野口内科 BLOG

  鹿児島市武岡に開業して43年の野口内科です。
  医療・健康に関する情報はもちろん、近隣の話題、音楽・本のことなどを綴ってまいります。

    診療時間 午前  9:00〜13:00
         午後 14:30〜18:30
    休診   日曜・祝日・木曜午後
    電話   099−281−7515
    住所   鹿児島市武岡二丁目28−4
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 ◆ 診療所ライブラリー 133 ◆


失敗内科医は、患者さんの症状から診察や検査結果を基に診断を下して薬を処方する、というのが主な仕事です。
薬は正しく使ってこそ薬になるのですが、患者さんが想定外の判断をしてしまうことが多々あります。
これまでで一番驚いたのは、友人に処方されたインスリンを借りて試しに打ってみた、という糖尿病の患者さんの行動でした。
インスリンは、それぞれの患者さんの血糖の状態に応じて、種類や打つタイミング、量を決めますので、好き勝手に注射すると重篤な低血糖を起こし、昏睡に陥ることすらあります。

今回紹介する「失敗から学ぶ薬を使う時の12のルール」の中では、自己判断での薬の減量・中断、他人に薬を譲るなど、日常でよく遭遇する事例を12個挙げ、それを通して薬の基本的知識や適正使用の大切さが楽しく学べる構成になっています。
イラストが多く平易な文章が心がけられているので、小学生でも読めるのではないかと思います。

我々もこの本に書かれているような事態が起きる可能性も考慮しつつ、処方がややこしくならないように心がけたいですね。

 ◆ 診療所ライブラリー 127 ◆


世界史を内科医は、今でこそカテーテルや内視鏡を使って手術をすることがありますが、診察や検査から病気を診断して薬を処方するのが基本。
その薬について十分な知識を持ち合わせていたいものだと常日ごろから思っています。
最近は薬も含めて医学の歴史について調べることが多くなっているのですが、今の医療を知る上で案外欠かせないものだと気付かされています。

今回紹介するのは、人類の歴史の中で特に大きなインパクトを与えた十種類の薬を取り上げ、その開発秘話や果たした役割などを様々な視点から描く「世界史を変えた薬」です。
個人的に面白いと思ったのは、アスピリンについての章です。
ドイツのバイエル社が発売し大ヒットしたアスピリンの商標や特許を第一次大戦後に米国が奪います。
そして4分の3世紀にわたって大儲けをするわけです。
欧米の製薬会社が今もって薬の開発競争に血眼になっているのは、一発当てれば莫大な利益がもたらされることを歴史の中で学んでいるからなのでしょうね。

日本発の創薬にも期待したいのですが、ジェネリック利用促進政策が大手メーカーの体力を削いでいる現状ではなかなか難しいように思います。
医療費削減も大事ですが、将来にわたる国益という視点も持つべきなのかも知れません。

2011052312212222145.gif「粉薬は苦手なので錠剤をください」とおっしゃる方が少なからず存在します。
剤形として粉末しか存在しないものを処方しようとする場合、我々としては困ってしまうことがありますし、飲む側もかなり辛い思いをすることになります。
医師や薬剤師からは市販のオブラートやカプセルを利用することくらいしか助言してもらえないことがほとんどだと思うのですが、これまでの経験から粉薬を苦手とする理由がどうやら見えてきました。

粉薬がダメという人に確かめてみると、薬を口の中いっぱいに広げてしまう傾向が強いようです。
頬の内側や歯茎と唇の間等に粉を付着させてしまい、水を飲み込んだ後も粉が口腔内に残ってしまい薬の苦さに涙しているのです。
また、薬を口に入れる際に鼻で呼吸してしまい粉を鼻へ吸い込んだり、逆に鼻息でまき散らしたりするケースもあるようですね。

以上を踏まえて上手な粉薬の服用法をアドバイスしてみます。

① 水を先に含みますが、この際大量に含まないことが大事です。
  少量含んで、顔を少し上に向けてみましょう。
  その時に下の歯列を堤防にそして舌の前の部分を底にした部分から水がはみ出ない程度が適量です。
  それ以上の水を含むと薬を口の中に広げてしまう原因となりえます。

