先月のことですが次のような研究結果がニュースになっていました。

カレー粉に含まれるスパイスがPM2.5による炎症を抑える可能性

カレーカレーをよく食べる高齢者は呼吸機能が保たれるという報告に着目して行われた実験です。
ヒトの気道上皮細胞をディーゼル排気微粒子を混ぜた溶液に浸した後、カレーに使われる様々なスパイスを添加して培養し、炎症の際に増えるインターロイキン-6や細胞外活性酸素種の変化をみたというものです。
その結果、カレー粉、クローブやウコンの抽出物、コリアンダー、桂皮に炎症反応を抑える効果が確認できたとか。

そういう報告を聞くと、カレーを買いに走る人もいらっしゃるかも知れませんが、注意が必要です。
例えば、今回の研究は培養した気道上皮細胞にスパイスを直接添加しているのですが、実際にカレーとして食べた場合にスパイスの成分がどれだけ気道に到達するのか。
また、炎症の主体は気道上皮細胞ではなく、肺胞マクロファージという細胞ではないのか。
論文になっていないので詳細がわからないのですが、報道されている断片からもいろいろ突っ込みたくなる部分がありますし、何よりプレスリリースしたのがハウス食品なのは留意したい点。
カレーを売ってる食品メーカーだからダメ、ということはありませんが、研究デザインや結果などをつぶさに検討した上で、カレーを積極的に摂るべきかどうかを判断したいものです。


ココアついでに、バレンタインデーも近いので、ココアに関する情報も見てみましょう。
ココアを飲用するとナチュラルキラー細胞の活性が上がる、という報告がありますので森永製菓のホームページ ( HP ) を参照してみて下さい。( → こちら )
それを基に、チョコレート・ココア業界でインフルエンザの予防になるという宣伝がなされていたりします。
しかし、これもどうでしょうか。
的確に問題点を捉えている厚生労働省のコラムがありますので、そちらを読んでみてください。( → こちら )
紹介した森永製菓のHP、実はココアを飲むとインフルエンザの予防になるとは一言も書いてありません。
でも、多くの方は勘違いしてしまう巧みな内容になっています。

ただ、私は風邪で漢方薬を処方する時に、ココアに混ぜて飲むといいですよ、とお勧めすることがあります。
漢方薬の独特の味がマスクされて飲みやすくなるのです。( → 小児への漢方の飲ませ方に一工夫 )
もしかしたら、相乗効果があるかも知れないとちょっぴり期待をしている部分もあります。