野口内科 BLOG

  鹿児島市武岡に開業して43年の野口内科です。
  医療・健康に関する情報はもちろん、近隣の話題、音楽・本のことなどを綴ってまいります。

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潰瘍性大腸炎

潰瘍性大腸炎免疫の異常により腸の炎症を起こす炎症性腸疾患には、潰瘍性大腸炎クローン病という疾患があります。
日本では、潰瘍性大腸炎は16万人、クローン病は7万人いるとされており、消化器内科医をやっていると常に何人かの方を担当しています。


私が医療に携わるようになって、いろんな消化器疾患の病因が解明され、治療に結びついているものがいくつもあります。
ピロリ菌発見による胃・十二指腸潰瘍、C型肝炎治療の進歩による肝硬変・肝がんなどは、患者数が劇的に減り、滅多にお目にかからなくなりました。

一方、炎症性腸疾患に関しては、あまり進歩がみられません。
血球成分吸着除去法や免疫抑制剤、生物学的製剤、便移植などが応用されるようにはなってきましたが、決め手を欠いています。


そんな中、非常に注目すべき研究結果が発表されました。
潰瘍性大腸炎の患者さんの9割に認められる自己抗体が発見されたのです。( → プレスリリース )
これは、インテグリンαVβ6という接着因子に対する抗体で、同じ炎症性腸疾患のクローン病患者さんには認められないようですし、病変の活動性に対応して抗体量も変化するようです。
潰瘍性大腸炎で見られる大腸粘膜上皮障害の説明もできるので、疾患の最大の原因と考えて良さそうですね。
今後は、潰瘍性大腸炎の確定診断や治療薬の開発やその評価などに活用していけるのではないかと思います。

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柿さて、これ以外にもここ1年で面白い報告がありましたのでご参考に。
いずれも日本の大学の研究報告です。

● 亜鉛欠乏で炎症性腸疾患が増悪。( → プレスリリース )
特にクローン病患者さんで血中亜鉛濃度が低下するようですが、亜鉛欠乏で免疫細胞の機能が変化するようです。

● ブルーベリーに含まれるプテロスチルベンの経口投与で炎症性腸疾患モデルマウスの炎症抑制。( → プレスリリース )
プテロスチルベンが免疫細胞の過剰な活動を効果的に抑えるようです。

● 柿渋の経口投与で潰瘍性大腸炎モデルマウスの病態改善。 ( → プレスリリース )
柿タンニンが大腸の環境で発酵され、潰瘍性大腸炎で増加する腸内の悪玉菌と炎症を抑制するようです。

 ◆ 診療所ライブラリー 178 ◆


食べることと出すこと潰瘍性大腸炎の闘病記。
ですが、今回紹介する本を書いた方は文筆家だけあって、小説・ドラマ・落語・漫画等、いろんな場面を引用しながら、食事と排泄に焦点を当てて深く洞察した中身の濃い文章を提供してくれています。
病気を患ったからこそ書ける苦しみや感覚、見えてくる光景。
患者ばかりを診ている私とは別の視点で捉えた人間社会の有り様に、どんどん引き込まれていきます。

個人的には「食コミュニケーション - 共食圧力」という章にいたく共感しました。
差し出されたものを食べると、そこに人と人のつながりができ、打ち解けていく。
逆に食べないでいたら、それは相手を拒絶すること。
そういう内容で話が展開していきます。

食事を挟んで会話を楽しむのは、私にとってはとても苦手なことです。
なぜなら、食べる口と話す口は同じじゃないですか。
両方を同時に使い分けるほど、私は器用ではありません。
おいしいものを食べている時は、悪いけど話しかけて欲しくないのです。
こういう変な人も病気で食べられない人も蚊帳の外に置かず、なぜ黙々と食べているのか、食べられないのか興味を持ってもらいたいものです。

コロナ禍で日常が掻き乱され、これまでの常識が通用しない場面も増えています。
この経験は、病気をした時と同じように社会の見え方を変えるものになると思います。
この本を読んで、当たり前のことが当たり前でなくなった時、持つべき大事な視点を磨いてみませんか。

〖 今月のつぶやきから 97 〗


ダンゴムシ常に集めている医療情報の中で、一般の方の健康に役立ったり興味を持っていただけそうなものをツイッターにてお届けしています。
その中から更に興味深いものを、月末にピックアップしてブログにまとめている「今月のつぶやきから」。

