一般的な診療の補完として、あるいは第一選択薬として、私の診療では欠かせないものとなっています。
その漢方薬がコロナ禍の中で出荷調整が相次ぎ、皆様方にご迷惑をおかけしていました。( → 漢方薬の出荷調整に頭を抱える )
最近になってようやく品不足が解消しつつあります。
さて、漢方薬は食間または食前で服用するのが一般的です。
その理由としていくつかのことが挙げられています。
・漢方薬を構成する生薬は、生姜や山椒など食事としても摂取するものがあり、食事で構成成分のバランスが乱れてしまう可能性がある。
・空腹で胃酸の多い環境下では、作用の弱い成分の吸収が高まり、逆に作用の強い成分は吸収されにくくなる。
などです。
私は、一部の漢方薬は食後に服用することをお勧めしています。
麻黄という生薬を含むものです。
麻黄は、葛根湯や麻黄湯など風邪に対して使う漢方薬によく使われる生薬です。
麻黄は食後の方が吸収が良くなることが知られているためです。
防風通聖散に関しては、構成する生薬が18種類と多く、麻黄だけを優先するわけにいかないので、食間または食前の服用とさせていただいています。
なお、葛根湯の服用で急性胃粘膜病変 ( AGML ) を起こした症例を経験しています。( → 葛根湯で胃炎の副作用 )
葛根湯は実証タイプの方に適した薬なのですが、この症例では虚証と思われる方が内服していました。
万人に同じように効くとは限らないのが漢方薬の難しいところで、自己判断での内服は注意が必要です。