野口内科 BLOG

  野口内科は鹿児島市武岡に開業して46年を迎えました。
  当ブログでは、当院からのお知らせ、医療・健康に関する情報の他に、近隣の話題、音楽・本のこと等を綴ってまいります。

    診療時間 午前  9:00〜13:00
         午後 14:30〜18:00 (金曜は〜18:30)
    休診   日曜・祝日・木曜午後
    電話   099−281−7515
    住所   鹿児島市武岡二丁目28−4
    院長   野口 仁

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東日本大震災

3月11日は東日本大震災から8年目となり、テレビや新聞などでは様々な特集が組まれました。
私が阪神淡路大震災を経験していることは、既にこのブログでも繰返し取り上げています。
阪神淡路大震災では火災が、東日本大震災では津波が、被害に更なる拍車をかけましたけど、同じ地震が原因になっていても個々で異なる問題が生じます。


map鹿児島では桜島の大噴火の可能性があります。
3月9日には鹿児島救急医学会等が中心となった座談会が行なわれ、大規模な噴火の際の入院患者の安全確保についての議論が行なわれたようです。

噴火時の直下型地震や津波なども想定されていますが、一番の問題はやはり火山灰でしょう。
火山灰はその時の風向きによっても堆積量が異なって来るものの、一番の人口密集地である鹿児島市は灰に埋もれてしまうのは必至。
大正噴火クラスの規模の爆発があり風向きが鹿児島市内方面だと、当診療所のある武岡地区では約1mも火山灰が降り積もる予測がなされています。
鹿児島の方ならよくご存じでしょうが、火山灰が水分を含むとセメントのように固まってしまいます。
50cm積もったまま水を含むと家屋が倒壊してしまう可能性もあるようですね。

通常の災害などでは比較的早期から行われるであろう救助活動や支援物資の供給が、降灰に阻まれてかなり遅延してしまうことは間違いありません。
3日は備えておくべきと言われている食糧や燃料も十分とは言えないでしょう。
4月になれば熊本地震の話が盛んになってくると思いますが、こういう機会を捉えてでもいいので、大噴火を見越した備えを真剣に考えてみて下さい。

地震6月18日の午前7時58分、大阪府北部を震源とする最大震度6弱の地震がありました。
このところ日本各地で地震が多いですよね。
5月25日は長野県北部で震度5強、6月17日には群馬県で震度5弱、また今月上旬から房総半島沖を震源とする地震も相次いでいます。
私の住む鹿児島でも、6月12日4時54分に宮崎県沖を震源とする最大震度4 ( 鹿児島市は震度3 ) の地震があり、揺れで目覚めたかどうかがその日の話題の中心になったばかりでした。

私は神戸で阪神淡路大震災を経験していることもあって、当ブログでは地震に関係するコラムもいくつか書いていますが、今回は地震の発生時刻について考えてみたいと思います。

今回の大阪の地震は、ちょうど朝の通勤・通学の時間帯を襲った格好になります。
登校中の小学生が倒れてきた学校のブロック塀の下敷きになるなどして4人の方が犠牲になりました。
また、止まった列車から降りて線路を歩いて駅まで歩く人々の様子や、バスやタクシー乗り場の長い行列などの映像が繰返しニュースで放映されていました。

阪神淡路大震災以降の主だった地震の発生時刻を見てみましょう。
地震の発生時間
阪神淡路大震災や熊本地震は、多くの方が自宅にいる夜間に起きており、建物の崩壊による圧死の方が多かったのが特徴の一つです。
福岡県西方沖地震は、昼前かつ日曜日で、今回の大阪の地震と同様に倒れた壁による犠牲者が出ています。
東日本大震災は、午後のちょうど幼稚園児の降園の時間帯にあたるかと思います。
新潟県中越地震は、帰宅の時間帯に相当します。

地震は、震源がプレートなのか活断層なのか、都市部か山間部か、など様々な要因で我々の生活への影響もだいぶ違います。
そして、季節や発生時刻によってもかなり様相を異にします。
今回の大阪北部を震源とする地震は、多くの人が移動する時間帯であったため、既に述べたような事態が発生したことは説明するまでもありません。
皆が目的に向かって動いており、家族や知り合いの行動もバラバラ。
安否確認も一苦労です。