今月は、以下の9題をお届けします。

最初は、高校生の科学研究に関する話題を3つ。
着眼点も研究内容もお見事です。

① 小学校一年生の時からダンゴムシ一筋で、飼育ケースにカビが発生したことがないことが今回の発表に繋がったようです。

② 鹿児島の特産品である黒酢に歯のホワイトニング効果があるという発見で、洗口剤の開発までこぎつけるといいですね。

③ 自宅の庭でわずかばかり育てていたコメをカメムシにやられたことがありますが、ミントが活用できるのならリスクがないでしょうね。


お次は、意外なものが認知症に効きそうだという報告を2つ。

④ アミノグリコシド系の抗菌薬は腎機能悪化の懸念があってほとんど使われませんが、新たな活用法に繋がるかも知れませんね。

⑤ コンニャクはカロリーゼロだし、食べる価値があるのか疑問に思っていましたが、研究の余地はありますね。


次は、日々の健康管理に役立ちそうなグッズについて2つ。

⑥ 心拍数が測れるスポーツウォッチは既にありますけど、更に病気の早期発見に結びつきそうな時計が出てくるようですね。

⑦ 朝夕の運転で悩まされるまぶしい日光を上手に遮ってくれそうです。


最後にミネラルに関する2つの話題です。

⑧ マグネシウムは納豆を含む豆類や豆腐、海藻などに多く含まれます。

⑨ 亜鉛不足は味覚障害や皮膚障害を起こすことが知られていましたが、炎症性腸疾患の病状にも絡んでいるようですね。

桜島大根〖 今月のつぶやきから 85 〗


2019年に入ってインフルエンザに罹患する方が増え、外来は大忙しです。
そのため医療情報を拾い集める時間が十分にとれず、今月のツイートはかなり少なめでした。

いつもテーマを決めて月末に twitter でのつぶやきをピックアップするのですが、今回はテーマを定めず個人的に興味深かった情報を10個まとめてみました。

① 予後の決して良くない肝内胆管癌。
一方、糖尿病の治療にあたってインクレチン関連薬は重要な薬なので、因果関係が知りたいところです。

② 地元の特産品の一つ、桜島大根に血管を緩める働きがあるという報告。

③ 炎症性腸疾患が前立腺がん発症にどのような関わりを持つのか、解明が待たれますね。

④ がんがわかるよ、と言って検診やドックなどで勧められることもある腫瘍マーカーですが、余計な検査を強いられるだけのことがほとんど。

⑤ 糖尿病、特に1型糖尿病の治癒につながりそうな報告ですね。

⑥ 人の触るものは細菌が多いことは知ってますが、これは指摘されるまで盲点でした。

⑦ 複数の腸内細菌が絡んで、胆管の炎症が起こることを突き止めた報告です。

⑧ 総合感冒薬に鎮痛剤、市販薬だからと言って安心できるものではないのです。

⑨ メタボの指導にあたって、一言混ぜておきたい情報です。

⑩ 先月はマグネシウムに関する情報がありましたが、今回は亜鉛欠乏が高血圧に絡むという話です。

フライドポテト〖 今月のつぶやきから 36 〗


今日、12月29日で今年の外来診療は終わりです。
新年は1月5日からスタートいたしますが、年明け早々1月2日は休日当番となっておりますので、具合の悪い方はご利用ください。

さて、今年最後の記事では今月の twitter 上でのつぶやきを振り返ってみます。

まずは、薬剤に関する案外大事な情報から。



次に、食生活絡みのツイートです。



最後は、まだ役に立つかどうか分からない話題ですが、潰瘍性大腸炎に関するものです。

RA ◆ 診療所ライブラリー 71 ◆ 


最近立て続けに関節リウマチの患者さんを診る機会があったので当院のライブラリ用に購入した本。
原因や症状、治療薬等について一般向けにとてもわかりやすく書いてあります。

私が医者になった頃は関節リウマチは治せない病気だったせいかどんな病院でも診る機会が多かった、というか患者さんの行き場所がなかったのですが、有効な治療薬が次々と開発されると専門の医師の所に集まるようになったので、受け持つことがめっきり減ってしまったのです。
治療薬として我々が潰瘍性大腸炎に使うのと同じ成分の薬や悪性リンパ腫などに随分古くから使われていた抗がん剤等が使われ始めた時は面食らったものです。
さらに生物学的製剤が加わり、昔はよく見た教科書的な関節の変形に至る患者さんもめっきり少なくなったように思います。
本当にここ十年余で劇的に治療の進歩した疾患ですよね。 

そういうわけで、この本を読みながらこれまでの歴史を振り返って感慨にふける私でした。 

 → ササッとわかる最新「関節リウマチ」治療法  

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