、それを描き出すために大塩平八郎の乱まで遡るという壮大な構成には恐れ入ります。

物語もさることながら、私が興味を引かれるのは医学に関する細やかな表現です。
前作「出星前夜」でも漢方薬を使う場面が出てきました。
今回はさらに傷寒論にまで言及し、幕末に隠岐諸島でも流行ったコレラや麻疹の治療にあたる様子が描かれています。
また、種痘についてもその接種法の子細に至るまで調べ上げています。
小説としての面白さも逸品ですが、医学の歴史資料としても十分に役立つ側面も持ち合わせています。
とても勉強になりました。

どの作品をとってもハズレなし。
飯嶋ワールドにこの小説で触れてみてはいかがでしょうか。


こちらも参考に → 「飯嶋和一を読む

  → 狗賓(ぐひん)童子の島

 ◆ 診療所ライブラリー 109 ◆


世界一優しい
「発達障害」「ひきこもり」「対人恐怖」「摂食障害」・・・という順で書かれていたり、噛み砕いたとてもやさしい文章で読みやすく工夫されたりしているのは、元々が中学生向けの本として出されたからでしょう。
それでいて内容はしっかりしていますので、成人の方にもお勧めできる一冊「世界一やさしい精神科の本」。

この分野がカバーする疾患は原因がはっきりせず、治療法も確立されたものはないのだけれど、そんな未開拓な分野だからこそ面白いのだ、という意味のことが前書きに記されています。
同じ疾患でも国によって特徴があったり、時代と共に流行り廃りがあったりするのも精神科領域の疾患の特徴です。
拒食症を例にとると、以前は成熟拒否型が多かったけれど、最近はダイエット型が増えて命に関わるレベルの患者をあまりみなくなったという話。
女性の社会的地位の変化などに目を向けた明快な分析には感心し切りです。

家族や周囲の環境などだけでなく
文化的な側面も考え、人の多様性を重んじながら精神疾患患者を治す糸口を探っていく仕事も本当に面白い。
そう思わせるなかなかの名著です。

  → 世界一やさしい精神科の本

 ◆ 診療所ライブラリー 108 ◆


転倒予防50歳代になると急速に筋力が衰えるとされます。
アラフィフの私も、最近診察室にずっと座っているとお尻が痛くなるので、椅子のクッションが劣化したのかと思っていました。
しかし、劣化していたのは自分の臀部の筋肉とわかり、ちょっとショックでした。

高齢者と接することが多い職業柄、転倒が契機となって骨折する人を数多くみてきています。
転倒する原因の一番はやはり筋力の低下です。
骨折すると日常生活を大きく損ねますし、大腿骨頚部骨折を起こすと1年以内の死亡率が1割を超えるという報告もあります。

この「転倒予防 - 転ばぬ先の杖と知恵」では、骨折の原因となる転倒を予防するための基本的な解説がなされています。
杖の選び方や正しい持ち方などを詳しく書いてあるのは他の本に見られない特徴の一つでしょう。
また、日頃の暮しの中で片足立ちがしっかりできることが大切であることや、どういう場面で転倒しやすいかといった点はおおいに参考になることでしょう。
具体的な運動プログラムなどについてもう少し触れていれば文句なしの内容なのですが、その点については最後に実践本の紹介がなされているので良しとしましょう。

現代において、運動不足のために子供の頃から転倒しやすいことについても触れています。
最近、若い女性が体形を気にして満足な食事を摂っていない実態がニュースになっていました。
そういう世代が高齢者になった時に、骨折だらけになってしまうのではないかと危惧されます。
若い世代の方々にも一度目を通して欲しいな、と思う本です。

  → 転倒予防――転ばぬ先の杖と知恵

 ◆ 診療所ライブラリー 107 ◆


震災医療震災医療 現場からの報告と提言」。
私の大先輩が病院長として直面した災害医療現場の記録を、阪神淡路大震災から20年を迎えるにあたって本にまとめました。
様々な場面でトップとして次々に決断を下しながら、未曾有の事態を乗り越えていく様子が伝わります。

神戸の御影の山手にあるレトロな佇まいで普段はのんびりした印象の病院が、震災時には最も多くの患者を受け入れ、ヘリコプターによる患者の搬送数も突出して多かったことはこの本を読むまで全く知りませんでした。
今でこそ当たり前の仕組みとなったドクターヘリですが、阪神淡路大震災が教訓となって誕生したこと、皆さんご存知でしたか ?
ヘリコプターで震災地域外に多くの患者を運ぼうというのは、この病院の発想だったのです。