皆さんにお伝えしたいのは、こういう災害時に他人事と考えずに自分に当てはめて捉えていただきたいということです。
今回は、週明けの通勤時間帯でどのような事態が発生したか、自分だったらどうなるのか、そしてどうするのか。
そして、家族とはどうやって連絡を取り合うのか。
報道などからしっかり学習して、防災対策として自分のものとして欲しいのです。
なぜそのようなことを言うかというと、これだけ多くの震災が起きているのに、非常食や防災グッズの準備などの対策を全くとっていない人があまりにも多いからです。
起きてからでは遅いのです。
災害の度に知見は蓄積されてきていますので、危機感を持たず無策でいることだけは避けて下さい。

これまでも、当ブログで繰り返し述べていますので、以下のコラムも参考にしてください。

●  阪神淡路大震災から15年
●  阪神淡路大震災から明日で20年
●  明日、阪神淡路大震災から21年


2013年4月13日に淡路島地震が起きた地震は、阪神淡路大震災の原因となった六甲・淡路島断層帯の南端の余震域で起きたもので、その関連性が議論されたこともありました。
今回の大阪北部を震源とする地震との関連はどうなのでしょうね。

 ◆ 診療所ライブラリー 129 ◆


どうして今年もいろいろな災害がありました。
熊本地震があり、東北や北海道は台風で大きな被害に見舞われ、糸魚川では大火が・・。
誰もが好き好んで被災者になりたいわけではありません。
猛威に大切なものを奪われる辛い体験は一瞬に留まらず、様々な課題の克服にはかなりの時間を要します。

東日本大震災からは5年が経ちますが、まだまだ解決しなければならないことが山ほどあります。
ドクター小鷹、どうして南相馬に行ったんですか ?」は、大学を辞めて被災地の病院に飛び込んだ神経内科医と精神科医が往復書簡の形式でのやり取りを書籍化したもの。
二人のやり取りからは様々な問題点が浮き彫りになってきます。
悩みつつも類い稀なる行動力で難問を少しずつ解決していく神経内科医の姿には感銘を受けます。
被災地支援に大切なのは他人との協調であり、変化していく状況やニーズに対応するためにも人間関係の構築が大事だと繰返し述べています。

阪神淡路大震災では、復興住宅の割り振りにおいて地域のコミュニティを無視して低所得者や高齢者を優先して入居させました。
その結果、人間関係が希薄でお互いを支え合うことができない状況を生みました。
外見上、震災の傷跡が見えないように街がきれいに整備されても、心の傷を癒すわけではありません。
人と人の接点の数をできるだけ多く持つことの大切さを改めて考えさせられる、そんな一冊でした。


≪ 過去記事ウォッチング 13 ≫


ムスカリ明日、1月17日で阪神淡路大震災から19年となります。
早いものです。
知らない世代も増えてきているので、語り継いでいくことも大切かな、と思う今日この頃です。

さて、このところ「ジェネリック医薬品を考える」や「風邪薬についての考察」などのシリーズの記事へのアクセスが多い中、東日本大震災が起きて間もない頃に書いた記事にアクセスが増えてきています。
理由はよくわかりません。
それは、「ムスカリの花言葉に込めて」。
月に2回書いている「薬の説明書のイラスト」シリーズの一つなのですが、ムスカリの花言葉をつなぎ合わせて被災者への応援メッセージを作ったものです。
その中で「時間はかかりますが、希望の光は少しずつ皆さんを照らし始めます」なんて書いたのですが、遅々として進まない復興。
日本の行政はどうしてスピード感に欠けるのでしょうか。

 ● 薬の説明書のイラスト 133 ● 


今回の薬の説明書のイラストに選んだのはビスケット。
2月28日はビスケットの日なんだそうで、これは江戸時代の蘭学者で医師でもあった柴田方庵が保存食としてビスケットの製法をオランダ人から学んだことにちなんでいるようです。

そういえば、皆さんご存知のビスコの保存缶の売れ行きが好調だとか。
これは東日本大震災と無関係ではないでしょう。
私は阪神淡路大震災を経験しましたが、時間が経つと防災に対する意識が薄れてきます。
何が起こっても大丈夫なように最低限の備えは心がけておきましょうね。


 ビスケット

2011082014452429454.gif東日本大震災の被災地で医師免許がないのに医療活動をしていた男が捕まったというニュースがありました。
何を意図してそういう活動をしていたのかはよく分かりません。
医師の資格がないとできない行為もあるのですが、入れ墨を彫るのにも医師免許が必要、というのは厚生労働省の見解。
彫ってやるよ、という医者に出会ったことはないのですが。