② ①で口の中に作った水のプールに息を止めて粉薬を入れます。
  唇や歯など余計な部分に粉をつけないよう、あくまで水の部分にだけ薬を浮かべるようにします。

③ 息を止めている間に一気に飲み込みます。
  粉薬を飲むというより、最初に溜めた水を飲み込む感覚で。
  途中で息をすると頬や舌の筋肉が緩んでしまい薬を広げてしまう原因になります。
  若干は粉が残りますが、それは水を追加して流し込んでください。

粉薬を口の中に広げずに留まる時間を短かくすることが大切なポイントです。
嫌がらずに練習してみてくださいね。

2011053010213017681.gif〖 医療情報 Pick Up おさらい 41 〗

ブログの左側のカラム、お知らせ欄でいつもお伝えしている「医療情報 Pick Up」で今月お届けしたのは下の一つだけに留まりました。

・中高年女性において/カルシウムサプリで/心筋梗塞・脳卒中等/心血管病変増加 ( BMJ 2010; 341: c3691.)
 

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更新を怠っているわけではなく、一般の方に興味を持ってもらえそうな情報が今月少なかったため、と勝手に思い込んでいますが、一般の方がどこまで専門領域に関心があるのでしょうか。
いつもその判断に迷っております。
個人的には面白いなと思えるものがいくつかありましたので専門的になるのですが、紹介しておきます。

・アセトアミノフェンの長期連用で造血器腫瘍のリスクが倍に

・尿中ナトリウムが少ないと心血管死亡リスクが高い

・レボチロキシン用量が多い高齢者は骨折リスクが高い

小児やインフルエンザの解熱にアセトアミノフェンは他の非ステロイド性抗炎症薬 ( NSAIDs ) と比較して安全性の高いとされているのですが、白血病や悪性リンパ腫などの疾患においては他の NSAIDs にはみられない傾向があるようです。
他の二つの解説は省略いたしますが、いかがでしょうか ?
このような情報ならいくらでもキャッチしているのですが・・・。



         □ 関連記事  医療情報Pick Up  40

2011052622491620631.gif東日本大震災の影響でいくつかの医薬品の入手が困難となっていましたが、徐々に状況も好転してきています。
最もご迷惑をおかけしていたのが「モーラステープ L」という貼付剤だと思いますが、先日より生産が軌道に乗ったという情報を得ました。
小さなサイズのテープ剤で何とか凌いでいただいていた皆様には朗報かと思います。

湿布と違って水分を含まない医療用外用鎮痛消炎テープ剤が登場したのは1988年のこと。
私が医師免許を取得した前の年なのですが、意外と歴史が浅いのですね。
私もたまにテープ剤の恩恵にあずかっている身なので、いい時代に生まれたなと思っています。

2011040617270817109.gif東日本大震災で医薬品にも影響が出ていることを既に2回お知らせしました。

書き漏れたのですが、湿布の一部が工場被災で出荷できなくなっています。
小さなサイズのものは問題ないのですが、大きなサイズのものが作れない状況のようです。
大判サイズは一定のニーズがあるため、他のメーカーのものも品薄状態になっています。
当院でも一度に多くの数を処方するのを控えておりますのでご了承ください。

さて、影響の出た医薬品もある程度供給体制の整備がなされつつあります。
最も心配されたチラーヂンSも今月中には生産一部再開と輸入品とで賄えそうな気配。
他の医薬品も5月、6月には・・・というアナウンスが聞こえてきております。

2011031816445923421.gif今回発生した大震災の影響が一般医療にも影響を与え始めています。
甲状腺機能低下症に対して用いるチラーヂンSという薬が工場の被害で供給がストップしてしまいました。
甲状腺疾患はおよそ30人に 1人存在し、その中で機能低下症は半数を占めると言われているほど患者さんの多い疾患ですが、実際に服用されている方は60万人ほどとのこと。
本当はTSH ( 甲状腺刺激ホルモン ) 値をみながら投与量を調節する必要があるのですが、この緊急事態のもと供給が再開されるまで減量せざるをを得ないかと思われます。
この方法でも重篤な機能低下症状は防げるとされていますのでご理解の程よろしくお願いします。
なお、「チラージンS」ではなく「チラーヂンS」が正しい商品名です。

