野口内科 BLOG

  鹿児島市武岡に開業して43年の野口内科です。
  医療・健康に関する情報はもちろん、近隣の話題、音楽・本のことなどを綴ってまいります。

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NSAID

チーズ〖 今月のつぶやきから 40 〗


医療にまつわる最新の話題を twitter 上でつぶやいています。
自分自身の復習も兼ねて月末に振り返っているこのシリーズ、今回はテーマを 2つに絞って8つの情報をまとめてみました。

今月目立ったのがNSAIDやアセトアミノフェンについての話題です。





次に、コレステロールを上げるとされる卵や乳製品についての話題です。
このあたりは日常の生活指導に大きく関わるので目が離せません。


2010082514073811596.gif先月、ランソプラゾールという胃薬が「低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制」の目的で使えるようになったことを当ブログで話題にしたばかりでしたが、今度は同じランソプラゾールが「非ステロイド性抗炎症薬 ( NSAIDs ) 投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制」という目的でも使えるようになりました。

特にご高齢の方で体のあちこちの痛みのために NSAIDs を連用せざるを得ない方にはビッグニュースです。
ただ、肩に痛みには H2ブロッカーと呼ばれるタイプの胃薬との併用がいい場合もあるでしょうが。(→ こちら)

それにしてもアスピリンだって NSAIDs の一種。
効能追加はまとめてやっちゃえばいいのにと思いますが、国の許認可を得るって一筋縄ではいかないのでしょうね。

ksvdvqfc.gif消化器分野で最もよく使う胃薬の一つにH2ブロッカーと呼ばれる酸分泌抑制薬があります。
PPIが出てくるまでは胃潰瘍の治療薬として主役の座にありました。

そのH2ブロッカーについて以前から気になっていたことがあります。
それは肩が痛くなる病気である五十肩 (肩関節周囲炎) や石灰沈着性腱板炎に効果があるということです。
腱板とは上腕骨に付着する四つの筋腱で構成されるもので、そこにカルシウムを含むハイドロキシアパタイトが沈着すると、普段はレントゲンでは見えない腱板が白く写されるようになります。

内科ではこのような使い方をあまり試すことがありませんので、先日、島根で整形外科をやっている従兄弟と話す機会があった際に聞いてみました。
解熱鎮痛薬 (NSAIDs) と一緒にH2ブロッカーを投与していると、肩の痛みも軽減し、レントゲン上も腱板の石灰化が消えてくるんだそうです。
但し、H2ブロッカー単独で治療することはないですよ、とのこと。

なぜ石灰化が改善するのかはっきりしませんが、副甲状腺 (上皮小体) に働きかけ、PTHという血液中のカルシウム濃度を増やすホルモンを抑制するからではないかと考えられているようです。
となると、副甲状腺の疾患に応用できたりするのかな・・・?


nihv4xmb.gif神戸で研究生活を送っていた時代に最もお世話になった先生は、現在東京の某大学の教授。
その先生が先日鹿児島で講演を行ないました。
実は講演という形で先生の話を聞くのは今回が初めて。
最初に鹿児島には知っている人物が何人かいる、と私の名前も挙げていただきちょっと気恥ずかしく感じました。

神戸時代はもっぱら基礎研究中心だったのですが、東京では臨床データも豊富に出されており、今回は解熱鎮痛薬 (NSAIDs) による消化管粘膜障害についての話でした。

興味深かったのは、小腸の画像診断が普及して、NSAIDs による小腸の粘膜障害も多く見つかるようになってきたこと。胃の粘膜障害には胃薬がありますが、小腸には無効であることから予防や治療に苦労するとのことでした。
また、最近日本でもようやく発売されたサイクロオキシゲナーゼ (COX)-2 阻害薬に関する話も興味深く話を聞かせていただきました。

第一線の研究を臨床の現場に活用していこうと思います。


kyi9ersi.gif昨日はあるディスカッションに参加してきました。消化性潰瘍の治療に関するのもです。

ピロリ菌と並んで解熱鎮痛薬 (NSAIDs) が潰瘍の原因になることが知られています。
しかし、臨床をやっていく上で一つ大きな問題があるのです。そのあたりを話題にしたものでした。

NSAIDs と潰瘍治療薬である酸分泌抑制薬を一緒に使うことはまかりならぬ、と保険診療上の制約があるのです。
「NSAIDs は潰瘍の原因となる薬剤だ。それをそのまま続けて一方で潰瘍を治そうというのはどういうことか。また、なってもいないうちから潰瘍にならないようにと予防的に投与するのはいかがなものか」という考え方なのでしょう。
これは例えて言うなら、強い陽射しの中、日傘やサングラスをして外出したら非難の集中砲火を浴びてしまった、といった感じにはなりはしないでしょうか。

NSAIDs と酸分泌抑制薬を併用するのは諸外国ではごく当たり前に行われていることなのです。
痛みをコントロールし続けなければ日常生活を送れない患者さんが現実にいらっしゃいます。
潰瘍が出来たらその間だけ NSAIDs の中断を余儀なくされる、というのは是非とも避けたいことなのですが。

今、消化器の分野の医師は世界的にみても歪んだ日本のこの状況を打破すべく、ガイドラインを作成したり、いろいろな臨床データを取り揃えることに努力しています。
正しい医療が当たり前に行うことができる日もきっと近いうちに来ることでしょう。


            □ 関連記事  薬で大腸がんの予防 !?ピロリ菌の二次除菌


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