不思議なもので、新幹線や飛行機の中、あるいは飲み屋などでたまたま居合わせた人を見て、あれこの人医者じゃないだろうかと、妙な勘が働くことがあります。
耳を澄ませていると専門用語などが漏れ聞こえてきて、ああやっぱり・・・。

昔、夜間当直の時に看護師を名乗る高齢女性が来たことがあります。
ある目的があってスタッフを信用させようとしていたようですが、私はウソであることを見抜きました。

報道で見る限り、捕まった人物には医療関係者の放つ独特な雰囲気が微塵も感じられませんでした。
近くにいた同業者にはすぐにわかったのではないでしょうか。
彼の行為による健康被害がないことを祈ります。

2011080814013831528.gif【診察室のBGM 64】


先日、高校の同窓会に参加しました。
1学年上の先輩方が幹事学年で、来年は我々の手で同窓会を運営しなくてはなりません。
土曜の18時半まで診療があるので今まで行ったことがなかったのですが、どういうことをやっているのかを見ておく必要がありました。

行ってラッキーだったのは、先輩である辛島美登里さんの歌を聴くことができたこと。
彼女が最後に唄ったのが、「手をつなごう ~ひとりぼっちじゃない~」
このCDの売り上げはすべて東日本大震災の義援金として贈られるそうで、同窓会の会場でも売られていました。
元々斉藤由貴に提供された曲のようですが、歌詞の内容は未曾有の災害に打ちひしがれている人たち、そして日本全体を元気づけるのにびったりの内容です。
歌に合わせて会場のみんなが手をつなぐパフォーマンスもあったのですが、同じ高校の出身者同士というだけではない特別な一体感に包まれました。

診察室のBGMにさっそく加えさせてもらいました。

qcxn8zp3.gifまもなくゴールデンウィークが始まりますが、今年は大震災の影響で行楽の足が鈍るとの予想が出ています。
私の経験した阪神大震災の時もそうでしたが、遠慮して来られる方が少なくなるのもまたダメージとなりますので、被害のそれほど大きくなかったエリアには積極的に足を運んでみてはいかがでしょうか。

連休の中日、5月4日、当院は鹿児島市の内科の休日当番の担当となっております。

午前 9時から午後 6時まで
が診療の担当時間です。

遠方からお越しの方は、下の地図で場所をご確認のうえご来院して下さい。
(「当院周辺 MAP」をクリックしていただきますと地図が表示されます。)


                   ◇◇ 当院周辺 MAP ◇◇


2011040617270817109.gif東日本大震災で医薬品にも影響が出ていることを既に2回お知らせしました。

書き漏れたのですが、湿布の一部が工場被災で出荷できなくなっています。
小さなサイズのものは問題ないのですが、大きなサイズのものが作れない状況のようです。
大判サイズは一定のニーズがあるため、他のメーカーのものも品薄状態になっています。
当院でも一度に多くの数を処方するのを控えておりますのでご了承ください。

さて、影響の出た医薬品もある程度供給体制の整備がなされつつあります。
最も心配されたチラーヂンSも今月中には生産一部再開と輸入品とで賄えそうな気配。
他の医薬品も5月、6月には・・・というアナウンスが聞こえてきております。

 ● 薬の説明書のイラスト 112 ●


その昔、全日空のシンボルマークにダ・ビンチのヘリが使われていましたが、ダ・ビンチの誕生日である4月15日をヘリコプターの日に定めたそうで、今回のイラストはヘリコプター

全国各地でドクターヘリなるものが整備されつつあります。
離島の多い鹿児島ではニーズが多いと思うのですが、ようやく本年度からの運用が予定されています。

また、今回の東日本大震災でもヘリコプターは大活躍です。
ただプロペラの騒音はどうしようもなくうるさいものです。
信じがたい光景や余震におびえている時にあの音が響くと、心を落ち着けることがさらに難しくなります。
阪神大震災を経験した私からもお願いですが、ヘリからの過分な報道は控えてほしいものです。



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2011033019011318489.gif〖 医療情報 Pick Up おさらい 39 〗


今月は久しぶりに「医療情報Pick Up」は 3つの話題を提供いたしました。

・農家で育つ子に/喘息・アトピーが/少ない/ドイツの研究で ( N Engl J Med. 2011 Feb 24;364(8):769-70.)