また、当院は直接関係ありませんが、内視鏡トップシェアのオリンパスの工場が被災し修理などが出来ない状況のようです。
消化液や消毒液に晒されるなど過酷な環境下で働く精密機械、結構修理する頻度が高いだけに今後各地の内視鏡検査に影響が出てくる可能性があります。

2010092912214731456.gif〖 医療情報 Pick Up おさらい 33 〗


今月、ブログの左側のお知らせ欄で「医療情報 Pick Up」として紹介したのは以下の 2点です。

・キノコの幻覚物質で/進行癌患者の/不安やうつの/改善される可能性 ( Arch Gen Psychiatry 2010; doi:10.1001 )

・インフルエンザ/ワクチン接種で/心筋梗塞発症リスク/低下の可能性 ( CMAJ 10.1503/cmaj.091891 )


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ある物質に本来期待された以外の効果がみられることがあって、我々はそれを大いに活用することがあります。
例えば、A型インフルエンザの治療薬として開発されたものにパーキンソン病の症状を改善させる作用が認められ、日本ではパーキンソン病治療用の効能のみで発売されました。
味覚障害の元となる亜鉛不足を補う目的で使うもの、唾液の分泌を改善させる目的で使うものなど、私の得意とする消化器の分野でよく使う胃薬にも意外な作用を併せ持つものもあります。

上記の情報からすると、毒やワクチンにも別の側面が期待されるわけですね。



         □ 関連記事  医療情報Pick Up  32

2010082514073811596.gif先月、ランソプラゾールという胃薬が「低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制」の目的で使えるようになったことを当ブログで話題にしたばかりでしたが、今度は同じランソプラゾールが「非ステロイド性抗炎症薬 ( NSAIDs ) 投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制」という目的でも使えるようになりました。

特にご高齢の方で体のあちこちの痛みのために NSAIDs を連用せざるを得ない方にはビッグニュースです。
ただ、肩に痛みには H2ブロッカーと呼ばれるタイプの胃薬との併用がいい場合もあるでしょうが。(→ こちら)

それにしてもアスピリンだって NSAIDs の一種。
効能追加はまとめてやっちゃえばいいのにと思いますが、国の許認可を得るって一筋縄ではいかないのでしょうね。

2010062022060927602.gif ◆ 診療所ライブラリー 51 ◆


皆さんが病院で診察を受けて、我々が処方する薬。
その生い立ちを様々なケースについて紹介しているのがこの本。

キョウチクトウやライラックなど身近にあって昔から民間療法などに用いられていた植物から。
赤色や青色の色素から。
サルジニアの排水口やボルネオのジャングルの土壌から。
南米の蛇や北米のトカゲの毒から。
さて、一体何が出来たでしょう。

この本に答えは書かれていますが、創薬における研究者の努力やアイデアに感心したり、その過程にワクワクしたりしながら読み進めていくことのできる本です。
薬の名称の由来については知らないことばかりで勉強になりました。
とてもわかりやすい文章なので、医療分野の知識がなくても十分に楽しめる一冊です。


   →知らずに飲んでいた薬の中身

200907181131104277.gif ◆ 診療所ライブラリー 40 ◆


今回紹介するのは、薬を使うに際しての疑問を「飲み方・使い方」「飲み合わせ・食べ合わせ」などのパートに分け、Q&A 方式で具体的にわかりやすく解説してある本です。

「薬を飲み忘れた。二回分一緒に飲んでもいい ?」
「『まれ』な副作用って、どれくらいまれ ?」
というような私でも説明できるような項目もあれば、
「炭火の焼き肉を食べてから飲むと効きにくい薬がある ?」
「アスピリンは商品名 ? 製剤名 ?」
など、なるほどそうだったのか、と勉強になるものまで180項目以上に及ぶ充実した内容。

一般の方の教科書としてはもちろん、医療関係者にも知識の再確認や新たな情報源として役に立つものと思います。


( ライブラリ充実のために .. ご協力いただければありがたいです )  →薬の?がわかる本

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