野口内科 BLOG

  野口内科は鹿児島市武岡に開業して46年を迎えました。
  当ブログでは、当院からのお知らせ、医療・健康に関する情報の他に、近隣の話題、音楽・本のこと等を綴ってまいります。

    診療時間 午前  9:00〜13:00
         午後 14:30〜18:00 (金曜は〜18:30)
    休診   日曜・祝日・木曜午後
    電話   099−281−7515
    住所   鹿児島市武岡二丁目28−4
    院長   野口 仁

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風邪

今年の11月18日から24日は「世界抗菌薬啓発週間」です。

抗菌薬 ( 抗生物質 ) の不適切な使用により薬に耐性を持つ細菌が増える一方で、新規の抗菌薬開発は進んでおらず、感染症治療を難しくしていることが世界的に問題になっています。

風邪を引いた場合を例にします。
徐々に改善傾向にあるものの、いまだに「風邪をひいたら医療機関で抗菌薬をもらう」という誤った認識の方が多く、「患者が求めるから抗菌薬を処方する」といった医師も多いです。
風邪の原因のほとんどはウイルスですから、抗菌薬を服用する意味はないのです。

正しい知識を持ち、そういう場面を減らしていこうということで、厚生労働省は11月を「薬剤耐性対策推進月間」と定めて啓発を行っています。
今年は、はたらく細胞のキャラクターを使ったポスターですね。( クリックで拡大 )

薬剤耐性


私は風邪に抗菌薬は出しません。
このことは5年前に当ブログで書いています。( → 「風邪に構成物質を処方しなくなって久しくなります」)
風邪は抗菌薬がなくてもちゃんと治りますよ。
 
ちなみに、今月は抗菌薬を処方したのは2例のみ。
いずれも尿路系の感染で 、尿の検査をした上で処方いたししました。

昨日、NHKの番組「日本人のおなまえっ !」で身近な病名の由来を取り上げていました。
その中で、昔の人は病気の原因が風邪 ( ふうじゃ ) にあると考えていたので、痛風や中風といった名前が付けられていたという話がなされていました。
また、インフルエンザに「印弗魯英撒」という当て字がなされていたのは、海外との交易によりもたらされたとの考えに由来しているようです。
インド・フランス・ロシア・イギリスが撒くという意味のようで、これには座布団をあげたくなります。

風邪について説明を加えておきます。
中医学の世界で「風・寒・暑・湿・燥・火」の6つの「気」が複雑に変化して、人体に影響を及ぼし病気が起こると考えていました。
発病の原因となった気は「風邪・寒邪・暑邪・湿邪・燥邪・火邪」と呼ばれるのです。

蟯虫それ以外に古代の人々は、神の怒りや怨霊、庚申信仰に基づく腹の虫などが病の原因と考えてきました。
左の図は「針聞書 ( はりききがき ) 」という書物の中で描かれた63種類の腹の虫の一つ、「蟯虫 ( ぎょうちゅう ) 」です。
多くの人の探求のおかげで、細菌やウイルス、遺伝的な素因や生活習慣などが病気の元になることがわかり、大概の疾患が治せる現代人は、とてもありがたい時代に生きているものだなと思います。


このブログでは、胃液がこみあげてくる「呑酸」ということばを考察したことがあります ( → どんさんそうそう ) が、医学用語には不思議なものがいっぱいあります。
薬を飲むことを「内服」と言いますが、なぜだかわかりますか ?
解説してもいいですが、自分で調べてみましょう。
ヒントとして、中国最古の地理書「山海経 ( せんがいきょう ) 」という書物にその由来があるとだけお伝えしておきます。

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