災害マニュアルについても言及しています。
マニュアルは大まかなものでよく、細部については指揮官がその時の災害の状況などを把握してもてる力をフル稼働する方法を考えることが大事だと説いています。
このことは私が先月ブログに書いた考えと軌を一にするものですね。( → 阪神淡路大震災から明日で20年 )

また、お風呂の重要性も。
何日も働き詰めのスタッフが入浴できたことで再度活気が出てきたことに触れています。
風呂に長時間は入れないのは本当に苦痛なことで、テレビやラジオが伝える銭湯の営業状況などは、被災者に有難がられたものでした。

最後にまとめられた災害医療への提言は、最も過酷な現場を経験したからこその重みがあります。

  → 震災医療 現場からの報告と提言

 ◆ 診療所ライブラリー 106 ◆


今日のうんこ私と同じ消化器内視鏡医でありタレントとしても活躍する女性医師が、便についてあらゆる方面からスポットを当てて掘り下げて解説する本。
その名も「今日のうんこ」。
かわいらしいイラストと堅苦しくない文章で楽しく読み進めていくことができます。
「歩きおならを止める方法」とか「おならをしらばっくれる方法」とかちょっと知りたくありませんか ?

ただ、いくつか指摘しておきたい点もあります。
まず、下剤についてはごく簡単に触れているだけなのですが、下剤は依存度が高いと断じている点です。
これはセンナなどアントラキノン系についてのもので、酸化マグネシウムやルビプロストンでは長期使用でもそのようなことは起こりません。
知識をしっかり持った医師のもとで治療を受けていただければ、依存性を生じさせずに満足のいく便通が得られるはずです。

また、宿便についても触れているのですが・・。
宿便は医学用語ではなく、はっきりとした定義はないのに「宿便はだれにでもあるもの、ただ大半は水なので、便というより黄色っぽい膜が張っている感じです」と解説しています。
一体何を指しているのやら、さっぱりわかりません。
以前、このブログで10回にわたるシリーズを立ち上げて、宿便とは何かを様々な視点から考察しましたが ( → 宿便について考える ) 、私は腸管内容物を指しているとは考えていません。
この「宿便について考える」は是非ご一読下さい。

腸内細菌叢についても簡単に解説がなされています。
この分野は最近非常に注目を集めており、研究が盛んになってきています。
消化器疾患だけではなく、肥満や動脈硬化、うつ病など様々な疾患に腸内細菌が関与していると次第に明らかになってきています。
いい腸内細菌のバランスを保つことが、健康を維持するのにとても大切なのです。
ただ、どのようにすれば健康的な腸内細菌を獲得できるのか、それはまだ未解明です。

便の状態を確認することは腸の中の様子を知ること、ひいては健康状態を知ることになります。
この本を一度手にして、便についての知識を蓄えておくことは大切だと思います。

  → 今日のうんこ

 ◆ 診療所ライブラリー 105 ◆


がんと患者の週刊誌で連載のコラムから抜粋し、物語仕立てでがんや放射能について分かりやすく解説した一冊です。
実際のがんの検診や治療に当たっての様々な問題点に言及しており、専門的な本とは違った知識が身につくものと思います。

私が興味を引いたのは、第5話の韓国で急増している甲状腺がんについての話。
2007年に甲状腺がんと診断された女性が2000年の7倍に跳ね上がったというのです。
甲状腺がんが増えたのではなく、がん検診がブームとなり早期に発見される人が増えただけという実情が語られています。
がんと名前がつくと心配してしまうのは当然でしょうが、甲状腺がんは危険度の低いものがほとんどなのです。
日本のがん検診の受診率はあまりにお粗末な低さなのですが、隣国のように検診ビジネスが進み過ぎるのもいかがなものかと思わせる内容です。

それぞれの話の終わりに有名人のがんとその治療について触れています。
放射線治療が専門の著者なので、放射線治療で臓器の機能が温存されることを強調しているものが多く、その中に菅原文太の膀胱がんについての記述もあります。
膀胱摘出を嫌い、著者の勧めで陽子線治療をしましたが、ご存知のように先日、肝転移が元で亡くなられました。
標準的な外科治療を受けるべきだったか、陽子線治療を受けて約7年をストーマを使わずに過ごせたことを良しとするか、その選択一つをとっても病気の治療は本当に難しいものなのです。