・中等度の有酸素運動/週150分以上で/がんや糖尿病/心血管疾患の/リスク低下 ( WHO 発表 )

・中等度以上の/運動負荷の継続で/過敏性腸症候群の/症状緩和 ( Am J Gastroenterol. 2011 Jan 4 doi:10.1038/ajg.2010.480 ) 

   ―――――――――――――――――――――――――――――――――――


上の情報を合わせて考えてみると、田舎で元気よく遊び回っていると、あまり病気にかからないということになるでしょうか。
以前から運動によって大腸癌のリスクが低下することが知られており、以前にも当ブログで解説しています。( → こちら )
過敏性腸症候群も体を動かすことで症状が落ち着くのであればこんなにいいことはありません。
ちょうど震災の影響でこの疾患に効く漢方薬も品不足が懸念されていることですし。



         □ 関連記事  医療情報Pick Up  38

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先日、震災による甲状腺機能低下症に対して用いる薬「チラーヂンS」の供給停止の話をしましたが、工場の再開のめどが立ち、輸入品と相まって 4月中旬からは問題は解決しそうです。

それ以外にもいくつか影響があります。
当院では漢方薬の一部、インスリン自己注射用の針、経腸栄養剤などにしばらく影響が出そうです。

内視鏡関係では前回お伝えしたオリンパスの修理サービス以外に一部の内視鏡洗浄剤の製造・出荷停止が生じています。
当院はフジノン製の内視鏡の上、電解酸性水を用いた内視鏡消毒を行っているため全く支障をきたしていませんので、安心して検査を受けていただきたいと思います。

2011031816445923421.gif今回発生した大震災の影響が一般医療にも影響を与え始めています。
甲状腺機能低下症に対して用いるチラーヂンSという薬が工場の被害で供給がストップしてしまいました。
甲状腺疾患はおよそ30人に 1人存在し、その中で機能低下症は半数を占めると言われているほど患者さんの多い疾患ですが、実際に服用されている方は60万人ほどとのこと。
本当はTSH ( 甲状腺刺激ホルモン ) 値をみながら投与量を調節する必要があるのですが、この緊急事態のもと供給が再開されるまで減量せざるをを得ないかと思われます。
この方法でも重篤な機能低下症状は防げるとされていますのでご理解の程よろしくお願いします。
なお、「チラージンS」ではなく「チラーヂンS」が正しい商品名です。

また、当院は直接関係ありませんが、内視鏡トップシェアのオリンパスの工場が被災し修理などが出来ない状況のようです。
消化液や消毒液に晒されるなど過酷な環境下で働く精密機械、結構修理する頻度が高いだけに今後各地の内視鏡検査に影響が出てくる可能性があります。

 ● 薬の説明書のイラスト 111 ●


今回の大震災で被災された方々は「失意」と「失望」の底にあると思います。
でも「通じ合う心」と「寛大なる愛」で必ず「明るい未来」は開けます。

阪神大震災を経験した私からのメッセージですが、これらはすべてムスカリの花言葉です。
今回の薬の説明書にはそんな意味を込めてムスカリを選びました。

今が一番の踏ん張りどころです。
時間はかかりますが、希望の光は少しずつ皆さんを照らし始めます。



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20110312001252986.png11日に発生した「東北・太平洋沿岸地震」で日本は大混乱しています。
鹿児島は揺れることはありませんでしたが、津波警報が出て沿岸で1m規模の津波が観測されています。

被災地の医療関係者の皆さんも大変なことだろうと思います。
阪神大震災を経験したものとして・・・

最初の2-3日は外科系の医師の出番。
しかし時間が経過すると内科系の出番が来ます。
家からてんかんの薬やインスリン等を持ち出せないまま着の身着のままに避難した方への対処や、クラッシュ症候群による緊急の人工透析などをしなければならない状況も出てきます。
3月とはいえ雪の舞う寒い地域もあるようですから、避難所で体調を崩し肺炎などを起こす高齢者なども出てくることでしょう。
阪神大震災の時もそうでしたが、被災の全体像を把握するのには相当な時間がかかります。
当座は日常生活を営むこともままなりません。
しばらく続くであろう余震には気持ちが萎えてしまうことがあります。
自身も被災者でありながら不眠不休で医療にあたるのも大変なことですが、支援の手も間もなく駆けつけることでしょう。
皆様のご活躍をお祈りいたします。
必ず復興する日が来ます。

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