  → 専門書が伝えないがんと患者の物語

 ◆ 診療所ライブラリー 104 ◆


病人の生き方病と無縁でいると、時間の経過も気にせずに退屈に思える日々を過ごしてることが多いように思います。
しかし、いざ重い病気が自分の身に降りかかると、生きることについて様々な思いを馳せることになります。
医師は病気の治療に注力しますが、心のケアまでは十分に配慮できないのが現状です。
今回紹介するのは、長期闘病を余儀なくされた著者の実体験に基づき、病気と闘う人に勇気を持ってもらおうと自らの言葉で語りかける本です。

内容で特徴的なのは、
① 病気になったばかりの不安と焦りの時期、② 闘病が長引いて自分の弱さとの葛藤をする時期、③ 病院生活に慣れるが絶望も見え隠れする時期、④ 厳しい告知を受けても自分らしく生きていく時期
と、時期を大きく4つに分けての展開にあります。
それぞれにおいて、著者自身がどうであったかをベースにした療養生活を送る上での具体的なヒントがちりばめられています。
勇気づけになる言葉の数々に前向きな気持ちが湧いてくるのではないでしょうか。

病気を抱えた方だけでなく、そのご家族や病院に縁のない人も是非読んでいただきたい本です。


 → 誰も教えてくれない病人の生き方

 ◆ 診療所ライブラリー 103 ◆


介護はつらいよ7年半にわたり一人で両親を介護する日々を綴ったエッセイ。
元々編集の仕事に携り、ゴーストライターもやっていたというだけあって文章が実に巧み。
辛くきつい生活を書き留めているのにもかかわらず軽妙な言葉遣いでさらりと読ませてくれるところが見事です。
実際に両親の面倒をみる体験談からは、日本の介護の現状が見えてきますし実用的な情報も含まれています。

一昔前は人生50年と言われ、男が職を辞してから亡くなるまでの期間はそれほど長くはありませんでしたし、その老後を支える子供たちも多くいました。
現在は、寿命が伸びたため、自分自身が仕事をリタイアしてもなお、親の介護が待ち受けています。
そして核家族化も進んでいるため、その期間と負担は以前とは比べ物にならないほど長く大きなものになってきています。
この本が出版された時に著者の父親は100歳を越えてご存命で、それを70代になってなお面倒をみているのです。
こういう社会が訪れることを誰が想像していたでしょうか。

今後の日本の社会構造の中で介護のウエイトはますます大きくなっていきます。
この実録を参考にして、介護する側もされる側も心構えをしっかり持って「つらくない」介護が実現できればいいのですが、今の介護制度の仕組みではなかなか厳しいでしょうね。


 → 介護はつらいよ

 ◆ 診療所ライブラリー 102 ◆


病気になるサプリ当院では初診時の問診票で健康食品やサプリメントの接種の有無について聞いています。
薬の飲み合わせに少なからず影響を与えるものがあることや、サプリメントそのもので健康を害しているケースをこれまでに何例か診たことがあるからです。
私は、数多く存在する商品に対応するため、外来に「サプリメント事典」を常備したり、インターネット等で常に新しい知識を仕入れるようにしています。
それでも先日は耳鳴りに対する蜂っ子とか知りませんでしたし、オルニチンとカルニチンを混同するなどまだまだ努力が足りません。

多くの人が健康食品やサプリメントを使ってみようと思うきっかけになるのが広告やTVCMだと思いますが、その手法の巧妙さや、製造過程の安全性、成分の有効性など様々な角度から科学的に検証したのが今回紹介する「病気になるサプリ」。
皆さんがよく見聞きする根拠の乏しい情報は一切排除し、科学的・医学的に正しい知見を積み重ねていき、サプリがいかに危険なものであるかを見事に描き出しています。
私も日々接している知識の再整理に役立ちましたし、健康食品やサプリメントには期待もお金もかけるだけ損であることを皆さんに強調できる自信が改めて強固なものになりました。

多くの医師は多忙なせいかサプリについて決して明るいとは言えませんし、どこまで理解しているのか知りませんが自ら摂取している人も少なからずいます。
診療上、全く無視して通ることの出来ないこの分野についても医師はもっと勉強して欲しいなと思います。
一般の方を含めて、商品に手を出す前に是非目を通していただきたい一冊です。

当院の書籍の貸出しについてはこちらをご参照下さい。

 → 病気になるサプリ 危険な健康食品


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